第13話 動き出す歯車
「ふぅ、どうにか帰って来れた」
あの後すぐさま琴乃ちゃんが1から10まで完璧に奥様に教えてくれた。奥様の琴乃ちゃんへの信頼は厚いらしく驚くほどすぐに納得していた。
同時に椎名ちゃんが家庭教師の解雇についても話していたが、僕はその途中で返されてしまった。
どうやら説教が始まりそうだったので琴乃ちゃんが気を利かせてくれたのだ。
ピロンッ
ふとラインの通知音が鳴った。
『こんにちは先生』
送り主は琴乃ちゃんである。
『あの後のことを簡潔に説明します』
琴乃ちゃんのメッセージを読んでいくと、いろいろと話が分かった。やはり椎名ちゃんは説教を受けたらしく家庭教師の件については引き続きお願いされることになった。
ただ椎名ちゃんも普段から自主学習に取り組んでおり成績上々。自主学習でも学校の授業に追いかけることが出来るようになったらしく、授業の回数を減らしてほしいらしい。
ということは週一でいいのかな。止めるにしろ、続けるにしろ事務所にはいかないといけない。また明日行こう。
今日はもう眠い。寝よう。
朝になって僕は大学に向けて出発した。今日は先日仲良くなった人に早く来るように言われている。初めての友達ということもあり、少し緊張しているのは秘密。
陽キャっぽかったけど僕のこといいやつそうだ、と言ってくれたしきっと仲良くなれるだろう。
もしかしたら遊びに誘ってくれるかもしれないなんて期待を抱きつつ僕は大学にたどり着いた。
朝早いのに大学内には多くの学生がいてなにか食べている人がいれば、本を読んでる真面目な人もいる。
でも大体がグループで行動していて笑いが絶えてない様子だ。
僕は講義室へと足を運んだ。まだ講義の時間ではないけど、基本的に全室オープンになってるからいつでも入れるのだ。
「おー、待ってたぞ侑都」
名前で呼んでくれた。
「お疲れ?」
「なんで疑問形なんだ?」
「別に深い意味はないけど」
「なんだそりゃ」
僕たちはお互いに雑談を交わしていく。何を話しているかよくわからないけど、楽しいということだけは記憶に残った。
「あ、そうだ。今日合コンやるんだけど侑都も来いよ。可愛い女の子いっぱい来るんだぜ」
「合コン⁈」
合コンっていわゆるあの合コンか?
男と女が一緒に食事し、親交を深め、お近づきを狙うあの合コンか。僕が合コンに誘われる日がやってくるとは。
もし高校生の頃の僕に伝えたら絶対に信じない自信がある。
「ああ、今日俺の友達が一人予定でこれなくなってさ。せっかくだから侑都も来いよ。侑都イケメンだから絶対モテるぞー」
「行ってみようかな」
イケメン発現は華麗にスルーしつつ僕は合コンに行くことを決意した。
合コンに行くのが決まってからは時間が過ぎるのはあっという間だった。講義中も話を聞かなきゃならないのに油断したら合コンが顔を出してくる。
休憩に入るとすぐに合コンの話をしてくるし、それもあって期待が膨らんでしまったのだ。
別にモテルなんて思ってない。可愛い女の子とお近づきなんて高望みは最初から捨てている。
僕がワクワクしているのはそのような場に呼ばれたこと自体にあるのだ。
「じゃあ、終わり」
最期の講義が終わると友人、隼人が声をかけてきた。どうやら急がないといけないらしい。
講義終わりの時間ギリギリになんて危ないなぁ。
「場所は近くのカラオケだ。侑都、しっかり歌う準備しとけよ」
二人で大学内を出た時、近くに赤星さんがいた。ただ女の子数人と歩いていたおかげがばれずに済んだが話が聞こえてしまった。
どうやら彼女らも合コンがある、と。
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