第44話 このままじゃお兄ちゃん成分が枯渇する……


 恥ずかしい夕食(ソニアが)を終えて自室に戻って机を見ると、そこに置いておいたスマホからピカピカとメッセージが届いたと主張する光が点滅している。


『お兄ちゃん生きてる?』

『お兄ちゃーん返事してよー』

『お兄ちゃんどうしたの?』

『お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん返事してよ』

『いやだお兄ちゃんお願い返事して』


 あー心配させてしまったみたいだな。遅れたことの謝罪を打ち込んで送信しようとする前に、


『既読付いた!お兄ちゃん返事してよ!』


 レスはやっ!慌てて送信、


『ごめんごめん、ダンジョンにスマホを持っていって、壊したくなかったから置いていったんだ。心配させてゴメンな?』


『全然返事無かったから凄く心配したんだよ!?』


『ごめんって!今日はちょっと稼げたんで、ソニアと防具を新調しに行ったりして遅くなったんだ』


『ソニアさんと?しかも買い物ってデートじゃない!』


 そうなの?違うだろ……もしそうならソニアが浮かれないはずないもんな〜


『そんなんじゃないって!』


『ホントに?』


『ホントだって!それと仲間が増えたんだ!』


 話題を変えよう、この話題は引っ張るのは良くない気がする。


『仲間?ダンジョンに入る?』


『そうそう!3人目のパーティメンバー!、イヨーナって娘なんだけど』





【杉田 舞 Side 】


『そうそう!3人目のパーティメンバー!、イヨーナって娘なんだけど』


 また新しいムシが現れた!ちょっと目を離すとすぐこれだから……この3日間で増やし過ぎだよお兄ちゃん!

 こっちはお兄ちゃんが居なくて広くなっちゃった家で、寂しい想いをしてんのに……多分分かってないだろうな〜

 

 そうだ、考えてたムシの写真撮ってもらうやつ、新しいムシも撮ってもらおう。


『お兄ちゃんの写真が欲しいなぁ』


『何だよ藪から棒に』


『そっちでのお兄ちゃんの写真、何だっけ?魔法剣士だっけ?の格好してお仲間さんと一緒に撮ったやつ。私1人で寂しいから今のお兄ちゃんが写ってる写真が欲しいなぁ』


『おう!そういうことならすぐに撮って送る』


 うんお兄ちゃんチョロいよ、そんなとこも大好き♡

これで明日には敵の顔が分かるのでいろいろとイメージしやすいです。


『そういえば、まだ確定じゃないけど帰る方法が分かったかもしれないんだ!』


 なんですって!!そんな大事な事をすぐ言わないなんて、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんですね、困った人なんですから。私が一緒に居ないと駄目ってことです、仕方ありませんね。


『そうなんですね!なら早く帰って来てくださいね!』


『それが、少なくても2〜3年はかかりそうなんだ』


『はい?なんで?』


 2〜3年?お兄ちゃんと会えなくて2〜3年?何言ってるの?


『落人とパーティを組んだことがある人に会って話を聞けたんだけど、あるダンジョンの最奥に別世界に通じるゲートが有るのは確定なんだ。ただそのダンジョンがかなりの難関らしくて、今の俺達ではクリア出来ないそうなんだ』


『それで?』


 いろいろ言いたい事はありますが最後まで聞いてみましょう。


『最低限、今入っているダンジョンをクリア出来る実力は必要だということだから、今はそれを目指しててそれで最低1年はかかると見てる。その後ゲートのあるダンジョンに移動して、クリアするのに1〜2年を目標にしてる。だから最低でも2〜3年はかかるんだ』


『それ以上かかるかもしれないし、その間にお兄ちゃんが死んじゃうかもしれないんでしょ?』


『縁起でもないこと言うなよ!俺は死なないよ』


『約束ですよ?お兄ちゃんまで居なくなっちゃイヤだよ?必ず帰ってきて』


『必ず帰るよ!俺が今まで舞との約束を破ったことが有ったか?』


 そうなんだ、お兄ちゃんは約束したことは今まで絶対に守ってくれた。


『信じてるからね?お兄ちゃん、あと写真忘れないでね?』


 ただ、たまに約束を忘れる事があるけど……


『大丈夫だから、ベストショット撮って来るから任せとけ!』


 


 このあとは少し雑談をしてメッセージを終えました。

 話からどうもソニアさんとは四六時中一緒に居るようですね。困ったものです、それは私の特権だったのに。

 しかし帰ってくるのに何年もかかるなんて、その間会えなくてお兄ちゃん成分が欠乏してしまいます!この際あちらに行く方法を模索して、私からお兄ちゃんに会いに行ったほうが良いかもしれません……


どうやってあっちに行ったか、お兄ちゃんから聞き出さないといけません。












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