第55話 ジャンケンという"心理戦"で負けたら一発ギャグ
「終わったーー!!!」
私は小柳家の隼人の寝室で言う。
「何が?」
「いや、だから終わったんだって!!」
「それは"テストでやらかした"ってことなのか"テスト自体が終わった"のかってこと」
「どっちも!!!」
「」
そんな元気に報告されても…。
「ん?つーか、まだ初日だよな?明日の科目を勉強しろよ」
「えーー?少しは話そうよーー」
「やることやらない奴とは話さないぞ」
「うわーー、意地悪ー」
そんな風に俺達は会話をしていた。
「それで?明日は何の教科?」
「明日ねー。数学と家庭科と古典だよ」
「また似通ってない科目だな」
「でしょ!!?もっと合わせてくれても良いよねーー」
「まぁ、それがテストなんだから仕方ないけどな」
「………隼人は今日何してた?」
「え?……別に……生きてた」
「どういうことよ(笑)」
「俺もちょっと勉強してたってことだよ」
「何の勉強?」
「ん?英語」
「おーー!!勉強してたんだ!!」
「一応な」
「それじゃあ、隼人に問題!!」
「ん?」
「suggestとproposeの違いは何でしょうか?」
「suggestは控えめの提案やアドバイスをする時の"提案をする"で、proposeは公式な場や重要な提案をする時に使う"提案をする"」
「おーー!!正解!!なんで分かるの?」
「そりゃ、勉強してたらそれなりには分かるよ」
「さっすが隼人!」
「つーか、初歩だろ?柚葉だって元から知ってるだろ?」
「え?」
「ん?」
「あ、あーー……そうだね……勿論知ってたよ?」
「…………」
なんか知らない感じだな。
「ともかくともかく!!今は少し遊ぼうよ!!!」
「………何してだよ……」
ガチャ。
「「!!」」
「ただいまー」
俺と柚葉が話してる所へ母さんの
「あ、ユズちゃんいらっしゃーい」
「こんにちわ!!」
「てゆーかノックしてよ母さん」
「ごめんごめーん」
俺は桜と同じようなことをする母さんに少々呆れながら言う。
「それじゃあどうしようか?」
「どうするって?」
「遊ぶかダラダラするかだよ!」
「それじゃあ……勉強でいいだろ」
「やだ」
「何でだよ。明日もテストなんだからそんな遊びが思いつかないんだったら無理に遊ばずに勉強でよくね?」
「むーーーー……隼人の頭ごなし」
「………………」
「……………あ」
「ん?なんか思いついたのか?」
「そうそう!!それじゃあこうゆうのやってみようよ!!!」
「何だ?」
「ジャンケンに負けたらこの隼人の寝室である物で一発ギャグ」
「なんじゃそれは」
また突拍子もないことを思いついちゃったよこのお嬢は……。
「面白くない?」
「例えば何がある?」
「え、んーー……」
柚葉は俺の寝室にあるものを物色しだす。
「あ……」
それで俺の棚にあった消防車のミニカーを手に取り……、
「あーこれ?私の愛の炎を消してくれる魔法の車♡」
「」
シーーーーーーン。
「みたいな感じね!!」
「」
あ、今の一発ギャグ?(この時、俺の寝室の前で母さんも聞いていた)
「即席のギャグだったけどどうだった!!?」
「え?……………………………」
凄い自信作みたいな顔してるけど…。
アホほどつまらんかった。つーかいきなり過ぎてギャグかすらも分からんかった。
「あれ?」
「あ……あーーーー!!!面白すぎて言葉にできなかったわ!!!」
「…本当?」
「嘘ついてるように見えるか?」
「ついてるようにしか見えないけど?」
「………………」
「まぁ、でも楽しければそれで良いんだけどねー」
「……そうだな」
「因みに私のギャグはつまらなかったってことね?」
「ノーコメント」
「いいのいいの!!だから次は面白いのを考えてるから!!」
「」
流石だな。何度も思うけど業界人ってメンタル強いわ……。ギャグだろうと自信持ってやってのけちゃうからな……。
「それじゃあこれやる?」
「え?マジでやんの?」
「そうそう!!隼人のギャグを見てみたい!!」
「えーーー……」
まぁ、柚葉と2人きりだったら別にやってもいいかな……?
「分かったよ。それじゃあやってみようかな」
「!!……いいの?」
「やりたいんだろ?ただし一回だけな」
「分かった!!それじゃあ一回きりのゲームスタート!!」
一発ギャグ……。なんかモノボケとごっちゃになるんだよなー……とりあえず、ボケを成立させれば良いってことだよな?できるか俺……?
「それじゃあ一回勝負ね!!」
「あ、マジで?」
「一回だけだったらできるんでしょ?だから、一度だけジャンケンで勝負!!」
「じゃあ、俺が一度勝てばもうやんなくていいの?」
「あーー……そうなるな」
「マジか………それじゃあ勝たないとなーー」
「……………」
「えーーー……それじゃあジャンケンしよ──」
「私パー出すから」
「………え?」
「パー出そうとしてるからねーー(笑)」
「い、いきなりなんだよ?」
「だから一度きりなんだよ?そんな簡単に終わったらつまんないから心理戦ね」
「うわーーー………そうきたか」
「私はどうしても隼人の一発ギャグが見たいからねー」
「………………」
中々、筋が通ってるな。正々堂々な仕込み方だわ。ズルするわけでもなく正直に嵌めようとしている。
可愛いな。
「それじゃあ隼人君はどうするー?」
「じゃあ俺はチョキを出すから」
「あーー、勝ち宣言?」
「勝つつもりだからな」
「おーー……中々、面白いこと言うね……」
「柚葉は本当にパーをだすのか?どうする?」
「私は変えないよー?パーを出すから」
「………言ったな?それじゃあ俺も本当にチョキを出すぞ?」
「あーー、負けちゃうなーー。しょうがないかなー?隼人は本当に出すのかなー?」
「出すぞ?」
そんな駆け引きを行っていた。
「マジでいいのか?」
「いいよいいよ。それじゃあジャンケン開始していい?」
「………おう」
「それじゃあ行くよーー?最初はグー!!」
「」
「ジャンケンポンっ!!」
そして俺達は手を出しあった。
「「」」
俺達は"2人ともグー"を出していた。
「お前パー出すんじゃ?」
「そちらこそチョキを出すと言わなかったっけ?」
「俺はお前を信用していなかったから。チョキ出すと思った」
「えーーー!!?彼女が信用できないの!!?」
「お前こそ俺を信頼してねーじゃねーかよ。普通に俺に勝とうとしてんじゃねーか」
「逆だよ。私は隼人がチョキを出すと信じたからグーなんだよ」
「あ……そっか」
「まぁ、これでハッキリした。隼人は勝負では非情なんだね(笑)♡」
「まぁ、勝負だからな」
と言う訳で俺達のくだらない遊びは続く。
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