第32話 パーティ移籍
結局3人でギルドに来てしまった……右腕にソニアが左腕にイヨーナが腕を絡ませて、なんか連行されてるみたい……離してと言っても離してくれないし……
それに周囲から殺気を纏った視線を感じるんですが気のせいじゃないよなぁ。まさか俺がハーレム主人公みたいな目にあうとは人生も分からないものだなー。
ギルドに入って真っ直ぐマーガレットさんのカウンターに向かう。イヨーナがちょっと及び腰になってるな。なんで?
「トーイちゃん両手に花ね、モテモテじゃないの!」
「よしてくださいよマーガレットさん、俺にはあなただけですよ?」
冗談で返すと、隣のイヨーナがビクッと震えてとんでもないものを見る目で俺を見た。冗談だよ?
「あらあら嬉しいこと言ってくれるわね♡でも私にはダーリンがいるのよ諦めて頂戴!」
「あらまぁフられちゃいましたか……じゃあパーティメンバーが増えたので申請です」
軽く冗談を交わして本題に入る。マーガレットさんがちょっと嬉しそうに、
「トーイちゃん実戦を経験したからかちょっと凄みが出てるわよ!ちょっとキュンキュンしちゃうわね♡」
「ははは、メグちゃんいいから手続きしようか?」
ソニアが平坦な声を出して手続きを促す。怖い……
「ふふふ、ソニアも凄みが出たわね。良いわ!すごく良い!」
何故かマーガレットさんがハイテンションになってる……
「トーイ、マーガレットさんと仲が良いのね……」
イヨーナが引き気味に聞いてくる、マーガレットさんが初めて気付いたように、
「あら誰かと思ったらイヨーナじゃないの。あなたがこっちの受け付けに来るのは珍しいわね。それにリックとサマンサはどうしたの?見当たらないけど……」
あ~なるほどね、イヨーナはマーガレットさんが苦手なのか……マーガレットさんいい人なのになぁ。
「リックさんとサマンサさんはダンジョンで死亡しました……お金も無いので蘇生が出来ませんでした」
「そう……あの2人が……でもあなただけでも生き残ったのなら良かったわ。気を落とさないことよ?」
マーガレットさんが残念そうにイヨーナを慰める。イヨーナもちょっと悲しそうに俯くが気を取り直すように、
「そこでトーイに声をかけてもらって、パーティを組むことになりました」
「やるわね……傷心の女の子に優しく声をかけるなんて、さすがイケメンやることに卒がないわ」
周囲から「チッ」って舌打ちや「もげろ」と言う怨嗟の声が聞こえてくる。そんなんじゃないのに……
「人聞きが悪いですよ、それよりも手続きお願いします」
ソニアがコクコクと頷いてる、早くやれと言いたいみたいだな……
「はいはい、じゃあまずイヨーナの「紅蓮の炎」脱退手続きからね」
パーティ名が出た瞬間、隣のカウンターに並んでた連中が一斉にこっちを見た。そりゃあ俺だって聞いた瞬間にイヨーナを見ちゃったもん。ここまでベタに厨二テイストを醸し出す事なんて狙ってもできないぞ?
「炎」を「焔」とせずに、そのまま「炎」にする辺りがハイセンスだな……
よほど恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯き、皆の目線から逃げるように、
「リックさんが決めたんです!私とサマンサさんは嫌だって言ったのに……強引に……えぐっリックさん……サマンサさん……ひぐっ」
「あらあら思い出しちゃったのね、あんたたちも女の子の泣き顔をそんなに見ないの!あっち向きなさい!」
皆バツが悪そうにそっぽを向く、マーガレットさんはイヨーナの頭を優しく撫でながら、
「今日の今日だから泣いちゃうのも仕方ないわね。だけど酷なようだけど明日には笑いなさい。それが冒険者よ?」
「はい……はい……」
イヨーナも落ち着いて来たので手続きを進める。
「これでイヨーナの加入手続きは完了よ。しかし斥候をこんなに早く捕まえるなんて、順調ねトーイちゃん!」
「縁がありましたね、これで戦闘もかなり安定するんじゃないですかね?」
ソニアの才能は内緒にしとこう……引き抜かれたらたまったもんじゃないし。
「ソニアもそんなにブー垂れてんじゃないわよ」
「垂れてないもん」
「嘘おっしゃい、トーイちゃんを独り占め出来ないから拗ねてるんでしょ?」
「そんな事ないですー!」
どうもソニアの機嫌がよろしくないんだよなぁ、ホントに俺を独り占め出来ないからとかじゃないよな?
「ホントにこの娘は……トーイちゃん、ちょっとソニアに構ってあげてね?」
「もう、メグちゃん!そんな事ないって言っるでしょ!申請終わったんだから行きましょトーイ!」
「あっそーだ、トーイちゃんちょっといいかしら?」
「なんですか?」
「ウチのダーリンがトーイちゃんに会いたがってるの、今日夕飯一緒にどうかしら?」
おお、マーガレットさんの彼氏さんか〜、会ってみたいかも。どんな人なんだろうな……
「アレックスさんと食事なら私も行く〜」
「あんたもダーリンのこと大概好きよねぇ。あげないわよ?」
「要らないです〜」
アレックスさんっていうのか……ソニアが気に入ってるならいい人なんだろうな。
「イヨーナはどうする?」
「え゙?私はいいです!結構です!勘弁してください!」
え〜、そこまで嫌がらなくてもよくね?
まあ無理に付き合うこともないと、俺とソニアがマーガレットさんとアレックスさんのお宅にお邪魔してご馳走になることが決まった。
マーガレットさんの業務が終わったら、一旦帰宅しアレックスさんを連れて教会に来ることに決まって受付から離れる。
俺たち3人での活動も明日からということになり今日はここで解散、明朝にイヨーナが教会に迎えに来る段取りとなった。
「じゃあ教会に帰って神父さまに報告しようか」
「はい!」
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