第49話 学校行事の"参加の仕方"を俺は考える。
「そういえば柚葉は体育祭あった?」
『え?』
俺は柚葉と深夜に電話をしていた。
「あ、なかった?」
『い、いや、あったあったよ!!!』
「そうなんだな」
『急にどうしたの?』
「変だった?」
『隼人から聞いてくるのは珍しいなって思った』
「特にはないよ。でも……そういえば柚葉の高校は5月くらいに体育祭があったってふと思った」
『よく覚えていてくれたね………さ、流石私の彼氏!!』
「なれないんだったらそんな無理に言わなくていいよ?」
『いやいやそこは…"当然だろ?柚葉を一番愛してるのは俺なんだからな?"くらい言ってよね』
「そんな王道の恥ずかしいセリフを吐けるほど俺のメンタルは強くありません」
『つまらないなー』
「それで?体育祭はどうだった?」
『楽しかった!!』
「そっか」
柚葉が俺の家に訪れてくれたのは2ヶ月前……。その間に何か学校行事があってもおかしくない。つまりは……柚葉は俺に気を遣ってくれた。学校が辛い俺に学校行事のことをあえて伝えてなかったと言うこと……。
「どんなことがあったの?」
『んーーー、色々あるよ?障害物競走、パン食い競走、棒引き、100m走、1500m走とか』
「楽しかったか?」
『さっきも言ったじゃ〜ん?楽しかったよ』
「……写真ある?」
『あるある!!』
「見てもいい?」
『あー、送る送るー』
そう言って柚葉は写真を送ってきてくれた。
「」
それは…、
パン食い競走で飛ぶ柚葉…の胸が揺れてたり、
汗かいて髪の毛が口に入っていたり、
友達とくっついてとっていたり……した時に顔を赤らめて笑顔をしていたり……まぁ、まぁまぁまぁ………。
思った以上に刺激がある写真だった。
『どうだった?』
「ん……まぁ……良かった」
『可愛かった?』
「え……あーー……んーーー………」
『即答してよ(笑)。もしかして興奮してた?』
「教えない」
『うわーー。してたんだ?ドン引き』
「う、うるさいうるさい!!」
『あははっ!!……それで?可愛かったかな?』
「…………可愛かった」
『好き?』
「好きだよ/////////」
『ありがとう』
あーー、柚葉のペースだわ。良いんだけどなんか俺も自分のペースに乗せたいな。
『暑かったけど何とかやり切れたからね!!』
「そうか」
『そこは言う言葉があるんじゃない?』
「え?」
『ほら、大変だった人を労う言葉』
「」
ほらな?柚葉のペースだよ……。
「頑張ったね」
『……そう!!頑張った!!!ありがとう!!』
「…………」
凄い嬉しそうだな………。
『だからさ……またナデナデしてね!!』
「…………え?」
『ん?』
「ナデナデしたことあったっけ?」
『あ、なかった?』
「覚えてないな」
『それじゃあ初めてのナデナデよろしくね!!』
「えーー……しないといけないの?」
『してよ!!』
「……しょうがないな」
と言うことで俺は柚葉の頭を撫でることになった。いつするか分からんけどな。
ーーー
「あ、隼人隼人ー」
『ん?』
「頭を撫でるのが嫌だったらチークキスでもいいよ?」
『もっとレベル高くなってんだけど?』
「えーー?でも、私はやったじゃん?そのお返しで♡」
『どういうことだよ……』
「それじゃあ口付けする?」
『お前、言ってることハイレベル過ぎるよ!!!』
「え?普通じゃない?」
『お前の普通が分からないわ……』
「そう?」
『そうなの』
「……私は幸せなのにになーー」
『…………』
そんな風に私は隼人をイジる。
やっぱ楽しいなー♡
『柚葉』
「ん?」
『修学旅行や文化祭はいつあるの?』
「えーーーと…2学期かな」
『そうなんだ』
え?
「来てくれるの?」
『え?』
「修学旅行はともかく……文化祭は来てくれる?」
『え……………』
隼人はしばらく無言になった。
『行っても上手く話しかけれる自信ないんだけど……』
「別に話さなくてもいいよ』
『………』
「ただ私の顔を見てくれるんだったらそれだけでいいよ」
『…………本当は?』
「キスしてツーショット撮りたいでーちゅ♡」
『……………』
「でもいいよ。来てくれるんだったら嬉しい」
『去年は行けなかったからな』
「でしょ?だから!!」
『……考えとくわ』
「まだ何やるかすら全然決めてないけどね!」
『そらそうだろ』
「それじゃあ検討よろしく!!」
『……因みに修学旅行はどこ行くの?』
「え?確か九州か沖縄だったかな?」
『なるほど』
「え、何なに?来てくれるの?」
『バーーカ』
「」
『まぁ、この"バカ"はどう言う意味かは考えときなよー(笑)』
「うわーー、腹立つー。隼人にいじられたんだけど」
『ははっ。まぁ、常識で考えとけよ。それじゃあそろそろ通話は終わりにする?』
「だね。まぁ、そういうことだから学校行事はそんな感じね!!」
『はいはーい。おやすみ』
「おやすみー」
ということで私達は通話を終えた。
「……………」
私は暫し携帯を眺める。
「え……本当に来てくれるのかな?」
そう呟くと同時に…、
ブアッっっっ!!!!!!
そんな風に赤くなってしまっていた。
ーーー
「」
俺は金を確認した。
「…………」
あまり使ってないから一応、10万以上はあるな。
「どうしよう……」
俺は思わずそう呟く。何故かって?
文化祭はともかく修学旅行先まで行こうかなと思ってしまっているからだ。
マジでどうしよう。
流石にキモイか?てゆーか金はどうする?バイトするか? どうしよう………。
いやいやいやいや。今はそんなことを悩んでる暇はない。転学するんだからその準備だよな……。
俺は必死に考えていた。
「え、ユズちゃんの修学旅行先に行くの?」
「いや、考えてる段階で……」
俺はまだ起きていた母さんにそう話していた。
「お金はどうするの?」
「最終手段は新聞配達でもやる」
「」
母さんは暫く無言だった。そして……、
「今は高校のことを優先してそのことはまた、近いうちにね?」
そう言ってくれた。
「」
否定はしなかったな。
ーーー
「」
私は眠れていなかった。只今、深夜の1時。
「あーーー。早く朝に何ないかな…」
何故かって?
それは簡単。隼人と話したいからだ。
「……………」
そういえば手を繋ぐのはいつしようかな……。
私は考える。
正直、あの告白した時に隼人は私の手を握ってくれた。でもあれは"包み込んでくれた"って言う方が正しい。だから……、ちゃんと手を繋いで歩きたい。
私はそんな風に考えている間に意識を失った。
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