第58話 十分100満点中の120点だよ/////////


 「んーーー!!!!終わったーー!!!!!」



 私は教室で声を上げた。



 「テスト終わったーー!!!!」

 「どっちの終わった?」

 


 桐乃由芽子きりのゆめこが私に聞いてくる。



 「え?どっちも!!」

 「そんなはっきり言えるのは中々だね」



 赤野莉珠あかのりずが髪の毛をいじりながらそう言う。



 「やっぱ本当のバカなんだ(笑)」

 


 山里美琴やまさとみことが私の頭をポンポン叩きながら笑う。



 「ば、バカじゃありませーん。ちょっとおっちょこちょいなだけでーす」



 私は反論した。



 「まぁ、度が過ぎてるおバカさんってことは確かだよねー」

 


 由芽子までも笑う。



 「何でよー?」

 「やってることが男子高校生みたいだから?」

 「えー?」

 「確かに女子高生じゃないよね」

 「健全な女子ですが?」



 私はムスッと頬を膨らます。



 「可愛い可愛い」



 莉珠りずが私の頭を撫でる。



 「………………」



 なんか不服なんだよなー。



 











 「ねぇ、どう思う?」

 「」



 私は隼人に聞いていた。今は小柳家だ。



 「…………まずはそんなことよりテスト終わったことを喜べよ」

 「えーー?そんなことって何よー?私からしたら真面目な悩みなんだけど?」

 「………………別に嫌じゃないんだろ?」

 「まぁね。それが私のキャラだから」

 「よし解決」

 「でもやっぱ女の子としてはちょっとアレなんだよねーー」

 「アレってなんだよ」

 「"男の子みたいに強い女の子"って思われるのは嬉しいけどさ」



 「"男の子みたいにバカっぽい女の子"だろ?」

 


 ゲシっ!!



 「いって!!」



 私は隼人の頭にチョップする。



 「ほ、本当のことだろ?」

 「私はお淑やかな女の子なの」

 「お淑やか?」

 「だって私って清楚系美人でしょ?」

 「……………自分で言うんだ?」

 「隼人の前だから言ってる」

 「俺の前じゃなきゃ自分は美人だとは言わねーと?」

 「そういうこと」



 「……………可愛いな」



 「!!!」

 「何驚いてんだよ(笑)」

 「隼人の口から今の流れで可愛いと聞くとは思わなかったから……//////」

 「」

 



 カアァァ!!!




 「か、可愛いんだよ!!とにかくさ……//////」



 隼人も顔を赤く染める。



 「…………」



 どうしよ。

 こう言う時って……"隼人もカッコいいよ?"って言えば良いのか?そういえば隼人に"カッコいい"って言ったことあったっけ?



 「柚葉」

 「!!!」

 「ともかくお前は………お淑やかかどうかは分からないけど……可愛いよ」

 「本当?」

 「本当。"見た目"は女の子だよ」

 「一言余計なんだけど」

 「だって見た目はってつけないと。大事なことなんだから」

 「中身は女の子じゃないと?」

 「そこはどうしても頭を捻るな」

 「バカにしてる?」

 「してないしてない。本気でそう思ってる」




 「………………」





 そう、何の翳りもない瞳を向ける隼人をなんか殴りたい。





 「てゆーか何でそんな女の子に拘るんだよ?」

 「……………彼女だから」

 「」




 「隼人の彼女だから」




 「」




 私はそう答える。




 「隼人にはか弱い女の子として見られたい」

 「…………どうゆうことだよ?」

 「ちゃんと素の部分を見せたい」

 「」




 「1人の女の子として好きでいてもらいたいの」





 あれ?私、なんか重いこと言ってる?とゆーか自分勝手な気がする………。でも……、






 「それで誰よりも優しくしてもらいたいの/////////」





 あーー……ちょっと自分勝手かな……。





 「…………………」

 「あ、あー……別にそんな本気にしなくてもいいよ?ただの我儘だからさ?その……何ともないから!!」



 「柚葉」

 


 「」




 その時、私は動けなかった。




 チュッ。












 「」












 隼人から送られたものは私の頬をじんわりと暖めた。











ーーー







 やべぇよやべぇよやべぇよやべぇよやべぇよやべぇよ………。やっちゃった。やっちゃいましたわ俺。




 「」

 「何よりも優しくって言ったら今はこれしか思いつかないんだけどよ……」




 何言ってんだ俺?バカなの?




 「あの時のお返しをさせてもらったわ/////////」

 



 あ、ダサくね?やべぇ、カッコ良くしたいのに自分でダサいと思っちゃってるわ俺。どしよ。




 「……………隼人?」

 「ん?」

 「今………何したの?」

 「……………え」

 



 あれ、言わせようとしている?あまりの唐突さに"それ"を声に出して言えない感じか?俺も言えねーよ!!!恥ずかしくて柚葉の顔見れねーよ!!どうすんだよこの状況!!勢いつけて恥ずかしくなるって典型的な普通の状況だな!!!やっぱ俺に意外な感情はねーーよ!!!普通に恥ずかしいしかないわ!!!告白の時は例外だけど…………あーー、そういう"例外だけカッコいい"みたいなのも普通だな。ただのイキリ野郎だな。




 「隼人」

 「!!!!」





 「ありがとう/////////」





 「」




 柚葉は突如そう言った。





ーーー





 私は考えた。





 "隼人は私の求めていたものを考えた上でやってくれた"……と。




 確かに勢いがほとんどかもしれない。でも……短い時間で私に優しくしているってアピールを考えたら……私からしてみたら…………、





 十分100満点中の120点だよ/////////





 それほど………、




 

 嬉しかった。







 「あ、ありがとうって何がだよ?」

 「え?キスしてくれたこと」

 「普通に言ったな」

 「あ、頬にしてくれたチークキスのお返しか」

 「わざわざ正式に言わなくて良いから!!!俺が恥ずいんだよ!!!」

 「えーーー?別に恥ずかしがることじゃないよー?」

 「お前と俺の心は違うの!!」

 「…………ぷふっ(笑)」

 「その目で笑うな」




 私は嬉しかった。




 「隼人」

 「………なんだよ?」




 あー、自分でやったことなのに不貞腐れてる。本当に自分勝手だなー(笑)。




 「頭も撫でて」

 「」




 私は追い討ちをかけるように隼人に言った。




 「そういえば言ったじゃん?頭も撫でてほしいって」

 「お前………自分勝手だな」

 「隼人には言われたくなーい(笑)」

 「…………分かったよ。恥ずかしいけどやるよ//////」

 「………やった!」



ーーー




 俺は柚葉の頭に手を伸ばす。




 「」




 あーー、何だよめっちゃ髪の毛いい匂いすんだろ……。




 そして……、





 ポン。





ーーー





 この日、私は2つも得をしてしまった。






 あーー………、





 隼人の言うことが分かるかも。確かに…、







 こうやって家の中で"ダラダラする"のもとても楽しいや///

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