第22話 ギルドのマーガレットさん
「ここに並ぼう」
俺が促したのはマッチョな海坊主の受付、小説とかだとこういう人の方が仕事が丁寧だったりするんだよな。
「ちょうど良かったです、私もこっちを勧めるつもりでした」
「そうなんだ」
やっぱり評判良いのかね?
「ほら空きましたよ行きましょう」
「分かった行こうか」
マッチョな海坊主の受付に並んで声をかけようとした時、受け付けの方から、
「あら?ソニアじゃないの、あなたがギルドに来るなんてどうしたの?」
え?
「もう、登録に来たに決まってますっ!それとついでにちょっと自慢!えへへ」
はい?知り合いか?てか海坊主の喋り方……
「紹介しますね、この子が友達のマーガレットです、メグちゃんこの人がこないだ言ってたトーイだよ!」
「あら、この子がそうなの?やだ凄いイケメンじゃないの!ソニアここまでとは聞いてないわよ!」
「言いました!でもメグちゃんが信じなかっただけでしょ!」
「もうこの子ったらこんなイケメン連れてきて自慢なんて悪い子ね!あら、ごめんなさいあなたを放ったらかしにしてたわね。ご紹介に預かりましたマーガレットよ、気軽にメグって呼んでね♡」
マッチョな海坊主改めマーガレットさんからウインク付きで挨拶された、ちょっと意外だったのでフリーズしてたけど再起動。
「ご丁寧にありがとうございます。杉田 塔衣と言います。杉田が名字で塔衣が名前です。何故かみんなトーイと呼ぶのでそう呼んでもらって結構です。初対面なのでマーガレットさんと呼ばせてもらいますね?よろしくお願いしますねマーガレットさん」
挨拶を返しておく。しかし噂のマーガレットさんがギルド勤めとはびっくりだな。
マーガレットさんはキョトンとした顔で、
「あらトーイちゃんあなた驚かないのね?」
「いえ驚いてますよ?噂のマーガレットさんがギルドに勤めていて今日会えるなんて」
「いえ……そうじゃないんだけど……クスクスクス、ねぇソニア」
「なあに?」
「あなたいいオトコ見つけたわね!今まで悪かった男運がここに来て大爆発じゃないの!いいわね?この子は逃がしちゃダメよ!」
「もちろんです!」
周囲からザワザワ声が聞こえてくる、
「すげぇあのマーガレットと初対面で普通に話してるよ……」
「もしかしてそっち系のやつなのか?」
「どういう神経してんだ?すげぇな」
「マーガレットさんもなんか嬉しそうね」
「チッ、優男のくせにやるじゃねーか」
2番目のやつ黙れ!俺はノンケだよ!あと、こっちにはジェンダーレスとかジェンダーアイデンティティとかって無いのかな?まあいいや。
「さてとマーガレットさん、そろそろ登録したいんですが?」
「あらそうね、お仕事しましょうかね?」
マーガレットさんの説明を聞いて思ったのは、このアースガルドのギルドの仕組みは大体いろんなファンタジー小説などにあるのと似ているな……だった。
最下級ランクのストーンからアイアン、ブロンズ、シルバー、プラチナ、ゴールドと進み最上級のオリハルコンまで7段階ある。
シルバーまでは昇格ポイントを貯めて昇級クエストをクリアすれば誰でもなれるが、プラチナ以上はギルドの推薦が必須でさらに昇級クエストをクリアしなければならない。
パーティランクというものもあって、こちらも同じくストーンからオリハルコンまである。パーティ全員のランクを加味してギルドが判断するそうだ。
クエストは屋外のものとダンジョン内のものがあり、総じて屋外のものが高ポイントとなっている。
「屋外は攻撃魔法が使いにくいでしょう?だから総合力が高いか魔法を使わない、そういう人かパーティしか依頼受けないのよ」
俺達も基本ダンジョンの依頼しか受けないだろうな。そのダンジョンの依頼は討伐依頼が主になっており、どの階層のモンスターを期限内までに何匹倒すなどとなっている。報酬はおまけ程度で目的は昇格ポイント稼ぎになる。
ランクが上がると報酬が上がったり指名依頼で割の良い依頼が来やすかったりと恩恵があるそうだが、ダンジョン探索を主にやるパーティはそういうのはあまり意味が無いものだってマーガレットさんが小声で教えてくれた。
大雑把だけど説明はこんな所であとはギルド員の規約の話が結構あった。内容は普通に常識の範囲内で生活してたら違反しないようなことばっかりだったので割愛。
俺とソニアの登録はスムーズに終わりストーンランク冒険者が2名誕生した。
続いてパーティ登録、こちらはパーティ名とパーティメンバーの登録だけで終わり。ただメンバーの増減があったときは申請することが義務付けられていると説明された。違反したらペナルティだって。
メンバーは俺とソニアで今のところ決まりでしょ?パーティ名は昨日寝る前に候補をいろいろ考えてきた。
「深淵」「凱旋」「シーダー」「星虎」「魔剣」「白夜」「異邦」「オリオン」
「果てなき薄紫の夕暮れ」「守り人の詩」「遥か彼方」「煌きの狂虎の神旗」「残影の冥王」
などなど、どれも捨てがたい……
「あとはパーティ名の登録で全部終わりですよ」
「実は昨日から幾つか考えて来てるんだ、それでいいかな?」
「はい、私は別にこだわりありませんから良いですよ」
ならば考えた中で1番のお気に入りの、
「「深淵」って名前にしようと思うんだ。ダンジョンの深淵を目指してって感じで!」
「良いですね、なんかカッコいいし」
2人でワイワイしていると、マーガレットさんがワナワナ震えながら聞いてきた、
「トーイちゃん……本気で言ってる?」
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