第6話 これも異世界メシだよね?
夜営の手伝いと言っても知識が無いので、言われたものを運んだり持ち上げたり積み上げたりと力仕事を主に行った。
その時にも感じたことなんだけど、やっぱり俺の身体能力は上がってるっぽい。
少なくともゴブリンくん戦で感じたスピードとパワーの上昇は間違いないと思う。
ただ上がってはいるけど、風のように速くとか岩をも砕くとかいうほどでは無いので、チートと言うには寂しすぎる。チートにはちーとばかり足りないな……なんちて!ふぅ……
「トーイなに急に黄昏てるんですか?」
「いやなに……自分のセンスに戦慄してたんだ……」
「……?そうですか……それより晩ごはん出来たので食べませんか?」
「ごはん!丸一日なんも食ってないから……ないから!」
丸一日以上何も食べていないなんて体調壊して寝てた時くらいしか記憶にない……今元気があるのが不思議なくらいだ。
「その割にはトーイって体力有りますよね〜、力持ちなので夜営の準備が捗りました。おかけでゆっくり食事の準備が出来ましたし」
そう、これも身体能力が上がったと思った理由。昨日のような食事も出来ず水さえ飲めない状況でも、なんとか歩き続けることが出来たり、夜営の準備も息切れすることなく出来た。体力=スタミナ?が目に見えて上がった、普段ならこんな体力ないもん。
「なんかこっち来て身体能力が上がったみたいなんだ。何でだろう?」
「
「落人?なにそれ?」
「あれ?説明しませんでしたっけ?トーイみたいな別のところから落ちてくる人のことです。数年に1人くらいの割合で見つかるんですよ。大体は人里離れた山奥とかに落ちて人里に着く前に亡くなったり、高高度に現れて落ちてグシャッとなったりするんです……そういう意味ではトーイは運が良かったですね!」
うわぁ、エグい話だな……確かに山奥には落ちたけど、ソニアに出会えたからそういう意味では運が良かったのか?てかさっきの俺の説明も、そういう人達が居たからすんなり信じてもらえたのか……ということは、
「ねぇソニア?」
「なんですか?」
「その落人?の人が故郷に戻ったって話聞いたことある?戻る方法一緒に探してくれるみたいなこと言ってたけど……」
「実は私は聞いた事無いんです、ごめんなさい……でも神父さまならご存知かもなので聞いてみましょう!」
「お世話になります」
「いえいえ、さあ食べましょ♪」
「だな、いただきます!」
「いただきます?なんですそれ?」
「ああ、故郷の食事の挨拶かな、作ってくれた人への感謝と、食べる食材の命をいただくことへの感謝を込めて『いただきます』って言うんだ。で、食べ終わったら同じく感謝を込めて『ご馳走様でした』だね」
「それ素敵ですね……では私も『いただきます』」
今日の食事は「夜営なので大した物出来ないですからね?」とソニアから言われていたので期待しなかったけど、干芋をあぶったものに干し肉を同じくあぶったもの。あと干し肉を刻んだもので出汁を取り、そこら辺の山菜を放り込んで塩で味を整えたスープというメニューは、空腹も相まってめちゃくちゃ美味かった。空腹は最高の調味料ってホントだな……堪能しました。
「「ご馳走様でした」」
いや〜美味しかった、満腹ではないけどお腹に物入れると幸せだな……戻ったら舞に感謝しよう。
食後のちょっとまったりした空気が流れて、雑談(主にこの世界の事)をしている時ソニアが聞いてきた、
「さっきから気になってたんですけど、その手のひらのケガどうしたんです?」
「さっきの夜営の準備の時に切っちゃったみたいでね。まあ血も止まったし大した事ないよ」
「なら私が治してもいいですか?」
なんか変な事言ってんな、治すのこのケガを?
「いいけど、どうやって?」
「え?回復魔法ですけど?私見習いとはいえシスターですので……」
「魔法!マジで!?」
「わっ!ビックリした……トーイの故郷には魔法がないんですか?」
「無い無い!見たい見たい!見せて見せて!」
ズズイとソニアに近付きその手を握る、あら柔らかい。しかし魔法ってさすが異世界!これは体験しとかないと!そんで戻ったら舞に自慢する!
「分かりました!分かったからちょっと離れてください!」
ちょっと顔を赤らめたソニアが離れるように急かす。
「失礼失礼、興奮しちゃった。それで?どうやるの?」
ソニアの手を放して1歩下がる、さあ魔法だ!
◇◆◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
異世界転移って言えば魔法でしょう。ねぇ?
この世界の魔法にはちょっとだけルールが有りますので、その説明を次回します。つまり次回は説明回です。楽しみですね!
次回も読んでいただけると嬉しいです。ホントに……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます