第9話 お試しで付き合うってどういう意味があるのかな?
「私と結婚を前提に付き合ってください!」
「お断りします」
「えーーーー!?」
いやいや、いきなり結婚を前提って言われても。
「いきなり過ぎるだろ」
「そんな事ないですよー、裸見られたし、責任取ってください!」
「あれは事故だよね?それに大事なとこは上手く隠れてて、残念ながら見れなかったよ!」
アニメとかの謎の光なみに上手く隠してたよね。ガッデム。
「あと、俺は故郷に帰るの!こっちで結婚できるか!」
「そうでしたね……仕方ありません結婚の話は保留で、お付き合いから始めましょう!」
「まだ諦めないのか……まあそれくらいなら考えてみるけど……」
「なんでですか!可愛いって言ってくれたじゃないですか!あれは社交辞令だったんですね?乙女心を弄んだんですね!」
「人聞きの悪い事言わないでくれる?あと考えるって言ってるだろ?」
「大体そういうときは断られるんです!メグちゃんが言ってました!」
チッ、マーガレットさんとやらめ、いらん事を教えてからに……
「俺達初対面でお互いの事知らな過ぎるだろ?もっとお互いの事を知らないと」
「そうですね……ではどうでしょう?お試しでお付き合いをするというのは?」
「……それって聞くたびにいつも思ってたんだけど、普通に付き合うのとどう違うの?」
普段からの疑問を投げかけてみる、舞も首を傾げていたので言われた方も理解していないのだろう。なら言った方は理解してんのかな?
「え?えーと?どうなんですかね?」
言った方も理解してなかった……多分ハードルを下げて、なし崩し的にお付き合いにもつれ込むための方便なんじゃね?
「収拾がつかないからとりあえずお友達からでいいだろ?」
「お友達ですか……一気にスケールダウンしましたね……まあいいでしょう、イケメンとお友達になれたと自慢します……」
本気か?俺がイケメンって美的感覚おかしくないか?言ってて自分で悲しくなってきた……
「それ本気で言ってる?ソニアのイケメンの定義って変なんじゃない?」
「何言ってるんですか!ケニーちゃんやメグちゃんからは、モテないくせに面食いでワロスってバカにされているんですよ。ってムキーあの2人ひどくないですか!?」
こっちでもその煽りあるんだ……
とりあえずお友達から始めることで落ち着いて、ゴタゴタしている間にすっかり遅い時間になったので交代で休むことになった。
「2人いますから火の番と見張りが交代で出来るのはありがたいです」
「確かにゴブリンくんが出たから見張りはほしいよな、お友達連れてこられたら大変だし……」
「なんでずっとゴブリンにくん付けなんですか?」
「で、どっちが先に休む?」
「スルーですか……トーイも疲れたでしょうから先に休んでください。適当なところで起こしますから」
「ありがたいけどソニアが先に休みなよ?女の子に先に番をさせるのもなんか気が引けるし、俺が先に番をするよ」
「……分かりました、お言葉に甘えて先に休ませていただきますね。でも……良いですか?」
真面目な顔をしている……なんだろう怒らせちゃった?何かしたかな?
「どうした?俺なんかしちゃった?」
「そういうわけではないですよ?トーイはこっちの人ではないので分からないのは当然です。ただ、今私達はパーティを組んでます」
「え?そうなの?」
「まあ正式にではなく臨時で、それも便宜的にですけどね?雇用関係にないので対等な関係です」
「まあそうなるのか……」
「対等な関係のときに今の気の使い方は相手に失礼です。また、意地汚い人に利用されたりもしますので改めたほうが良いかと思います」
「なるほど、……ごめんなそんな事考えもしなかった。気をつけるよありがとう」
その通りだと思ったので素直に謝り、あわせてお礼を言ったらソニアがちょっと苦笑いをして、
「こんな事言うから可愛気がないとか言われるんですよね……」
と自嘲気味に呟いた。そのあとちょっと顔を赤らめて俯きながら、
「でもお礼を言われたのは初めてですから嬉しかったですよ?」
と微笑んだ顔が今までで一番可愛くてドキリとした。
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