第31話 新メンバー加入


 イヨーナさんと連れ立って教会に向かうその道すがら、


「「戦士」のリックさんと「魔法使い」のサマンサさんとは、適性検査所で並んでるときに意気投合してパーティを組んだんです。初日、2日目と順調に探索できていたのにこんなことになって……」


「見たところ7匹の敵とやりあったみたいだけど、人数的にかなり不利だったのに、よくやりあう気になったね」


「いつも初手でサマンサさんの「仮睡」の魔法で眠らせてから攻撃を開始するんです。それで大体多数の敵が寝てしまうのでその間に数を削るんですけど、あのときは効きが悪くて1匹しか眠らなくて……あとはモンスターに集られて対処するのに精一杯でリックさんのフォローもできず、サマンサさんの再詠唱の時間稼ぎもできなくて……私のせいです!!」


 イヨーナさんが泣き崩れた。


「イヨーナさんのせいではないですよ!運が悪かったんですよ……その「仮睡」の魔法が効いていたら勝てていたんですから」


 そうかな?そんな博打みたいな戦法で自分たちより多い敵と戦うからじゃね?その魔法が効かなかったときの事とか考えてなかったから壊滅したわけだし。まあ言わないけど、人の振り見て我が振り直せだな気を付けよう。




 教会に到着、神父さまが出迎えてくれてイヨーナさんに対応する、


「今回は大変でしたね」


 あれ?いつもの神父さまと違って言い方がちょっと冷たい?


「はいありがとうございます、それでリックさんとサマンサさんの蘇生ですけど……」


「状態を確認しました、蘇生は可能です。お布施は男性の方が金貨12枚、女性の方が金貨10枚になります」


 え?お金取るの?


「ソニア……蘇生ってお金要るの?」


「そうですね、お布施は最低で男性が金貨10枚、女性は金貨8枚で、あとはレベルが高いほど金額が上がっていきます。灰からの蘇生はその倍の金額です」


 男性で10万円女性で8万円で蘇生できると考えると安いのか?


「そんな……そんな大金持ってません!」


「でしたら心苦しいですが今は蘇生出来かねますね。ご遺体はお預かりしますのでお布施の用意が出来たらまたお越しください」


「そこを何とかなりませんか?」


「皆さん同じお布施で蘇生をさせてもらっています。あなたたちだけを特別扱いするわけにはいきません」


 今日の神父さまドライだな、でもまあ確かにイヨーナさんだけを特別扱いできないよなぁ。


「そうですか……また来ます……」


 トボトボと教会を出ていこうとするイヨーナさんに思わず声をかけた、


「なあイヨーナさん、俺たちと組まないか?」


「はい?」


「俺たち今パーティメンバー募集中なんだ、だから俺たちと組まない?」


 言い方は悪いけど利害は一致してる、俺たちはメンバーが欲しい。イヨーナさんはパーティが壊滅して1人になってしまったから、1からメンバー探しをしなきゃならない。


「それはありがたいですけど……良いんですか?」


「さっきも言ったけどメンバー募集中だから。良いよなソニア?」


「女の子なのが気に入りませんが……トーイに色目を使わないなら良いですよ?」


 お前は俺の何なんだ?


「えっと、2人は付き合ってるの?」


「はい「嘘つくな!」ちっ!付き合ってないですよ」


「そっか……良かった」


 え?どういう意味だ?


「どういう意味ですか!トーイ狙いですか?やらせませんよ?」


「まあまあ、良いじゃないですか。「斥候」レベル3イヨーナ17歳ですよろしくお願いしますね!」


 おお!「斥候」が遂に加入したか!これでとりあえず目標人員は確保したな。


「気に入りませんがとりあえず歓迎しましょう。ケント寺院カレント教会シスター見習い「僧侶」レベル2のソニアですピチピチの15歳です!」


「パーティ「遥か彼方」のリーダーやってる杉田 塔衣 「魔法剣士」レベル2だ。同い年だしイヨーナでいいかな?」


 さっきもしたけど改めて自己紹介、てかイヨーナって年上かと思ってたら同い年なんだな。


「もちろんです!私もトーイって呼びますね!それにトーイって噂の初期職「魔法剣士」ですよね?いきなり上級職って凄いですね!」


 イヨーナがさり気ないボディタッチをしてくる。それを見たソニアが俺の腕を取って、


「うがー!なにグイグイ来てるんですか!トーイは私が先に目を付けたんです!私のです!」


「ソニアのでもないから……」


「そんなに目くじら立てなくてもいいじゃない……トーイ、ソニアって怖いね?」


 うわぁ……この子はソニアと合わない気がしてきた。しくじったか?でも斥候はどうしても欲しい。


「そうだ!パーティメンバー増えたからギルドに報告に行かなきゃ!行ってくる!」


 ここは逃げの一手だな、マーガレットさん待っててくださいね!


 「あん、私も行きますよ!リックさんとサマンサさんの報告もしといたほうが良いと思うし、パーティの移籍手続きがいるかもしれないし……」


「2人が行くなら当然私も行きますよ!ふたりきりになんてさせませんよ?」


 え〜2人共来るのかよ……


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