第50話 黒い壁と階段とオーク先輩
さっきの戦闘の跡を通り過ぎる際にゴブリンくんの死体を確認する。
「焼け死んではいるけどまっ黒焦げってわけではないんだな……これって外皮が硬い生物とかなら耐えきるかもね」
まあ広範囲攻撃魔法としては最弱だからそこまでの火力は出ないのかな。でもゴブリンくんや多分オーク先輩などは十分殺傷出来ると。
「トーイ〜行きますよ〜」
「ああ悪い今行く」
ホントに見て良かった、アレックスさんに言われてた魔法使いの重要性をはっきりと認識できた。出来れば早急に仲間にしたいな。
ダンジョン出入り口から直通出来る通路に有る最後の扉の前、普通に考えて次の道に通じる通路なりがあるだろう。
「この先は不明だけど十中八九通路が続いているんだろうな」
「そうだね、さっきのパーティもこの道から来たっぽいし、少なくても下に通じる何かは有るよね」
「じゃあ行きましょう!」
いつものようにソニアとイヨーナが扉を開けて俺が飛び込み状況確認、まあ思った通り扉の先はすぐ突き当りでそのまま左手北側に通路が伸びている。
「北に伸びてる通路広いな、イヨーナ地図作成頼むぞ」
「任せてよ」
さっきまでの通路の2倍の広さはありそうな道を進むとまず東側に進む通路への分岐があり、もうしばらく北に進むと今度は西側に分岐する道がある。
両方とも今回は進まず北にさらに進むと変な壁にぶつかった。
「なんだこれ?扉じゃないし、真ん中を境に右側半分が壁で左側が真っ暗な……壁?」
「入ってみます?」
「いや止めとこう、これは神父さまに聞いてみよう」
「それならここまでは地図に書いたから、さっきの分岐点まで戻る?」
ここで止まっててもしょうがないもんな、
「西側の通路行ってみようか」
提案してみる、つっても他に選択肢ないんだけどね。
「まぁ東側とどっちでもいいけど近いしね、てかリーダーなんだから西側に行くぞって言ってくれたらついて行くよ?」
「そうですよ!トーイはリーダーなんですから、バシッと方向性を示してください!」
そうか、リーダーってそういうものか……出来れば方向性はみんなで決めたいんだけどな、
「そういうことなら今回は西側に行ってみようか、他に意見があればじゃんじゃん頂戴ね?」
視野狭窄で死んじゃったら舞に合わせる顔がなくなっちゃう。新しい意見はガンガン欲しい。
ちょっと道を戻って西側に伸びる通路を進む、途中で右手に扉が見えてきたけど今回はスルー。
「とりあえず突き当たりまで行ってみようか……」
「だね、この扉はその時考えよう。なんかイメージ的にこの先は行き止まりってことはないと思うんだけど……」
確かにこの先には何かありそうなんだよな。
「なんでしょうね、なんか圧みたいなものを感じますね……」
ソニアも感じるみたいだな。敵がいるときたまに感じる気配ってわけでもない、なんだろうこれ?
ちょっといつもより、特に後方の警戒を強めにするようイヨーナにお願いして進んでいると前方に階段が見えてきた。圧はここから来てるよな、なんでだろう?
「地下2階に降りる階段だね、こんなに近いんだな」
「さすがに降りないですよね?」
「さすがにねぇ、まだ1階も全部探索しきれてないもんな。てかこの圧ってこの階段からだよな……なんで階段から圧が来るんだ?」
意味が分かんないな。でも、この圧のせいで何かあると分かったから目印にはなるのか?そうでもないか。
「まあ考えても分からないからこれも神父さまに聞いてみようか」
分かんないことは全部神父さまに投げる覚悟を示していると、後方を警戒していたイヨーナから緊張した声が飛んでくる。
「後方からオーク3匹、うわぁこれは気付かれてるっぽい。すごい顔で急速接近してる!」
先輩3匹か……正面からサシで
「トーイ!2匹私が引き付けるから、1匹をイヨーナと2人で潰して!」
「出来るのか?」
「さっきの斥候のひとの動きをやってみる!」
あれを?見ていきなり出来るものか?えーい、迷ってる時間がない!
「分かった任せる!でも無理はしないで。イヨーナ!両方のフォローに入って!俺が1匹相手をするから!」
「了解!ソニア無理しないでね!」
3匹と接敵、ソニアが宣言通り2匹の間に入り先輩の攻撃を回避して気を引いてくれてる。てかすげぇ普通に2匹を相手取ってる……うわっあれを躱すのかよ?
「トーイ!見惚れてないで早く1匹潰して!」
イヨーナから叱責が飛んでくる。いけないいけない、早く目の前の先輩を倒して加勢しないと。
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