このクソ野郎

第19話



 「葵さ、やっつけで行動するなってあれほど言ったよね??!」


 「…うう、だけどさぁ」


 「だけどもクソもないでしょ!?私があの場にいなかったら大怪我するとこだったんだよ??」



 こんこんと私を叱りつけているのはクラスメイトの三ツ橋アカネ。


 所有する能力は量子空間(テレポーター)。


 友達の1人であり、候補生の1人でもある。



 「かすり傷程度だって」


 「嘘ばっか。いくら重力風(シールド)を張り巡らせてたって、あの至近距離であの爆発…。たかが演習で死ぬ気!?」


 「そのたかが演習で大怪我するとこだったんだよ」


 「西園寺君のこと?」


 「あんなヤツを“君”付けすんな。やられる前にやっただけだ」



 アカネの言う通り、最後に出した技はほとんど自爆みたいなもんで、出力を誤れば自分もろとも吹き飛ぶ。


 けどそうならないように威力はだいぶ弱めたし、シールドだって万全だった。


 多少の傷は負ったかもしれないが、どうせ大したことない。


 心配性のアカネのおかげで、かすり傷も負わなくて済んだけどね?

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