第45話 ブリーフィング


 舞との定期連絡を終わせてすぐ眠くなったのでベッドに潜り込んだ、スマホを見るとPM10時をちょっと回ったところ。

 地球あっちに居たときならもっと夜更しだったのに健康的な生活になったものだね。

 ではおやすみなさい。


『あなたはレベル4になりました』


 おはようございます。

 なんか天の声も慣れてきた感が有るな。

 今日はソニアに起こされずに起きられた。美少女に朝起こしてもらうイベントは毎日起こすものではないのだよ。寝起きだけに……起こす……なんちて。


「今日は朝からキレてるぞ!何かいいことあるかもな」


 なんか悲しくなってきた……食堂行こ。

 しょんぼりしつつ歩いていると、廊下でソニアとバッタリ会った。


「おはようございますトーイ、なんか元気ないですね?」


「おはようソニア、何でもないよ?ちょっと自分のセンスに戦慄してたんだ」


「初めて会った日も戦慄してましたよね?そんなお年頃ですか」


 どんなお年頃だよ。

 

「おはよう2人共」


 もう食堂には神父さまがいらしてて、いつもの定位置に座られている。


「おはようございます」


「神父さま、なんかトーイが元気ないんですよ〜」


「それはいけませんね、ダンジョンに本格的に入り始めて3日ですか……心身ともに疲れも出てくる頃です、そろそろ休みを入れても良いかもしれませんね」


「休みですか……さすがに今日はイヨーナと約束してるからダンジョンに入るとして、神父さまもこう仰ってるし明日は休みにしようか?」


「そうですね!1日くらい休んでも大丈夫なほど稼げてますから、イヨーナも駄目とは言わないと思いますよ?」


 そうか稼ぎによっては休んでられない事もあるのか。

 その意味ではソニアの回避盾の恩恵はでかいな。1匹を確実安全に引き付けてくれるからこっちは安全に数を削れるし、怪我も少なくなるから回復魔法の使用回数も少なく済む。


「ソニアに感謝だな」


「どうしたんですか急に、感謝なら言葉ではなくデートで示してください!」


「なんでだよ……いやそうだなデートしよう、服を買いに行きたいから付き合ってよ」


 ちょうど服とか日用品を買いに行きたかったからついてきてもらおう、店とか知らないし?


「便利使いしようとしていませんか?まあいいです使われてあげましょう!その代わりおしゃれなカフェでお茶を所望します」


「いいよ奢らせていただきます。こっちの店知らないから案内お願いします」





 イヨーナと合流してダンジョンに向かっている途中で明日のことを話す。


「いいよ、ちょうど疲れてきてたところだし、休みを取れるなら取っときたいよね」


「じゃあ明日は休みということで今日は稼ごう」


「今日は扉を開けて部屋内に入ってみようってことだったよね?」


 昨日話してたことだ。


「今日の早い段階で万全の時にやってみたい。あとイヨーナ、地図に作成って斥候の仕事?」


「基本そうだよ、ギミックや罠の情報を書き込んだりするから斥候が担当することがほとんどだね」


「なら、そろそろ書き始めてもらえるか?」


「了解、今日から書き始めるね」


 


 第1層に入っていつものように右側の通路を進む。

 突き当り手前でオーク先輩が2匹いたので、ソニアと俺が1匹ずつ引き付けている間にイヨーナが動きを止めていく。両方ともトドメを刺したあと、


「次の遭遇戦で敵の数次第では、イヨーナに囮になってもらおうと思うんだけどいいか?」


「そうだね、イヨーナも大分このパーティのやり方にも慣れてきてるし頃合いかもね」


「了解、斥候として動きでソニアには負けてられない!」


 あらま、ソニアをライバル認定してるのか……まあ目標は高いほうがいいもんな。




 目的の扉の前に到着、この奥に何があるのかちょっとドキドキする。んだけど多分この中にモンスターが居るな……そんな気配がする。


「中に居るなこれ……」


「分かるの?」


「気配っていうのかな感じるんだよねたまに、でも数までは分からないから……悩ましいな、行くべきか引くべきか……」


 両開きの扉の前でウンウン悩んでると、ソニアが右腕に腕を絡めて、


「いつかは行かなきゃいけないんです。行きましょう!」


「そうそう、扉の向こうに敵が居るって分かってるだけでも凄い有利なんだから!」


 イヨーナも左腕に腕を絡めながら言う。


「そうだな……なら部屋に入った瞬間に状況確認するけど安全策を取ろう。基本ソニアは「彫像」を唱える前提で、イヨーナはソニアのガードね。俺は相手が4匹以上なら「仮睡」を攻撃を捌きながらの唱える、3匹以下ならそのまま攻撃するって事で」


「しっかりガードするから頼むわよ?」


「了解、今出来る最速で唱えるよ!」


 異論はないみたいだな、なら腹をくくろう。


「イヨーナとソニアが扉を開けた瞬間に俺が飛び込むから、あとは今の指示通りに頼む」


 2人が頷いて俺から離れて扉の前に行く、俺は空いた瞬間に飛び込めるように扉の前に立ち小声で、


「では行くぞ、3、2、1、ゴー!」 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る