第59話 久しぶりに会う異性とはどう接すればいいのか…。




 「はーーいかんぱーい」

 「いえーい」



 私は由芽子とテスト明けの乾杯を私の寝室でしていた。



 「ようやく夏休みになるって感じだねー」

 「だね!!楽しみー」

 


 私達はそんな話をしていた。



 「柚葉は隼人と会うの?」

 「ん?そのつもりだよ?」

 「」



 すると由芽子はこう言う。



 「本当に仲がいいよね」

 「……………」

 「ん?柚葉?」

 「仲が良いように見える?」

 「え?今更?」

 「え」

 「そもそも付き合ってるじゃん。しかもいつも学校で隼人の話になると嬉しくなってんじゃん」

 「…………言われてみれば確かに」

 「何でこんな今更なことで疑問抱いてんのよ」



 あ、私ってやっぱおバカだな…。なんかいきなりそう言われて一瞬思考が止まっちゃったよ…。



 「それで夏休みは隼人と何かするのかな?」

 「一応……海かプールと夏祭りには行こうと思っている」

 「水着イベントを発生させるんだ?」

 「まぁね」



 「…………2人で行くの?」



 「………え」

 「夏祭りはともかく、海かプールも2人で行く感じ?」

 「え……………ダメかな?」

 「柚葉。自分の立場を考えてみてよ。人気モデルの超美人女子高生だよ?何かあった場合、成長しているとはいえやっぱまだ人間関係に難がある隼人と2人きりじゃ何かあった時に解決できるとは思えないけど?」

 「あーー………確かに」

 



 やっぱ隼人のことを考えると"こういう時"の2人きりは難しいよな……。でも2人きりの時間がほしいってのはあるんだけどな……。



 あ。



 「それじゃあ由芽子も来てよ!!」

 「え」

 「由芽子と……後、琥太郎こたろうも来てくれたら安心だよ!!」

 「…………急だね……」

 「後は………莉珠りずとかも誘って……」



 「隼人と付き合ったことを知ってるのはお互いの家族と私と琥太郎だけでしょ?」



 「」

 「そんな思いつきで言ってちゃダメだよ。まずはちゃんと"付き合ってる"って自覚をしないと」

 「そうだよね………でも、由芽子と琥太郎は来ても良いでしょ?」

 「わ、私は良いけど……コタが来るとは限らないよ?」

 「後で誘ってみるよ」

 「……………」



 由芽子は少しきまりが悪そうなし顔をしていた。



 「でも、隼人に私の友達を紹介したいなってふと思ったんだよね」

 「なるほどね」

 「…………あ、その前に由芽子は隼人と話してる?」

 「え……まだ2年になってからは話せてないよ」

 「それじゃあ会ってみようよ!!」

 「え」

 「まず由芽子と隼人は一度会ってみるべきだよ!隼人はコタとも会ったんだから次は由芽子の番だよ」

 「」

 「2人きりが難しいんだったら私も付き添うから!」

 「どっち道、状況が変わんないと思うんだけど………」

 「え、そう?」

 「そうだよ。2人きりも気まずいし、柚葉がいても気まずい」

 「私は邪魔?」

 「邪魔と言うよりは隼人とイチャつかれると気まずく感じちゃう」

 「えーー?」

 「と言うか2人はもうキスとかはやったことあるんでしょ?」




 「お互いの頬にチークしかやったことないよ」




 「逆に生々しいな……」

 「あ、でもそれだけだよ?まだ手を繋いで歩くとかはしたことないから!!」

 「…………手を繋ぐ前にチークか………なんかやっぱリアルなんだよな」

 「も、もうそんなこと言ったらキリがないから!!……とにかくさ?隼人に一度会ってみない?」

 「……………」







 と言う訳で今。







 「あ、もしもし隼人?」

 『どうした柚葉』

 



 私は隼人に電話していた。




 「そういえばさ?隼人は由芽子とはまだ会えていないんだよね?」

 『まぁな。まだ会えてないよ。つかいきなりだな』

 「だからさ!!一度、由芽子と会ってみない?」

 『あー………確かに俺も一度会いたいとは思っていたしな………』

 「それじゃあ会ってみる?」

 『俺の家で会うので良ければ会ってみたい』

 「分かった!!」



 そして、その会話を私の隣で聞いていた由芽子に……。



 (隼人が会いたいんだってさ♡?)

 「」


 

 そうウインクして口パクで伝えた。





ーーー





 「」




 俺は考えていた。



 「由芽子……か」



 確かに由芽子とも昔からの付き合いはある。でも、柚葉とは違ってそこまで積極的に接してきた訳じゃないからな……。



 ただ話はよくするし、遊んだりもしたし仲は悪くないと思うんだけどな。



 でも柚葉や琥太郎みたいな距離感で接することができるかと言えば怪しいんだよな……。



 なんて言うか……、




 "俺みたいなタイプ"だからなのかな……。




 柚葉のお兄さんの大輝たいき君も俺と同じタイプだけどまだ、歳上で同姓だから接しやすいけど異性の同級生だからな……。どう接すればいいのか分からないんだよな……。




 由芽子は琥太郎みたいな感情の起伏もないし、柚葉みたくグイグイ来る訳でもなく、クールにイジるみたいな……つまり、"大人っぽい"んだ。だからある意味、個性が突出していない普通の女子高生みたいな感じなんだよな。周りに合わせて自分を主張しない……相談には乗るけど自分はしない、常に冷静で、笑う時は笑って、場合によっては悪ノリに乗ったり………。俺はそんなイメージだわ。




 だから……、




 ある意味、"ちゃんとした"異性だな。




 あー、どう接しようかな。

 



ーーー




 「それじゃあ由芽子。私が隼人だと思って話しかけてみて!!」

 「………何でよ?」

 「会うのが気まずいんだったら練習しないと!!」

 「べ、別にそこまで気まずい訳じゃない…」

 「それじゃあどうして会うのに抵抗感があるのよ?」

 「………別に抵抗がある訳でもないよ……ただ……なんか顔を合わせづらいんだって」

 「……んーーー………それじゃあ一先ず何を話すか決めてから行くようにしたら?」

 「話すこと?」

 「今日会ったこととか、"最近どお?"とか、"何かハマってることってある?"とか」

 「………なるほどな」

 「私は話すことがない時は隼人の寝室でダラダラしてるんだけどね」

 「そりゃあ、隼人と柚葉との関係値とは違うもん。それは"柚葉の当たり前"だよ」

 「えーー?」

 「それじゃあ2人は最初何したの?」

 「え?」

 「柚葉が初めて隼人の家に行った時。その時は何したの?」

 



 「………………何したっけ……」




 「」

 「そんな覚えてないな。とりあえず隼人が話しやすいように接してはいたよ」

 「………やっぱ柚葉は柚葉だね」

 「褒めてる?」

 「半々」

 「え」

 「ちょっと笑ってる(笑)。柚葉は"ノー天気"だなって」

 「何だとーー?」




 私はジト目をぶつける。そして…、




 「でもまぁ、緊張していたとは思うな」

 「」

 「そりゃあ人と接するのが苦手だって言ってるんだからどう接すれば良いか分からなくなるのはあるよ?でも、行動に移さないと分かるものも分からないからさ?だから、私は後悔がないようにはしていた。それだけかな」

 「…………」

 



ーーー




 桐乃由芽子きりのゆめこ



 由芽子は考えていた。






 "小柳隼人こやなぎはやとにちゃんと気持ちを伝えられるのか?"…、





 "この好きという気持ちはどうすれば良いのか"……と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る