第7話 異世界の魔法



「なんか期待させちゃいましたけど、私は見習いですから第1階梯しか使えませんよ?」


 俺の期待に満ちたキラキラした瞳に恐れをなしたのか、なんか言い訳をしている。しかしそんな言い訳は無意味だな、何故ならその第1階梯?だろうが魔法は魔法!期待しか無い!


「結構結構!基本は大事!さぁドントコイ!」


「もう!期待外れでも知りませんからね!やります!───────────封傷」


 何故か聞き取れるのに頭に入ってこない言葉を、二言三言口ずさみ最後に魔法名?を唱えた瞬間、俺の手のひらの周りを淡い光が包み込み、見る間にキズが塞がっていく。


「おお光った!それにキズが塞がっていく!あとなんかくすぐったい……これはあれかな?魔法で細胞が急激に増殖してるってこと?」


「まあ光ったりキズが塞がるのはそういう魔法ですから当然です……あとくすぐったい理由もその通りです……よく分かりましたね……僧侶でもないのに」


「知識として有るだけだよ、なにかを出来るわけじゃないから大した事ないよ。それよりこれで第1階梯?基本魔法って認識で良いのかな?ていうのは凄いな魔法……」


「知識だけでも大したものだと思いますけど……まぁ僧侶系第1階梯は基本魔法って認識で間違いありません。大した事ないですよ実戦では全然使えませんし……」


 実戦では使えない?そうかな?使いような気がするけど……


「え〜そうかな?さっきの俺のケガだって放っといたら、治るのに3〜4日は普通にかかるのが一瞬で治るんだよ?恩恵凄いと思うけど……」


「その程度ですよ、まぁ見習いですら使える魔法ですからね?過度な期待は禁物です」


「そんなもんかな〜まあ良いや!第1階梯ってことは第2、第3ってあるんだよね?あとMP制?回数制?それと僧侶系って言ってたけど魔術師系も有るの?あとスリーサイズ教えて?」


 なんかいろいろ疑問が出て来て矢継ぎ早に質問を投げかける。


「え?え〜と、魔術師系魔法も有りますよ、階梯は第7階梯まで有りまして、えむぴーってのはよく分かりませんが各階梯毎に使用上限回数が有ります。これは僧侶系も魔術師系も同様ですが回数の共有はしていません。何故回数制限があるのかは説明が長くなるのでここでは省きます。あとスリーサイズは上から86……って秘密です!何言わせるんですか!さっきの棒で顎じゃなくて頭を叩きますよ?」


 おおすげぇ、淀みなくスラスラと答えているところを見るに、結構ソニアって優秀なのかもね。スリーサイズは惜しかったが聞きたい情報は聞けた……86か……あとは何カップかだな。


「あっそれと、どうやったら魔法使えるようになるの?あと最後に、ソニアって彼氏いる?」


 最後の質問にソニアの眉がピクリと反応した。やべ危険な質問だったかもしんないな……


「……魔法を使えるようになるには、使える職業に就き修行してレベルを上げることです。職業に就くには能力適正が有りまして水晶等の魔道具で判別します。適正値に満たなかったら職業には就けませんのでそういう意味では狭き門かも知れませんね……あと、私には彼氏は居ません同い年の友人のケニーは先月結婚しましたしマーガレットには彼氏が居ますけども私には居ませんというか居たことがありませんがそれがなにか?」


 あっやっぱり地雷だった……ここは褒めてやり過ごそう。そうしよう。


「そうなんだー職業かー俺に就けるかなー。それにソニア可愛いのになんでだろうね?」


 実際、ソニアはとびきりの美少女である。妹の舞と比べても遜色ないレベルだと言えば、その美少女っぷりも分かろうというもの。

 舞はいわゆる綺麗系の美少女で見た目的には冷たい印象を与えるが、ソニアはどちらかというとカワイイ系の美少女でほんわかした印象を与える。話してみるとしっかりしてて、話す内容的にも優秀さが垣間見えるが。でもテンパると駄目なタイプかもしれない……


「可愛いなんてそんな……でも話してみると女のくせに真面目すぎるとか、可愛気がないとか、チビのくせに胸があってバランスが悪いとか、歳の割に顔が子供っぽすぎて無理とか散々言われてるんです!」


 おおう!もしかするとこの世界の人は欧米系の人種で、日本人が幼く見えるのと同じ理由でソニアも幼く見えて手が出ないのかも?性格は知らんがな……あと下手に慰めないほうがいいかも。


「そっか大変だね!ガンバレ!」








◇◆◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます!


予告通りに1話まるまる説明とついでにソニアちゃんの愚痴の回でした。

ソニアちゃん日本人目線でもちょっと童顔です。

それが欧米風の世界に居れば……ねぇ?という偏見

ソニアちゃんの明日はどっちだ?



次回も読んでいただけると嬉しいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る