第52話 8の段って難しくなかった?


 長い通路を西に戻って行き扉の前に到着、帰るまでが探索ですよ~と慎重に慎重に警戒しながら歩いたので時間がかかってしまった。2人からは呆れられたけど不意打ち食らうよりいいじゃん。


「地上に戻ったらフッカケン商会で鑑定してもらわないとな……」


「えーと、短剣に帽子にスクロールに薬ですよね?」


「そうそう、イヨーナその時に短剣をどうするかでお話しようか?」


「は~い。スクロールと薬は多分「小炎」のスクロールと「傷薬」だと思うけどね。1階だとそればっかりだって聞いたわ」


 「小炎」も使用回数減らしてまで自分では使おうと思わないけどスクロールなら使ってもいいかも?まあ買取金額次第だな。「傷薬」は普通にありがたい、俺かイヨーナが持ってたら緊急のときに使えるかもしんない。


「なら売るもの無いかもなー。全部使えるじゃん」


「スクロールと薬は要らなくない?」


「両方ともイヨーナが持ってたら保険になるかなーって思ったんだけど?」


「そうですね両方1個ずつ持っといて、同じのが出たら古いのから売ればよくないですか?」


 そういう事だな、保険はあるに越したことはないし在庫がダボついたら売ればいい。


「まあとりあえず上がろうよ、今日は前半そんなに稼げなかったけど最後の方の先輩戦が大漁だったからそこそこの稼ぎになったと思うよ」


「また先輩って言ってる、オークは先輩なんだ……それで、稼ぎはいくらくらい?」


「銅貨が多くて詳細分からないけど大体銀貨30枚くらいかな。ざっと銀貨3~4枚分ほどパーティ資金を抜いて山分けしようか」

 

 


 そのあとは問題なくダンジョン入口に戻ってこられた、地上に上がった階段の横にある休憩スペースとして用意されているテーブルに陣取って今日の稼ぎを確認する。


「計算完了!今日の稼ぎは、銀貨26枚と銅貨49枚!最後の2戦が大漁で結果的にそこそこ稼げたな。ただ、ワンコがお金持ってるのにすごい違和感……」

 

「考えたら負けだよ?私は最初の戦闘後に考えるのをやめたもん」


 そんなに簡単に割り切れるかい!七不思議のひとつとはいえ違和感を感じるものは仕方ないじゃんか、


「私はメグちゃんとか神父さまに前から聞いてたからそんなに違和感を感じなかったですけど」


 いいな~俺にはこの違和感は払しょくされない気がする。


「じゃあパーティ資金に銀貨2枚と銅貨19枚抜いて1人何枚の収入だ?うーんと……イヨーナと見せかけてソニア!」


「ぐっ……私ですか!銀貨24枚と銅貨30枚。銅貨は10枚ずつで分かりやすいけど……どうやったら24枚を3人で分けられるの?」


 いや~懐かしい、8の段って難しかった記憶あるな~。


「足し算引き算はぱぱっと出来るんだから、九九を教えようか?」


「九九ってなに?」


「俺の故郷の計算方法なんだ、故郷では初等教育でほぼ全員が覚えるんだけどね」


「初等教育ですか……なんか悲しくなってきますからいいです……」


 まあ無理強いする事でもないか。


「で?ソニアさん計算結果はどうですか?」


「え~と……自信ないですけど銀貨8枚と銅貨10枚ですか?」


「じゃあそれで分けて大丈夫だね?」


「うっ、だ……大丈夫です」


 自信なさげだな、ちゃんと計算して分けるから大丈夫なのに。


「正解だよ、自信もちなって。じゃあ分けるなお疲れさん」


 と言ってもまだ帰らないけどね。


「さてと、じゃあイヨーナお話ししようか?」





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