第12話
私が空中内に広げている無重力空間の「中」に、レザックはいた。
あらゆる物質は重力の影響を受け続ける。
地上にいる生き物たちは、地球の重力圏の中で独自の適応と進化を遂げてきた。
「重力」はいわば“楔”だ。
地上で歩くことができるのも、鳥が自由に空を飛ぶことができるのも、全て。
重力から解放されるということは、同時に「足」や「翼」を無くすということでもある。
金属だろうが液体だろうが関係ない。
空気にだって重量があるんだ。
それなのにレザックのやつは、「無重量状態」という拘束から難なく逃れてみせた。
しかも、だ。
あれだけの粒子をそれぞれ別の生き物のように操作している。
数えきれないほどの「量」と、「範囲」を。
空中に浮かび上がることも、無重力空間から抜け出すことができたのも、常識じゃあり得ない。
仮に無重力空間から抜け出そうとするなら、空間に糸でも張り巡らせて移動するか、フィールドの周りに杭を刺し、その支点に紐をつけて体を支える必要がある。
背中に機動用のジェットを背負うのもアリ。
生身じゃ動けないはずなんだ。
思うようには、絶対に。
…でも、待てよ。
空間に“糸”?
さっきも思ったけど、空間内に強力な磁場があれば、「無重力」という条件を無視して自由に動くことができるはず。
空間内ってか、フィールド全体にその「場」があれば。
まさかとは思うが、リョウのやつ…
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