第21話 ギルドへ
「トーイ〜起きてますか〜起こしに来ましたよ〜」
「うみゃ?舞かぁ?みょうちょいにぇかせて……」
「……まい?トーイ!起きてください!」
「なんだぁ!なにがあった?地震か?」
なんかガックンガックン揺れてるんですけど!?ってソニアか揺らしてるのは?
「起きましたか?起きろー!」
「起きた!起きたから!なんだ一体?」
朝からえらい剣幕だな、何があった?
「トーイ!マイって誰ですか!?こっちに来て1週間でもう他の女を作ったんですか!?これだからイケメンは!!」
マイ?……ああ舞ね。てか何で舞のこと知ってんだ?
「舞のことなら妹だよ?ソニアは何で舞のこと知ってんの?」
「今寝言で言ってました!ホントに妹さんですか!?彼女とかでなくて?」
疑り深いやつだな……つーかまるで彼女みたいな口ぶりだな。
「妹だよ、ほらこいつ」
スマホを操作し舞の写真を表示して見せる。
「なんですこの板?おお!すごいキレイな写真ですね……それにすごく綺麗な人、この人がマイさんですか?なんか腕組んでてオンナの顔してますよこの人……ホントに彼女とかでなく?」
オンナの顔ってなんかすごい言われようだな……
「いくらソニアでも妹を侮辱するのは許せないな……あと俺は今まで彼女居たこと無いから……」
ちょっと声に怒気を込めて言ってみた。ソニアは申し訳無さそうに頭を下げて、
「すみません、知りもしないで勝手なこと言っちゃいました……」
「分かってくれたんならいいさ、さあ朝めしだろ?行こうぜ」
ソニアを追い越して食堂へ行こうとしたら肩を掴まれて止められる……なんだ?振り返るとニコニコ顔で、
「それでトーイ?今まで彼女が居たこと無いって本当ですか?」
「悪かったな!今でも疑ってるけどこっちでイケメンでも、向こうでは平凡なんだよ!」
平凡だよね?ブサメンじゃないよね?
「今まで居なかったということは、私が初めての女!」
「言い方!それとまだ付き合ってないから!」
「まだ?今、まだって言いましたよね?少し軟化してますよ!」
失言だった……ちょっと顔が熱くなってるしヤバいな……
「もういいだろ?早くめし行こうぜ!」
「はいはい、もう可愛いんですから!」
朝食を食べ身支度を終わらせてソニアを待っていると、神父さまから肩を叩かれ「若いねぇ」と笑われた。恥ずか死ぬ……
ソニアと合流して街中を歩く、そう言えばアースガルドに落ちてもう1週間になるけど街を歩くのは初めてだな。ずっと職業訓練所と教会の往復だったからな……
「結構活気のある街だね、みんなの表情も明るいし景気が良いのかな?」
「そうなんですかね?私はこの街しか知らないんですよね。なので違いが分かりませんけど、神父さまが仰るにはダンジョンが有るからだということらしいですよ?」
「なるほどね……他所からダンジョン目当てで人が引っ切り無しに来るだろうから、人も物も金も循環するのかな?」
それっぽい事を言ってみる。でもあながち間違いではないと思うけど。
「神父さまもそんな事仰ってました……凄いですね」
「そんな事ないよ、それよりギルドってどこ?」
「ギルドなら中央広場から東門通りに行ったところです。酒場の隣で剣と金貨の看板が目印ですよ」
大勢の人で賑わっている中央広場から、東門通りに入ってしばらく歩く。
酒場の隣っと、剣と金貨の看板……あれかな?
「あれですね、では入りましょうか」
スウィングドアを開けて中に入る、酒場の隣ってか酒場とつながってるじゃん。ホントに物語のギルドっぽい。
入った瞬間からこっちを見てる視線を感じる……
「あれ初期装備の鎧だよな?」
「ああ、てことはあいつが噂の初期職「魔法剣士」か……」
「どうする勧誘してみるか?」
「結構二枚目じゃない?誘ってみようかしら」
「けっ……優男が、気に入らねぇな」
間違いなく俺のこと話してるよな?初期装備って言ってたし!てか個人情報保護どこ行った!?
「受付は奥ですね」
「ん?あいよ、行ってみようか」
奥はカウンターになっていてさらにその奥はギルド職員のスペースみたいだな、忙しそうに動き回っている。……なんか町役場とか区役所みたいだな。
ちょっと緊張しながらもカウンターへ近付く、受付は3つで右から美人さん、おばちゃん、マッチョな海坊主の順に並んでいる。
美人さんの受付は若い男を中心に列が出来ている。おばちゃんの受付はちゃっちゃかちゃっちゃか処理してて仕事が早そう。マッチョな海坊主の受付は空いてるな、2人並んでるだけか……
「ここに並ぼう」
ソニアに声を掛ける。
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