第7話 甘

「また、とんでもない物を作ったな。」

「お菓子の家は子供の夢だよ。君もどうだい?」

「やめておく。魔女に食べられそうだ。」

「ヒ〜ッヒッヒッ!」

「お前が魔女だったのか。」

「そう、ボクは魔女っ子だったのさ。」

「急に可愛らしくなったな。」

「えっ、可愛い? フヘッ、そんな素直に褒めてくれるなんて珍しいじゃん。」

「都合の良い耳だ。いや、頭の方か?」


「君の夢は何?」

「この世界。」

「此処はネバーランドだからね。」

「ああ。永遠に続けば良いな。」

「終わるのは?」

「それは夢じゃあない。願いだ。」

「意見が合うね。」

「大体の奴はそう思うだろ、多分。」


「疲れた時は糖分を摂ると良いらしいよ。」

「それでお菓子の家か。」

「ほら、甘いよ?」

「味はな。でも、ただのハリボテだ。」

「そんなのボク達だってそうさ。」

「ああ、そうだな。」

「ひょっ!? ど、どうしたの? 積極的だねぇ〜?」

「お前の方が良い。」

「……ハリボテでも?」

「お前が良いんだ。」


「温もりって、実に良い物だと思いました。」

「何だよ。」

「君の感想の想像。」

「やめろ。それ以上言うな。」

「離れないの?」

「……もう少し。」

「うんうん、分かってるとも。ボクの柔肌はとても癒されるんだって。」

「やめろって言っただろ!」

「ぐえぇっ! 酷い!」


「オレ達は捨てられた訳じゃあない。」

「うん。」

「帰り道だって分かってる。」

「帰りたい?」

「はっ。冗談が下手になったんじゃあないか?」

「そんなに笑ってくれないじゃん。」

「悪いな。」

「ううん。良いんだよ。」

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