ミスリの目標

結局一睡もできなかった。

わからない人に説明しておこう。

・警察署にいったら美少年のような顔立ちをしたエルフに出会った。

・名前はミスリ

・何故か俺との添い寝を希望。

以上。


「んあー!よく寝たぁ…あ、兄さんおはよー」

この「兄さん」と呼んでくる高くも低くもない声のエルフがミスリだ。

「…お゛は゛よ゛」

「?兄さんなんでそんなクマが…」

「全部君の希望の添い寝のせいだよ…。」

「え!?あ、ごめんなさい…。」

この子、話を超えるたびに幼児退行してない?

しかもめっちゃマイペースでついていくのが大変だ。


缶詰食料を食べる。

「なぁ、唐突だが俺はこの孤独の世界の中で生きるために目標を立てた。」

「おーそれの目標は?」

「寿命まで生きる」

真顔で言う。

「寿命…か。」

上を向くミスリ。まぁ、エルフだもんな。寿命のことなんて考えたこと無いもんな。

少しして…

「僕もなにか目標立てていい?」

急にそんなことを言いだした。その返答は…

「ふぇ…え、あぁ、いいと思うぞ!」

変な声が出た。

「やったぁ!うーん…そうだな…。」

真剣に悩み始めるミスリ。ひとまず俺みたいに3秒で考えた目標を生きがいにしなくてよかった…。


ミスリが目標のことで悩み始めて数分後。俺は優雅にお茶を飲んでいた。魔力回復の効果があるらしい。普通に美味しい。

「よしっ!思いついた!」

「お、とうとう決まったか。で、その目標は?」

「兄さんの寿命まで生きること&最高の家を作ること!」

ほほう…最終的に3秒で考えつくような目標になったな…あの時間は何だったんだろう…だけど…

「兄さんの寿命まで生きることは簡単だけどさ、兄さんが『寿命』まで生きれるかどうかわかんないじゃん。そしたら僕は兄さんの手伝いをする!その過程に必要な最高の家を作りたいんだ…!」

最終的には自分の欲望を叶える足場となってしまったが、俺のことを考えてくれる。優しいな…。


「いいだろう!一緒にこの目標を叶えるぞぉ!」

「「おー!!」」


人は目標がないと生きていけない。目標じゃなくても、生きるために必要なものは誰しもあるはずだ。俺の場合、それが『目標』だっただけだ。

勝手についてきているエルフにも目標がいるらしい。

2人の目標には共通点がある。

「寿命」だ。

寿命は普通、目に見えないものだ。それを早くすることはできないし、遅くすることもできない。すべては産まれたときから決まっているもの。すなわち「運命」のせいでそうなっている。


その「運命」を見えるようにする魔法があるらしい。

すべては風のうわさだが、それを実際に使って、人もいるので、ほぼほぼ確実にその魔法はある。だが、その魔法の発動方法がわからない。

今日は魔法の発動方法について調べよう。

今日の目標は

「運命を『見る』魔法の発動方法を知る」にしよう。


そう考えて俺は目の前のエルフに目線を合わせる。

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