第48話 ダンジョンドッグ


 部屋に突入!周囲の確認をする、ゴブリンくん2匹とでっかい犬が1匹こいつがダンジョンドッグか?


「「仮睡」を使う!2人はゴブリンくんを引き付けておいて眠ったらそのまま攻撃!ワンコは俺がやる!」


「「了解!」」


 ソニアの方に行こうとしたダンジョンドッグの鼻先に剣を突き出し牽制、そのまま詠唱を開始。


「───、くっはやい────とっ───「仮睡」」


「効いた!」 


「こっちも効いてます!」


「ならそのまま攻撃!俺はこいつをやる!」


 突っ込んでくるダンジョンドッグに突きを繰り出すが、右に進路を変えて余裕で回避される。

 そのまま剣を持ってる右手に噛みついてくる、硬い革の小手でガードしてるのでなんとか防御出来た!あぶねぇ小手無かったら剣を落としてたわ。

 剣を左手に持ち替えて、右腕に喰い付いて宙ぶらりん状態のダンジョンドッグの腹に突き刺す。


「ギャン!」


 よし、上手く刺さった!ワンコが痛みで腕から口を離した隙に剣を両手に持って地面に叩きつける。


「ガルッギャン!」


 体重を乗っけて叩きつけたのでさらに深く剣が刺さる。そのままワンコの腹を足で踏んづけて、剣を引き抜き2度3度と突き刺していく。トドメに首に剣を突き刺したらさすがにワンコも沈黙。


「こっちは終わった!」


「こっちも完了」


「今……倒しました!」


 なんとか勝てたけどこれは失敗したな……


「ごめん完璧に俺の指示ミスだわ……」


「どうしました?」


「ワンコに「仮睡」をかけるべきだった」


 まさかこんなに強いなんて思わなかった……まあ普通に犬って強いもんな。それがこのデカさだもんそりゃあ強いわ。


「トーイ……そりゃあダンジョンドッグに「仮睡」をかけて倒したあと、ゴブリンを各個撃破するのが1番の安全策だったかもしれない。けどダンジョンドッグに初めて当たっていきなりそんな指示出来るわけない、気にし過ぎだよ?」


「……イヨーナ、前のパーティのときはどうしてた?」


「大体「仮睡」で眠らせてから倒してた。けどどの敵が相手でも基本魔法を使ってから攻撃してたから参考にならないと思うよ?」


 うーんイヨーナの言う通り気にし過ぎなのかな?


「まあ次からは最優先で動きを止める。段違いに強かった……」


「それで良いと思います。私もトーイは気にし過ぎだと思う、もう少し楽観的でもいいと思いますよ?」


「性分なんだ……まあ心掛けてみるよ」


「まあ冒険者に臆病者は褒め言葉ってね!」


 へぇそんな格言があるのか。


「今回のまとめはワンコは最優先で潰すだな」


 


 いつもの反省会を終わらせて、お待ちかねの宝箱タイムだったのだが中身は空っぽだった……

 失意の中ギルド章の簡易結界を展開してしばらくの休憩、 


「宝箱空っぽって、こんな事ありえるの?」


「いや〜、罠がなかった時点で嫌な予感してたんだ。宝箱空っぽってへこむよね〜、たまにあるんだよね〜」


「たまにあんのか……なんか今日は稼ぎが悪いよな?」


「そうですね、いま銀貨15枚に銅貨27枚です」


「ソニア今のままだとパーティ資金で3枚とって1人当たりいくらでしょう?」


「え?え~と……銀貨を3枚抜いて12枚が3人分で……4枚、銅「そこまで!銅貨はイヨーナいくらだ?」ホッ……」


「えっ!私?え~と1人10枚ずつで30枚でそれから3枚引くから1人1枚ずつ減って9枚だ!」


「両方とも正解。たまに問題出すからね?」


「え~!算術苦手なのに~」


「私いらなくない?」


「いいじゃん、稼げて無料で算数習えるって。まあお得!」


 気分転換にもなるし頭の体操にもなるから積極的に取り入れていこう。

 わいわいと身体だけではなく頭もリフレッシュさせて休憩終了、もうひと稼ぎいこうか。


 分かれ道に戻る、左の西側に行くとダンジョン入口へ、右の東側に行くと次の分かれ道につながっている。

 当然東側に向かい次の分岐点を南へ、扉の前まで敵に会わなかった。


「こっち側の扉の先は部屋になってるんだよな?」


「そう、今までの2つと一緒ぐらいの広さね。気配感じる?」


 感じないな……しかしあれって何なんだろうな……アレックスさんは特殊ジョブのなんちゃらって言ってたけど。


「いや、感じない……これをコントロール出来たら凄い有利なのに」


「まあ分かればラッキーくらいに思っておけばいいんじゃないですか?」


「そうだな、じゃあ行くか」


 ソニアとイヨーナが扉の前に立つ、1つ頷き指を3本突き出しカウント3で突入する旨を伝えるとカウントダウンを開始する。


「3、2、1、ゴー!」


 室内に躍り込むとワンコが3匹!最速で眠らせる!


「「仮睡」を使う!両方ともフォロー頼む!」


「「了解!」」


 ソニアとイヨーナが俺を追い抜いてワンコと接敵し、それぞれ1匹ずつ相手してくれる。1匹こっちに来るがそれは想定内噛みつこうとして飛び込んできたのをバックステップで躱して詠唱開始、


「──────させるか!────「仮睡」!」


 比較的スムーズに詠唱出来たのでかなり早く魔法を発動出来た、眼の前のワンコがコテンと倒れる。よし効いた!


「こっちは効いた!」


「効いた!」


「眠りました!」


「それぞれトドメを!」


「クエストがあるからトーイがトドメで良くない?」


「安全第一!良いからそれぞれトドメを!」


「はーい」


 3匹ともにトドメを刺しひと息つく、ワンコは出来れば今みたいに眠らせて倒したいな。


「理想的な戦闘だったな!」


「そうですね、でもトーイがトドメで良かったんじゃないですか?」


「まだクエストのノルマを気にする段階じゃないし、今回は安全第一にさせてもらったけど次からはちょっと考えるよ」

 

 今回は反省点無いしお楽しみの宝箱だ!

 



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