第47話 Evaluation meeting つまりは反省会


 死体漁りも終わってとりあえず部屋の隅っこへ移動、ここなら敵が部屋に入ってきても気付かれにくいから先手が取れる。ちなみにこの部屋は出入り口は1個のみなのでそこだけ注意していれば良い。


「戦利品は良かったけど稼ぎはイマイチだったな」


「敵8匹で銀貨5枚に銅貨12枚か……ショボいね」


「そんなもんだよ?今までが良すぎだったんだって」


 そんなもんか……他パーティの経験があるイヨーナがそう言うんだからそうなんだろうな。


「戦闘としては見た感じ8匹相手に完勝だったな」


「そうですね、「彫像」もよく効いてくれたし、打ち合わせと違ってトーイの「仮睡」は唱えなかったけど」


「「彫像」の効きが悪かったら唱えてたよ。上手く効いてたから使うまでもないと思った」


「それでいいと思うよ、何も全部打ち合わせ通りに動く必要はないもん。大筋の戦術通りに行くなら臨機応変に動くのもありでしょ?」


 イヨーナの言う通りで臨機応変に動くのもありだよな?


「そうですね、それで良いと思います。それで問題点としては何かありますか?」


「まず、敵の数が8匹と分かった時点で逃走の選択肢はなかったか?」


 3対8は数的不利がデカすぎる、逃走するのもありだったんじゃないか?


「選択肢としてはありだったと思うけど、今回は敵がいることは分かって部屋に入ったんだから先手はとれるんだし、実際終始押してたし逃げなかったから悪いってことはないと思うよ?」


「そうですね、これが部屋に入って初めて敵がいることが分かる遭遇戦だったら逃げる選択肢もあったでしょうけど、次回以降のこともあるから今回は戦って正解だったんだと思います」


 そうか、慎重になりながらも数的不利でも行くときは行く大胆さも大事だよな。逃げ癖が付くのも考え物だし……


「オッケー戦闘突入は今回は正解だったとして、やっぱり俺も初手に「仮睡」を唱えるべきだったかな?」


「それは……難しいね。唱えていたらトーイの怪我も無かったかもしれないけど、分断した敵を2体引き付けてくれて、しかも2体とも削ってくれたからこっちは安全だったとも言えるし……」


「あれって分断したから削りに行ったんですよね?」


「うんそう。ちょうど先輩を蹴飛ばしたら真ん中の2体が巻き込まれてくれたから、今のうちに削っちゃえってね」


「先輩?……まあいいです、それなら最前線のトーイの判断が正解です。魔法で動きを止めるのも不意討ちで削るのもつまりは接敵する数を減らすためなんだから、あとはどっちがより安全で効率的かってことです。その判断で今回は削ることにして成功したそれだけです」


 今回の戦闘の総括はこんなところかな、


「よし、まとめると今回は概ね問題ない戦闘行動だった、ただ遭遇戦の場合は敵の数次第では逃走も視野に入れるってところか?」


「トーイは慎重ですね」


「俺は臆病なんだよ。死にたくないからな」


「良い事だと思うよ?」


 ここでやることはもう無いよな?戻ることを指示して部屋を出る、通路を移動中にオーク先輩がボッチで歩いている。あっ気付かれた、奇声を上げながら突っ込んできてる。


「イヨーナ囮を頼む!ソニアはフォロー!俺が削る!」


「「了解」」


 さすがに動きが素早い斥候のイヨーナ、上手く先輩の攻撃を捌いてくれて動きをコントロールしてくれる。

 オーク先輩の大振りの振り下ろしをイヨーナが躱して出来た隙に、俺とソニアが足を攻撃して動きを止めた。

 こうなるとあとはトドメを刺して終わり、誰がトドメを刺すかはクエストの兼ね合いがあるのでその時決める。今回はソニアがトドメを刺した。



 ダンジョン入口の扉に到着、イヨーナの地図作成の便宜上、方位を決めて欲しいとの事だったので、扉から真っ直ぐ伸びた通路を北とした。つまり今まで歩いてた通路は入口から東に伸びてるってことになる。


 北に進み途中で東に曲って分かれ道に差し掛かる、その間に3回ほど戦闘をこなしたが、相手が少数だったのでいつものようにサクッと終わらせる。

 分かれ道を真っ直ぐ東に進んだらもう1つ分かれ道があり、南に曲がって行くと扉にぶつかる。ここでイヨーナが、


「南側の扉の先はさっきの部屋と同じくらいの部屋だね、前のパーティのとき行った事あるから知ってる」


「ほうほう、じゃあもう1つの分かれ道もそうなのか?」


「そうだよ、南側の通路は両方とも部屋になってる。東の突き当りの扉は開けたことないから分からないけどね」


 情報があるのはありがたい、


「なら、次の部屋を開けたら敵が居る居ないに関わらず休憩しようか?」


「賛成です〜、ちょっと疲れたなぁ」


 扉の前に到着したけど今度は気配を感じない……イヨーナが問いたげにこっちを見てる。俺は首を振って、


「今回は気配を感じないな。居ないって意味じゃなくて、居るか居ないか分からないって意味でね」


「毎回感じるわけじゃないのね……分かったらラッキーくらいに考えといたほうがいいか……」


「じゃあ部屋に突入して状況確認してから攻撃開始って感じ?」


「先手は取れないかもだけどしかたないか……」


「じゃあさっきと一緒で私とソニアで扉開けるからトーイが状況確認と指示してね?」


「了解」


 最初の陣形は決まった……行くか。


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