第52話 理想のカップルは"ドーテイ"には厳しいんだよ!!
「それじゃあお前は今の高校を辞めるって考えなんだな」
「一応ね」
俺と柚葉のプリを見て絶叫を上げた後、再び落ち着いた琥太郎と俺は話していた。
「そっか………まぁ、お前が選んだんだから俺から言えることはないな」
「まぁ、頑張ってみるよ」
「だな!!頑張れ!!」
そうして俺達はそこから話しを広げていった。
「あ……柚葉はこの後来んのか?」
「あー、来るよ」
「そっか。じゃあ、俺はそろそろ帰るな」
「あ、分かった」
「それじゃあ……今日は少しでも話せて良かったよ」
「俺も楽しかった」
「そっか!!じゃあ、次はちゃんと会おうな!!柚葉ともまた会いたいし!!」
「今日会う?」
「いやいいよ。今日はあくまでお前と会うのが目的だったし邪魔したくねーから」
「分かった………」
「んじゃ、またな!!」
琥太郎はそう笑顔で俺に笑いかけ帰ろうとした。
「…………」
やっぱ琥太郎も変わってないな。
"良いやつ"だ……。
「琥太郎」
「ん?」
「ま、またな!」
「………おう!!」
コツ。
俺達は拳を合わせて別れた。
コンコン。
「はーーい」
ガチャ。
「はーやとー、彼女が来たよー」
琥太郎と別れた1,2時間後。柚葉が来た。
「おー、来たな」
「琥太郎は来た?」
「おー、来たよ」
「どうだった?」
「元気そうだった」
「そっか!」
「柚葉と付き合ったこと言ったらめちゃめちゃ驚いていた」
「やっぱそうだよねー(笑)。コタは凄いオーバーだからね」
「それでプリクラの写真も見せたらめちゃめちゃ絶叫していたよ」
「そんなに?」
「まぁ、お姫様抱っこだからな。そりゃあ驚くだろ」
「ふふっ……まっ、そうだよね」
「…………ありがとうな」
「ん?何が?」
「…………あ、嘘。何でもない」
「え?」
俺は思わず口が滑っていた。"この言葉"を柚葉に思わず言ってしまっていた。
「ありがとうって何がよ?」
「いや…………お前のお陰だって伝えようとしただけだよ」
「ん?どういうことで?」
「今、俺がこうして前に進めてるのはお前のお陰だって改めて感謝した。それだけだよ」
「……………」
柚葉が俺を見つめる。
「な、何だよ?」
「…………隼人も素直になってきたねーー(笑)?」
柚葉はジト目をしながら俺を見てくる。
「な、何が素直だよ?」
「自分が一番分かってるんじゃないのー?」
「…………」
そんなこんなでそう見つめられた。
ーーー
片山琥太郎は帰路についていた。
「…………」
先程、幼馴染の親友、
「」
隼人はいつもと変わらず元気そうだった。
「………はぁーーー………良かった…」
そして1人でこう呟く。
「あ、コタ」
「!!」
琥太郎がそう呟いた直後に声を掛けられた。それは……
「何だよ由芽子か」
それは幼馴染の女子、柚葉の親友の
2人は家が近くで昔からの付き合いだ。
「今日、隼人の家に言ってたんでしょ?」
「おう」
由芽子は単刀直入にそう尋ねてくる。
「どうだった?」
「……随分といきなりだな」
「答えたくないの?」
「そういうことじゃねーよ。ちょっと場所移動しようぜ」
そう言って2人は別の場所に向かう。
「とりあえず入れよ」
そう言って琥太郎は由芽子を自分の家に入れた。
「……………私を襲わない?」
「するか!!!!お前は俺を何だと思ってんの?お前を襲うほど俺は切羽詰まってねーよ」
「ん?つまり、私は女性としての魅力はないと?」
「好きに受け取れ」
そして、リビングに案内する。
「何が飲みたい?」
「何でもいいよー」
とりあえず琥太郎は冷たい麦茶を出した
「ありがとー」
由芽子はそれを美味しそうにゴクゴクと飲む。
「………で?何で俺の家の近くにいたんだ?」
「え?偶々通りかかっただけだよ?」
「嘘つけ。お前は最寄り駅からは俺の家より近いだろ。わざわざ俺に会いにきてんのバレバレなんだよ」
「そんな説明するほどバカじゃないんだけど」
「じゃあ、ちゃんと論破してやる。今、18時なんだけど?」
「」
そう、琥太郎は小柳隼人の家を出た後、"一度"家に帰り、その後、出かけていた。その帰りで由芽子に声を掛けられた。
「いや、部活の帰りだった」
「今日休みだろ?」
「…………」
「お前、俺と会いたかったってことだろ?つまるところ」
「それを分かってるんだったら本題に入っていい?」
由芽子は開き直って話を元に戻そうとする。
「何だよお前。バカなの?」
「何でバカって話になんのよ」
「だって、そんな強引に話を持ってけると思ってるのが信じられないから(笑)」
「もう良いでしょ!!とにかく私は隼人のことを聞きにきたの」
「………元気そうだったよ」
「」
「顔色も良かったし変わってなかったよ」
「そっか……」
「柚葉からは聞いてないのか?」
「聞いてるけど……久しぶりに隼人と会った琥太郎の口から聞きたかった」
「…………」
琥太郎が隼人が不登校だったり、その隼人の現状を知っていたのは由芽子から聞いていたからだ。
「……あ」
「ん?」
「そんじゃさ……お前に一つ言いたいんだけど……」
「何?」
「隼人と柚葉が付き合ったことは前もって教えて欲しかったんだけど!!!!!」
琥太郎は絶叫した。
「あー、別に意地悪で言わなかったんじゃなくて隼人から伝えるから言わないでって柚葉に言われてたんだよねー」
「けど、めちゃめちゃ驚いたんだけど………何か心が痛くなったわ」
「何でよ?」
「理想のカップルは"ドーテイ"には厳しいんだよ!!」
「童貞とか私のいる前で言わないでよ気持ち悪い」
「何だと!!!!お前が聞いたんだろ!!!」
「あーうるさいうるさい。いちいちオーバーなんだよマジで」
そんなこんなで琥太郎と由芽子は話していた。
「それで?隼人とはどうだったの?」
「まぁ……ちゃんと話せた……てか、お前もあいつと連絡取り合ってないのかよ?」
「…………なんて声を掛ければ良いか分からないからさ…」
「………そうか」
「……………でも琥太郎」
「ん?」
「私も近いうちに隼人と話そうと思う」
「………そうか」
由芽子はそう言った。
由芽子は"一つの秘密"があった。いや、秘密ってほどでもないけど誰にも話したことがなかったことだ。
それは……、
桐乃由芽子は小柳隼人が好き"だった"ということ。
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