運命を見ることなんてできるんですか?
目線を上げる。眼の前にエルフ。ちょうど目が合う。そして彼は言う。
「…僕の顔になにかついてる?そんなに見られるとご飯が食べにくいんだけど…。」
中性的な声を発したこいつは「ミスリ」まぁ、この話に出てきたのは今回で3回目だもんな。(人によっては2回目)
「すまんすまん。」
「あんまり顔をジロジロ見るとすぐに警察行きですよ!」
「もう警察署に居るが?」
「「…」」
無言になったあと、2人で飯を食う。
「お腹いっぱいー!美味しかったぁ!」
缶詰食料を食べ終わった俺は素直な疑問を言う。
「あの缶詰食料ってどこから持ってきたんだ?」
「あれは全部僕が持ってきたものだよ!」
「え、どうやって?」
「どうやってって…エルフもそれぞれスキルを持ってることは知ってるかい?」
「あ、持ってるんだ…。」
「エルフも人間もほとんど同じだから。元々エルフは人間の変異種的な感じだからね。」
「へ〜」
マジか初耳。
「まぁ、話を戻すと僕のスキル…どこかの猫型ロボットのポケットみたいに、袋を四次元にすることができるスキルで荷物を持ってきたわけ。ちなみにこの効果は僕の近くにいる人にも時々なってしまうみたい。」
俺の有能バック、なーんかいろんなの入るなぁって思ってたらミスリのせいだったのか。
「ちなみにそのスキルの名前は?」
「四次元化」
「…そのまんまだな。」
「ほとんどのスキルはそのまんまの名前でしょ。」
「そうだな。」
「…運命を…見る?」
ミスリに運命を…寿命を見る魔法のやり方を見つけることを言った。
「あぁ、俺とミスリの目標には『寿命』という共通点があるだろ?」
「うん…。」
「俺の寿命が果てるまでにこの『最高の家を作る』を達成しないといけない。」
「これは別に叶えなくても…。」
「これはお前の願いだ。ミスリ、お前はまだまだ2000年以上生きる。でも俺はあと70年…もしかしたら明日かもしれないが、死んでしまう。俺が生きている間にその家を見たいんだ。これは俺の願いでもある。」
「…」
「寿命尽き果てる間、やりたいことをたくさんやりたい。だから運命を見る。」
「…理由は途中から聞いてなかったけど思いは伝わったよ!」
聞いてなかったのか…。
「一緒に運命を見よう!!」
乗り気になってくれたのでホッと安心。
「ひとまずネットでなにか情報がないか探してみるか。」
「りょーかい!」
小一時間探してみて得た情報は大きく2つ。
1つ目は、その魔法を使うためにはかなり広い土地が必要だということ。そこに大きな魔法陣を書かないといけないらしい。
2つ目は、詠唱は唱えなくてよい。ということ。
大分大きな収穫だろう。
「ふぅ…長い間画面を見ると目が疲れるな…。」
「目は疲れないけど体がダルい。寝てこようかな…。」
…視線がひしひしと感じる。
こいつはなんで添い寝をしたがるんだ?
「なぁ、なんで俺と添い寝をしたがる?」
「あれ?理由言ってなかったっけ?」
「何一つ聞いてないぞ。」
「…え。ごめん。」
「いいから早く話してくれ」
「子供の時からずっと母に抱かれながら寝てたもんで…物心ついたあとでもそれが続いて、誰かと一緒に寝ないと落ち着かなくて…。」
意外と可愛い理由だった。
「正直昨日兄さんと会えてめちゃくちゃ安心した…。これで不眠に悩まされなくて済む…!と。」
うん。もういい。流石に17歳の少年に不眠で悩んでほしくない。
ミスリの不眠解消と引き換えに、俺が不眠に悩ませれる…。悪魔との取引だな。これから俺は迷わずこの取引を毎晩受け入れることになる。
いつ倒れるかが心配だな。
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