第46話 紙一重の完勝と宝箱
「では行くぞ、3、2、1、ゴー!」
俺を先頭にして3人で部屋になだれ込む、中の状況を確認。一辺20〜25メートル程の部屋の中にオーク先輩がひのふの8匹!?くそ今までで最多だな!
先輩はいきなりの事に状況を理解できてないみたいだな、この間に数を削る!
ソニアは入ったところで立ち止まり詠唱を開始し、イヨーナはソニアの前で警戒し始めた。
俺は走りながらそれを確認して前を向く、1匹背中を向けてるやつがいるからそいつの首に狙いを定めて「駆け出しの剣」を野球のバットみたいに振り抜く。
ズガキッ!「手応えあり!飛んでけー!」ダン!
剣が首の半ばまで入り込んでる、間違いなく首の骨を折った!ついでに背中を蹴り飛ばして先輩たちの固まりに放り込む。おっと2匹巻き込んだ、ラッキー!これで動けるやつは5匹!
真ん中2匹が巻き込まれて倒れたから、右に3匹左に2匹に分断。……ここは左だ!2匹のうちの1匹の足に剣を斜め上から振り下ろす。
「うおおおおりゃ!」ズシャゴキン!
これも手応えあり、もうこいつは動けない!あと1匹!
あっ棒切れ振り上げてる!これは躱せない……なら突っ込むまでだ!
「ゴスッ」重い音がして左肩に衝撃が走った、
「がぐっ!なんのぉー!」
痛みに耐えながら剣を突き出す、突き出す、突き出す!3回目の突きが背中まで貫通、そのまま全体重を乗せて下まで切り裂く。
「ブギィー!」
断末魔の叫びをあげて力なく前に倒れ込んでくる。それを躱して周囲を確認、どうやらソニアの「彫像」は発動してて、右側3匹のうち2匹が動こうともがいてるが動けないようだし中央の2匹も同じ状態。動ける1匹はイヨーナが足止めしてる。
「イヨーナ!ソニア!そいつは任せた!俺は動けないやつを削る!」
「「了解!」」
まずは中央2匹は放置して右側2匹を潰しに行く。動けない先輩には申し訳ないけど、遠慮なく首に剣を突き刺す。
2匹目に突き刺したところで、イヨーナとソニアが合流してきたので、
「倒れた2匹を1匹ずつ確実に潰せ!俺も行く!」
「プギー!ププギィー!ブギャーー!」
先輩2匹はなんとか逃げようともがくも、魔法の効果で体が動かないみたいだな、なら今のうちに全滅させる!
中央2匹も倒して、足を潰してた1匹にもトドメを刺す。
これで殲滅完了だな?なんとか勝てた……
「あぐっ!」
気が抜けたのか戦闘の興奮で感じていなかった左肩に痛みが走る。
「大丈夫ですか!?今治しますから!」
「頼む……」
ソニアの回復魔法で治してもらう。
「そっちに怪我は?あと回復魔法何回使える?」
「私達は無傷です、第1階梯はあと5回ですね」
「了解、しかしまあなんとか勝てたなぁ。危なかった〜」
結果的に完勝だけど紙一重だったな。「彫像」がよく効いてくれたから良かったけど、効きが悪かったらもっと長引いてたはずだから、俺以外にも怪我してたかもしれない。
「ちょっと反省か「待って!宝箱があった!」おお!」
反省会はあとからでも出来る!宝箱が先だ!しかも初宝箱!
「どれどれ?」
「あっ触っちゃ駄目!」
イヨーナが凄い剣幕で宝箱との間に割り込んでくる。
「下手に触ると罠が発動しちゃうから素人は触っちゃ駄目だよ?」
「悪い……」
謝罪する俺にイヨーナはウインクを1つ見せて宝箱に向き直る。
「さぁてと、ここからは私の本領発揮だよ」
イヨーナは両指をワキワキさせながら宝箱の前にしゃがみ込む。しばらく宝箱の周りや鍵穴の中を覗き込んでいたけどやおら立ち上がり。
「毒針の罠だね、これなら簡単だよ」
腰のポーチから巻物みたいに丸めた道具入れを取り出し、その中から先端を潰して平らにした針金を選んでまたしゃがみ込む。
鍵穴にその針金を入れて1度2度と慎重に抜き差しし3度目を差し込むとおもむろに宝箱の蓋を開ける。どうやら解除に成功したらしい、得意げにこちらに振り向いて、
「ざっとこんなもんだね!」
と快活に笑った。
「中身は……短剣と帽子?兜?だね」
「イヨーナの短剣って何段階です?」
ソニアの質問にイヨーナが恥ずかしそうに、
「実は2段階目の「練習用の短剣」なんだ……」
「それなら両方とも鑑定したほうが良いですね。神父さまにお願いする手もありますけどどうしますか?」
ソニアがとんでもないことを言いやがった、自分の師匠を便利使いしようとしてる。
「さすがにそれは申し訳ないからフッカケン商会で鑑定しようよ」
「そういう事だな。しかし戦利品はありがたいな、もしかすると武器防具の更新が出来るかもしれないからな」
「第1層でこれはかなり当たりの部類だよ?少なくとも帽子は誰かが使えるでしょ」
「じゃあ戦利品はこんなところでいいとして、いつものように漁って反省会だな」
「トーイ反省会好きですよね〜」
何を言うか!まだペーペーなんだから日々勉強!じゃないと死ぬよ?
「死ぬよりいいじゃん、さあ漁ろうか……」
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