第31話


 失礼だな。


 フレンだって時々サボる時があるだろ?


 学園祭の練習とかでよく他の地区に行ったりしてんじゃん。


 うちらの準備はほっとらかしといてさ?



 「ちゃんと断りは入れてますー」


 「サボりはサボりじゃん」


 「手伝いに行ってるだけだって」


 「こっちはこっちで忙しいのに?」


 「こっちの準備は順調じゃん?」


 「そうだけどさ」



 フレンがよく行く「他の地区」っていうのは、『イルサバード』のことだ。


 ヴァレッタ学園領の隣にある学園領で、フレンの幼馴染がそこに通ってる。


 クラブ活動で時々顔を合わせてるんだ。


 都市が運営してる共同用のスポーツセンターが、近くにあるから。



 「とにかくあんたはサボりすぎ。期末試験は赤点ギリギリだし」


 「うっさいなぁ。ギリギリセーフだからいいだろ?」


 「それよりさ、大会も近いんだし、あんたはチームのメンバーなんだから自覚持たなきゃダメだよ」


 「自覚って?」


 「最悪出場停止になるかもなんだよ?」


 「流石にそれはないだろ」


 「あるある。西園寺君は確か出場停止喰らってない?学園外で暴力事件を起こしたとかで」


 「アイツは論外だろ。ってか、あんなやつと一緒にすんな!」


 「あはは。ごめんごめん」




 学園主催の能力バトル。



 【-バトルシティ-学生トーナメント】



 通称BTと呼ばれるこの大会は、学園の北側にある第6から第8街区を貸切にし、チームでバトルを行う勝ち抜き方式のトーナメントだ。


 私たちはそれぞれ別のチームに所属してて、フレンは「インフィニティ」、私は「ブラックサンダー」というチームに所属してる。


 チームの総数は学園全体で400を越え、予選を勝ち抜いたチームだけが、本戦に臨むことができるルールになっていた。


 学園祭と並ぶ学園内のビックイベントの一つだ。


 毎年11月に行われるんだが、予選までもう残り3ヶ月を切っていた。


 学園祭はもうじきだし、チームのメンバーと色々やりとりをしなきゃいけない。


 つっても、学派が違うからなかなか交流できないんだ。


 ルール的に、同じ学派内でメンバーを構成することができなくて、最低でも二つ以上の学派が合同になって、チームを作ることになっていた。


 私のチームは合計3人。


 私以外の2人はどっちも『ハードウッド学園領』の子たちだった。


 学園で言うと東側の学園だね。


 街区で言うと、第10から14街区に該当してる場所。


 時計塔がある煉瓦造りの街並みで、学園1の観光地としても有名な場所だ。



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