第39話 イヨーナの好感度アップ


 漁り終わってちょっと離れたところに移動、結界を張って休憩をとる。 


「ソニア、さっきの「彫像」は危なかったな?」


「ですね〜、もう一拍詠唱が遅かったら攻撃喰らってました……」


「でも間に合ったんだから良くない?」


 イヨーナの言葉に反論する。


「結果的に今回は間に合ったけど、次回は一拍相手のほうが早いかもしれないから。結果オーライにはしたくない、どうしたら良いのか考えようよ?」 


「そうね……」


「基本的に効果は絶大だから使っていきたいところだよな?」


「そうですね今は魔法を使う敵もいませんし、第2階梯の回数は全部「彫像」に使いたいですね。ちなみに残り回数ですけど第1階梯は7回で第2階梯はあと3回です」


「了解覚えとく。それで詠唱の遅れは、これは俺も同じだけど長期的には修行してもらって短縮する。中期的には回避しながらの詠唱を少しずつ練習する、でいいと思うけど他に何かある?」


「回避しながらの練習?」


 イヨーナが首をかしげる。あーと、スペルユーザーじゃないと分からないか……


「慣れていないと魔法の詠唱は立ち止まってしかできないんだ。だよねソニア?」


「そうですね。逆にトーイが動きながら詠唱出来てるのが驚きです」


「まあ修行したし?ソニアも回避しながら物語を話してみる?」


 辛く苦しい読み聞かせの修行を思い出す。てかあれ効果あったんだな……ネタ修行だと思ってた。


「それで短期的……つまりこれからはどうするかだね?」


「「仮睡」との重ね掛けは効果的だけど魔法使用回数的にもったいないよね」


「だな、いまの俺たちの切り札だよな……早々は切れない。ちなみに俺の残り回数1回だから魔法は基本もう使わないよ?」


 ついでに報告しとく。イヨーナが難しい顔をして、


「それなら、私かトーイがソニアの護衛に付くってどう?」


「うーんやっぱりそうなるよねぇ。それが現実的かなぁ」


 現実的ですぐ実行できる案を提示する、まあそんなところだろうな。


「よし、まとめるぞ。大人数の敵は相手しない。4~5匹なら誰かが護衛に付いたうえで、「彫像」か「仮睡」を試して半数以上止まったら動く敵から削る、止まったのが半数以下なら基本逃げる。少人数には魔法は使わないってところだな」


「まあまとまったね、じゃあ休憩しよう!今日はまだそんなに稼げてないからこれから頑張んないと」





 休憩した後は順調に戦闘をこなしていく。やはり3人いると敵が分散する分、安定して戦闘できるのは大きいな。


「思った以上に3人になって安定しているな、危なげなく戦えてる」


「そろそろ扉を開けても良いかもね?」


 ソニアが次のステップに進もうと言ってくる。


「それは明日からのほうが良くない?もう残りの魔法の回数も少ないんでしょ?」


「俺もイヨーナに賛成だな、急ぐこともないだろ」


「トーイがそんなに急いでないなら良いですよー」


 ソニアが何故か嬉しそうに同調してきた。


「あと1〜2回戦ったら上がろうか。そういえばイヨーナ前のときはどんな感じだった?」


「そうだねぇ、「仮睡」が切れたら上がってたから、今日はかなり戦えて稼ぎいいんだよね〜。だから儲けがちょっと楽しみ」


 へぇ、ホントに「仮睡」頼りだったんだな……


「それは良かった。ならもうひと稼ぎ行っとこうか」




 最後の戦闘も危なげなく終わり、今日の探索を切り上げた。


「今日の稼ぎは銀貨25枚と銅貨43枚ですね」


「それならパーティ資金に銀貨4枚と銅貨13枚取って、残りを山分けして銀貨7枚と銅貨10枚で良い?」


「え?えーと?はい?計算はやっ!」


「私はそれで良いですよ。イヨーナはどうですか?」


 ソニアは即決で納得してくれた、あとはイヨーナがオッケーならそれで決定だな。


「えーと銀貨がひのふのみの……銅貨がこれで……合ってる……スゴイ」


「それでイヨーナその額で良いかな?」


「はい十分です!でも凄いね……パーティ資金まで考えてるんだ……リックさんたちのときは全額山分けしてました」


「今からやっとかないと、途中からパーティ資金貰うよって言っても嫌でしょ?」


「計算も早いしトーイスゴイ!」


 イヨーナが腕に抱きついてきた、それを見たソニアが目を剝いて、反対の腕に抱きついて引っ張りながら、


「あー!またそうやってトーイにくっつく!トーイは私のですって言ってるでしょ!」


 勝手に所有権を主張してくる。


「ソニアのでもないから……これこないだも言ったよな?」


 ゲンナリしていると兵士さんの方から「チッ、クソがイケメン死すべし」と聞こえてきた。


「ほら、2人共離れて!これからギルドに行くんだから」


「え?なんでです?」


「クエストの期限が今日だから報酬貰ってくる」


 危なく忘れるところだった、金貨1枚は大きいからしっかりと貰うよ?


「私達も行ったほうが良いです?」


「クエスト報酬からもパーティ資金取るから見といて欲しいかな?」


「厳しくいくんだね……クエスト報酬からもなんて」


「何があるか分からないからね蓄えとかないと」


 言わないけど、ゆくゆくは死亡時の蘇生代とかも、ここから出せるようにしたいしね。


「じゃあ行こうか?」


「「はーい」」


 結局離れてくれないのね……


「チッ見せつけやがって……」


 兵士さん聞こえてます……









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