第17話 インターミッション


 顔を真っ赤にしたソニアがトゲが付いた棒を振り下ろす、当たれば頭がザクロのように潰れるだろう一撃に彼女のテンパり具合が見て取れる……

 とはいえその一撃は威力はともかく、太刀筋はマスターの一撃とは比較にならないものだった。

 俺は一歩踏み出し間合いを詰めながら体を半身にしてソニアの一撃を躱すと、そのままソニアを抱きしめる。みぞおち辺りにソニアの胸が当たって柔らかい感触が広がる。それになんか甘い香りがする。


「なっ!なん!なんですかー!今開けないでって言いましたよね!?なんで開けるんですか!それに離してください!」


 言ってたね確かに100パー俺が悪い……その気不味さに抱きしめる腕に力が入る。ムニュっと感じる柔らかい感触が更に強まる……


「あんっ」ゴトリッ


 ソニアの甘い声とトゲ付き棒が床に落ちる音が耳朶を打つ、その声の甘さと音の重さに更に抱きしめる強さが強くなる。


「ん……トーイ?」


 問いかける声を無視してベッドにゆっくり押し倒す。って俺はなにやってんだ?でもソニアの甘い香りと柔らかさに当てられて、もう止まらない止められない。  

 ソニアもその雰囲気を察してか、押し黙って目を潤ませて俺の首に手を回しちょっと唇を突き出して目を瞑る……

 その唇に引き寄せられるように顔を近付け、唇が触れ合う寸前、


「あなたたちは何をやっているんですか?」


 神父さまの冷たい声が聞こえてきた……


「「あっ」」


「……さて、2人とお話しなければいけませんね……まず離れなさい」


「「はい……」」


 そそくさと離れる2人、ソニアはシーツで胸を隠している。それを確認すると、


「トーイはこちらに……ソニアは服を着なさい」


「「……はい」」


 静かな神父さまがとてつもなくおっかなくて返事しか出来ない……

ソニアを残して室外に出て扉を閉める。


「はぁ……まったく」


 うわぁ気不味い……これは出ていけと言われるまであるな……さすがにソニアまでってことは無いだろうからそこは安心だけど。

 手元にお金無いし、明日の講座が終わったら速攻ダンジョンに入って稼がなきゃ……しかし何故あそこで抱きしめるかな!バカか俺は……


「お待たせしました」


「ではこちらに来なさい」 


 神父さまの執務室に通されソファに座るよう促される、2人並んで座った対面に神父さまが座り腕を組む。

 しばしの沈黙のあと、


「2人とも成人しているのですから、本当は私がとやかく言う事ではないのでしょう。しかし場所というものを考えて行動してください……何も教会の自室で致すのにドアを開けたままでなんて……そういう趣味は宿屋にでも泊まりながら致しなさい」


「あのーすみません神父さま、そういう趣味というわけではなく……」


「……?では何故ドアが開いていたのですか?」


 ああなった経緯を説明……


「なるほど……トーイくん」


「はい」


「成人しているとはいえまだまだ若い君には酷かもしれないが、衝動を抑えるということも大人になるには大事なことだよ?」


「はい」


 何も言えない……恥ずかしい。


「しかしまさか君たちがもうそんな関係になっていたとは驚きです……」


「「はい?」」


「ははは、まだ出会って数日なのにトーイくんもやりますね。それにソニアもなかなか良縁に恵まれなかったけどいい出会いに恵まれて良かった!」


 あっこの人勘違いしてる、訂正しなければ!


「いえ、神「そうなんですよ神父さま!トーイってば結構強引で〜」


 ソニア?こいつ既成事実を捏造してでも外堀埋めにきやがった?


「ソニアお前……」


「裸を見たバツです、しばらくこのまま誤解してもらっておきます。心配しなくてもあとで誤解は解いておきますよ」


「どうしました2人とも?」


「いえ、なんでもありません」


 

 結局このあとは大したお小言もなく話はうやむやになって、誤解も解けないまま終わった。

 しかし後日、誤解が解けた神父さまから肩を叩かれ「若いねぇ」と笑われたけどね。恥ずか死ぬ。


 認めたくないものだな、若さ故の過ちというものを……





◇◆◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


最近説明回ばっかりだったので、ちょっと箸休め回です。

最後のはパクリじゃないです。インスパイアです。



次回も読んでいただけると嬉しいです。

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