第10話 ダンジョンはファンタジーの華だよね
「お疲れさま!もうすぐ森を抜けますよ」
「おお、やっと木以外を見られる!」
「ははは……」
朝早めに起床して火の始末をしたらすぐ出発、森の中の山道を3時間ほど歩いた辺りでやっと森を抜けるようだ……
森を抜けたらどんな異世界の景色が見られるんだろう!中世ヨーロッパ感あふれる街並みか?それともまさかのサイバーパンクか?……あれ?
「ソニアさん?」
「はい」
「地平線が見えるんだが……」
「そうですね〜、平原ですから」
そう、森を抜けてみると見渡す限りの平原、まだ森の中のほうが変化に富んでいたまであるな……
「トーイ、ようこそ「エギンス王国」へ!辺境ですけどね……」
ソニアが歓迎の意を表明してくれる。
「エギンス王国?」
「そうですよ、この国の名前です!」
「「アースガルド」違うの?昨日言ってたじゃん?」
「アースガルドはこの大陸の名前ですね、なので正確には「アースガルドにあるエギンス王国にようこそ」となります」
「ほうほう、でその辺境にある街がカレントの街ってわけね」
それは昨日ソニアから聞いている。ソニアが暮らしている街でありこれから向かう街でもある。
「そうですね、でも辺境の街と言っても結構賑わっているんですよ?」
「へー、なんで?なんか特産品でもあるの?」
「特産品ではないですけど、需要が無くならないものが近くにあります」
何だそれ?つまり物ではないのかな?分からん……
「ダンジョンです」
「ダンジョン?」
「そうです、あとそれに伴う職業訓練所とギルドですね」
「職業ってあれかな、昨日言ってた魔法が使えるようになる」
「それだけではなく、基本の4職業に加えて上級職4職業のうち2職も修得できるので人気なんです。ダンジョンも10層しかない初心者向けですので、カレントの街は別名「駆け出し冒険者の街」とも言われています」
おお!俄然異世界っぽくなってきたじゃんか!こっから俺Tueeeが始まるのか?
「まあ初心者向けと言っても、職業の適正値に満たない人は入ることもできませんから。でもトーイなら少なくても、戦士にはなれると思いますから大丈夫です!」
「戦士かぁ、戦士は魔法使えないよな?」
魔法を使いたい!戦士は痛そうだし魔法使い希望だな、イメージ的には知力高かったらいけそうだから俺にピッタリだし?
「男の子って結構戦士が憧れだったりするんですけどね?」
「漢のロマンは分かるけど痛いの嫌なので……あと魔法を使いたい」
「トーイがダンジョンに入るなら私も入りたいけど、王都の本部に行かなきゃだしなぁ」
「旅立ちの儀式のやつ?」
「そうです、本部で修行できるんです!できるんですけど……」
なんか行きたくなさそうだな……
「行きたくないん?」
「そんな事はないですよ?結構競争率高いんですから!」
「ふーん、どんなとこだろうな王都?楽しみだな!」
「え?」
何驚いてんだ?あれ?聞き違いだったかな……
「あれ?故郷に帰る方法一緒に探してくれるんじゃないん?」
「いえ、あの……その。……はい!一緒に行きましょう!」
なんかやたら機嫌が良くなったソニアがルンルンで先導してる、と言っても一本道だしもう遠目に街らしきものも見えてきたけどな。
「ソニアあの街がそう?」
「はい!あれが私達の街カレントです!そして向かって右側、東に有るのがダンジョン「辺境の試練場」と職業訓練所です」
ソニアによると街にはグルっと城壁が囲っており、ダンジョンから出てきたモンスターなどの外敵から街を守っている。そして東西南北にそれぞれ1つずつ門が有り、それが街への玄関口になっている。
今俺達が向かっているのは南門で、入ってすぐ西にある教会がソニアの所属する「ケント寺院」のカレント教会らしい。
ケント寺院はアースガルドの全土にまたがって広く普及している、回復魔法による怪我や麻痺の回復、毒の解毒など結構直接的なことでの救済を教義としている宗教であるらしい。
また、ケント寺院の奥義とされているのが、従来のものより確率の高い蘇生であるとか……そう!蘇生だって!この世界では寿命や病死ではない、戦闘などで負った外傷などが原因の死亡なら蘇生できる可能性がある!らしい……
まあケント寺院の蘇生でも確実ではなく、失敗すると蘇生のエネルギーに耐えられず遺体が灰になってしまうそうだし、2度目の蘇生に失敗すると完全な消失この世界で言うところのロストになってしまう。しかし、遺体も残らないリスクはあるものの、2度も蘇生のチャンスが有るというのは、ダンジョンなどが有りまたゴブリンくんやワイバーンさん等モンスターが跋扈し、死が間近にある世界では大変ありがたいものだからケント寺院はかなりの隆盛を誇っているらしい。
南門をくぐって西側に少し入った場所に件の教会がある。ソニアはやや早足になりながら教会の敷地に入り扉を開けて、
「ただいま帰りました!」
帰着の挨拶を高らかに行うと、中にいた中年の男性が振り向きながら、
「おお!ソニア帰ってきたか!」
「神父さまどうされたんですか?そんなに慌てて……」
「法皇猊下が崩御された」
◇◆◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
ダンジョンとかファンタジーっぽいですよね!入るとはまだ言ってませんけど……
いろいろとどっかで聞いたことのある設定かもしれませんが気のせいです!
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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