第20話 「お兄ちゃんには私以外の女の子は必要ないのです」

作者

  今回はギルドの話と言ったな?……あれは嘘だ。




 神父さまから剣をいただいて、ソニアと明日ギルドに行く約束をしてから自室に戻る。その際に神父さまからニコニコ笑いながら、


「ソニアと同じ部屋でなくていいのですか?」


とからかわれた。そろそろ誤解を解いてもらわないと……


「ソニアの奴、誤解を解く気有るのかね?最悪俺が解かないと……」


 ベッドに横になりながらこの3日間を思い出す。


「しかし、あ~疲れた……でも3日前より確実に強くなった気がする」


 これって地球あっちに帰っても格闘技で無双とか出来るんじゃね?というか、もしかしたら魔法を覚えたまま帰ることも出来るかも!


「夢が広がるね〜!絶対に帰るぞ!」


〜♪〜〜♫〜〜〜〜♬〜♪


 おっとこれは舞からのメッセージだな。


『お兄ちゃん、ちゃんと生きてる!?』


『いきなり物騒だな!』


『だって心配なんだもん』


 もう会えなくて6日になるから寂しがってるのか?


『大丈夫だって!まだダンジョンにも入ってないし』


『ダンジョン!お兄ちゃんの行った世界ってダンジョンが有るの?そして入るの?』


『おう、明日ソニアとギルドに行ってくる!』


『ギルド!ファンタジーだね!というかまたソニアさん……お兄ちゃん、ソニアさんになにもしてないでしょうね?』


 昨日の事が脳裏をよぎる、半裸のソニア、キス待ち顔のソニア……


『してないしてない、それどころじゃなかったから』


『どうしたの?何かあった?』


『兄ちゃんな「魔法剣士」になったぞ!』


『どうしよう……お兄ちゃんが中2病発症しちゃった。高2なのに……』


 なんてことを言うんだこの妹は!


『失礼な!嘘とか厨二とかじゃないぞ!ここは異世界!魔法有るの!』


『はいはい、妄想乙って言うのかなこういうときは。あと林のおじさまに相談して、お兄ちゃん病気で長期療養ってことにしたから』


『おー、林のおじさん信じてくれたんだ……さすがだな。あとサンキュな、おじさんにも言っといて?』


『メッセ見せたらすごい羨ましがってたよ?今度やりとりしたいんだって。付き合ってあげてね?』


『オッケーオッケー、てか家以外でメッセのやりとり出来るのかね?今度試さなきゃだな』


『言われてみるとそうだね……今度ためそうっていうか今から試す?』


 近況は大体知れたし伝えたな……信じてくれなかったけど……ホントなのに厨二じゃないのに……


『いや、「魔法剣士」基礎コースの訓練で疲れてるからもう休むわ』


『まだ言ってる……でも分かったまた今度ね?』


『はいよ、じゃあなお休み』


『お休みなさい』





【杉田 舞 Side 】


 お兄ちゃんが今日も生きててくれた……異世界なんて私の手の届かないところに行っちゃったお兄ちゃん。   今日1日お兄ちゃんに何か起きるんじゃないかと心配で心配で勉強も手につかなかった。


 放課後に林のおじさまのお宅に伺ってメッセージを見てもらったら、あっさりと異世界云々を信じてもらえた……


「とりあえず病気で長期の海外療養と学校には届けるとして、異世界とは塔衣くんが羨ま……ゲフンゲフン心配だね。後見人として安否が気になるから、私も塔衣くんとやりとりさせてもらえないかね?」


 おじさまの好奇心旺盛な悪いクセが前面に出てましたね。おばさまが申し訳無さそうにしてらしたので後で叱られていることでしょう……

 しかし好奇心旺盛そういうところはお兄ちゃんと気が合うところなので憎めないですね。


「お兄ちゃんのためにこっちで出来ることってあと何があるかな?それが終わってもお兄ちゃんが帰ってくるまで、ただ待ってるのも良くないよね?お兄ちゃんに悪い虫がついちゃう!メッセージで牽制しながら何か考えないと……」


 どうにかお兄ちゃんにあっちでの生活基盤が出来そうなのは安心だけど、そこにソニアとか言う虫がくっついていくのは感心できないなぁ。


 1度お兄ちゃんを丸め込んでソニアさんの写真でも撮ってもらおうかしら。敵の顔は知っておきたいですし……


「お兄ちゃんには私以外の女の子は必要ないのです」





◇◆◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


ネタじゃないんです!ホントにギルドの話を書くつもりだったんです!手が勝手に動いたんです……舞ちゃんを書けと勝手に動いたんです!


次回は絶対にギルドの話を書きます。


次回も読んでいただけると嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る