第11話 異世界でスマホが繋がった?
「おお!ソニア帰ってきたか!」
「神父さまどうされたんですか?そんなに慌てて……」
「法皇猊下が崩御された」
神父さまと呼ばれた男性が、法皇というくらいだから多分ケント寺院のトップだと思われる人物が亡くなったことを告げてきた。
「それだと院長さま本部に行かなきゃいけませんよね?蘇生業務をどうされます?」
「院長さまはもう旅立たれた。蘇生業務は私が受け持つが、ソニアの本部行きは無くなってしまった……」
「実は儀式の最中にゴブリンに襲われてしまいまして、儀式は失敗してしまったんですよ。なのでどっちみち今月の本部行きはなかったです」
「そうか、それは不幸中の幸いだな……ソニアには今回は諦めてもらうことになるが……」
神父さまは申し訳無さそうにソニアに告げたが、ソニアは逆に嬉しそうにニコニコして、
「仕方ありません。ただ、ダンジョンに入って良いですか?」
「そうだな……コホン、そうですね本部での修行が無くなりましたから、多少危険ではありますがダンジョンでの修行を許可しましょう」
「ありがとうございます」
「ところでソニアそちらの方は?」
神父さまはこちらを見ながら聞いてきた。
「儀式のときゴブリンから助けてくれた人で落人なんです」
「杉田 塔衣といいます。杉田が苗字で塔衣が名前です。よろしくお願いします」
「トーイくんですね、私はケント寺院カレント教会の神父ジュタスです。ソニアを助けてくれてありがとうございます。そして落人ということは知らない土地で心細いことでしょうが、安心してください当教会で支援いたします」
さすがに神父さまだけあって言葉に安心感があるな……落ち着くわ。
「ありがとうございます。あとお聞きしたいことがありまして……落人が故郷に帰ったという話は聞いたことありますか?」
「残念ながら直接は聞いたことはありませんね、ただ帰った人がいるとは聞いたことがあります。希望はあります頑張りましょう」
帰った人はいるのか……なら絶対帰る……舞待ってろよ?
「儀式の湖からカレントまでこの時間で来たなら今日は疲れたでしょう?部屋を用意しますからゆっくり休んでください」
「なにからなにまでありがとうございます。お言葉に甘えます。実は結構眠くて……」
「そうですか、ソニア彼の案内を頼みます」
「はい、神父さま。トーイこっちだよ」
ソニアに連れられて教会の奥へ、あてがわれた部屋に入ってベッドに倒れ込んでひと息つく。
「なんとか人里に来れた……ソニアさまさまだな。でもずっと世話になることはさすがに出来ないだろうから、早めに帰るまでの生活基盤を作らないと……」
そのまま眠りに落ちていく……
何時間寝ただろう頭痛い、それに身体中が筋肉痛でビキビキいってるんですけど?
時間を見ようといつものクセでスマホを覗き込む、
「あれ?バッテリー減ってない……なんでだよ」
何も操作してなくても2日近く充電してなかったら、それなりに減るものだろうに80%以上残ってる……
「それにメッセが届いてる……」
ゾクリ……背筋に寒気が走った……メッセージアプリを起ち上げる、妹の舞からだった。
『お兄ちゃんどこにいるの?』
「怖い怖い怖い怖い怖い!え?なんでこっちにメッセが届くんだ?」
いや、冷静になれ!こっちに来る直前のメッセージかもしれない!内容とかはこの際考えるな。こっちと向こうで繋がるわけがないと強く思え!……と現実から全力ダッシュで逃げていたら現実が追っかけてきた……
ポンッ……新しいメッセージ受信、
『お兄ちゃん!今メッセージ見てるでしょ!返事して!!』
◇◆◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
なんとかタイトル回収できそうです(笑)
次は舞ちゃん視点になります。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます