第53話 "好き好き"トーク!!





 「んーーー!!!疲れたーー!!」



 私は伸びをする。今、テスト勉強を家でしていた。



 「……………」



 今日は隼人に合ってないなー……。



 「よし」





ーーー





 『もしもーし』

 「どうしたんだよ」

 


 俺は柚葉と通話していた。



 『私、勉強してるんだよ?』

 「そうだな。頑張ってるな」

 『でしょ!!!?』



 そう"フンスッ"っと嬉しそうにしているのがスマホ越しでも伝わる。



 「もうすぐテストなんだろ?」

 『来週だね』

 「頑張れよ」

 『頑張る!!』

 「……………」

 


 それで、何で電話してきたんだろ。俺はそう思った。



 『なんか、"電話ウザ"とでも思った?』

 「ウザとは思ってない」

 『"それじゃあ何で電話してきてんだろコイツ?しつこ"とでも思った?』

 「"しつこ"までは思ってない」

 『あ、じゃあ何で電話してきたのとは思ったんだ?』

 「思ったな」

 『私から電話受けれるなんて幸せだと思わないの?』

 「なんか話が変わってきてんだけど……」




 『好きな人と話すのに理由なんてないから』




 「」



 ここぞってときに言うよな柚葉のくせに。



 『あ、それじゃあそろそろ切る?』

 「柚葉に合わせるよ。柚葉がしていたい間は付き合う」

 『』

 「……………ん?柚葉?」



 柚葉は急に静かになる。



 「どうした?」

 『隼人は私が好き?』

 「……………好き」

 『どれくらい好き?』

 「………この世の全ての中で一番好き」

 『』

 「な、何なんだよこの尋問は」

 『言ったっけ?私は"嫉妬"したって』

 「嫉妬?……あー、"私の方が隼人に対する好きは強いっていう対抗心"があるとは聞いたよ」

 『でしょ?実際そうだからさ』

 「どういうことだよ?柚葉の方が俺が柚葉の好きの強さを超えてるってことか?」

 『まぁ、理屈上はそういうことだね』

 「何だそれ(笑)」

 『まぁ、だから私は隼人が好きだから』

 「そうか……」

 『』

 「で、それがどうした?」

 『偶には"好き好きトーク"はしても良いでしょ?』

 「だ、大胆だな……」

 『したくなかった?』

 「そう言う訳ではねーけどさ……なんか……新鮮な感じだわ」

 『何がよ(笑)?』

 「お前はそんな好きって言ってもらいたいのかよ?」




 『当然でしょ?』



 「」




 柚葉は言い切った。




 『言ったじゃん。この世で一番好きな人に言ってもらいたいことを言ってもらえることほど嬉しいことはないってさ』

 「」



 なんか……柚葉がカッコいいな……自分を貫き通していてよ……。



 『それじゃあ、折角だし"好き好きトーク"を始めようか!!』

 「勉強しろよ」

 『えーー?いいじゃん!!一緒に話そうよ!!』

 「テスト勉強で全教科80点以上取れるんだったらいいよ」

 『…………………』



 あ、動きが止まってるな。まぁ、当然のことだからな。



 『80点以上取れないとダメ?』

 「ダメだ。本当は90点と言いたい所だけど」

 『…………』




ーーー



 「80点以上取れないとダメ?」

 『ダメだ。本当は90点と言いたい所だけど』



 私は隼人にそう言われて少し動きが止まってしまっていた。いや、家庭科や保健体育で90点は取ったことはあるけどメイン教科だと現代文で87点が限界なんだよな……。数学に関しては悪い時は平均点ギリギリだし……。



 『柚葉の高校もレベルは高いと思うけどさ、推薦で大学行きたいんだったら頑張って勉強しないとダメだと思う』

 


 「」


 隼人に真面目にこう言われ私は………、

 


 「ありがとう」

 『え?』

 「本気で心配してくれてるんだね」

 『』

 


 私は思わずこう言ってしまっていた。


 

 「隼人の言う通りだね……。ちょっとサボろうとしちゃっていたかも」

 『………………』

 「それじゃあ何か"一言"言ってほしい」

 『え?』

 「私が掛けてもらいたい声を考えて言ってもらいたいな」

 『………………』

 「ダメかな?」

 『いや、大丈夫。ちょっと時間くれない?』

 「分かった」



 そして隼人と一度通話を終了した。



 「」



 何言ってくれるのかなー……。



 

ーーー




 「」



 俺は悩んでいた。

 掛けてもらいたい言葉……?

 "頑張れ"や"応援してる"じゃダメなのかな?

 んーーー……そう簡単には思いつかねーだろうがよ……。どうしよう………。



 「……………あ」



 俺はふと思いついた。



 






 『思いついた?』

 「一応な」



 俺は再び柚葉に電話をした。



 『なになにー?どんな声を掛けてくれるのかなー?』



 なんかいじりたい感じがモロに伝わるわ。



 「…………それじゃあいいか?」

 『どうぞどうぞ』







 「………一緒に戦おうな?」






 『』




 とりあえず俺が一番言ってもらいたい言葉を言った。




 "一緒に戦おう"……それは"1人でやるんじゃなくて俺も一緒に戦うよ"という意味を込めて伝えていた。




 『…………………』

 「柚葉?」

 『私が思っていたとの全く違ったからちょっと驚いてるんだけど』

 「え?」

 『"とりあえず勉強しなかったらしばらくメールしないから"とか厳しいこといってくるかと思った』

 「言ってほしい言葉でしょ?」

 『……それでも厳しい言葉をあえて言いそうな気がしていた』

 「………まぁ、そう言うわけだから勉強頑張れよ」

 『…………隼人』

 「ん?」

 『一緒に頑張ってくれるの?』

 「彼氏だからな。まぁ、できることは一緒にやろうとは思ってるよ」

 『そっか………』

 



 しばらく無言が続いた。




 『隼人』

 「ん?」







 『大好きだよ』

 





 「」


 

 そして……、



 『それじゃあそろそろ切るね』

 「お、おう」

 『おやすみ』

 「おや……すみ」



 プツッ。




 そうして通話は終わった。








ーーー






 「」



 私はベッドに寝転がって枕に顔を埋めていた。



 「あーーーー……////////////」

 


 "一緒に戦おう"ってなんだよ!!!

 私を助けてくれるってこと?そういうこと?分からない……。

 でも……、とても嬉しい//////




ーーー




 「………ふぅ」

 


 ガチャ。



 「あ、お兄」

 「うおっ!!!!!!????」

 「驚き過ぎだろ(笑)」



 俺が一息ついたところで妹の桜が部屋に入ってきた。



 「何だよ」

 「勉強教えてくんない?」

 「俺、もう寝たいんだけど」

 「えーー?柚葉ちゃんには"一緒に戦おうな"とかって言うのに私には何も言ってくれないんだ?」

 「聞いてた?」

 「聞こえてた」

 「………柚葉だけだから」

 「ほーー?そうなんだ?」

 「そうだよ」

 「それじゃあ、私限定の言葉をかけてよ!!」

 「はぁ?」




 なんか面倒なことを言い出したなコイツ。




 「………それじゃあ言ってやる」

 「ばっちこーい!!!」






 「お前、俺のアイス食ったろ?」






 「それじゃあおやすみー」





 こんな感じで今回の"好き好きトーク"は終わった。

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