第50話 怖いのを"受け入れて"会うか会わないかで考えよう
「よーしよーし!!久しぶりに今日は実験室だーー!!」
私はそう"言いながら"歩いていた。
思わず声に出ていた。
何をするかと言うと……、
"新聞とティッシュはどっちが水に濡れると破れやすくなるか"!!
これに限る!!
"頭悪っ"
隼人にこう言われるかもしれないけど……、まぁ、気になることだからね!!調べれば沢山出てくるかもしれないけど実際にやってみることにロマンがあるんだからね!!
そう考えながら私は"学校へ向かっていく"。
そっ……まだ朝なんだよね。朝から声に出しながら歩いちゃってるって感じ。だから……、
少し周りから視線感じる……。こんな道端で喋るべきじゃないね。危ない危ない。
キーンコーンカーンコーン……。
ーーー
ガチャ。
「お、おっす隼人」
「よっす……元気にしてたか?……
時間は昼頃。俺は幼馴染の男子の親友、
「元気にしてたかってのは俺のセリフだよ(笑)」
「そうか?まぁ、とにかく暑いんだから家に入れよ」
そう言って俺は招き入れた。
昨夜のこと…。
ー
俺はこの前にプリクラで柚葉と撮った写真を琥太郎に送ろうかと悩んでいた。言ったのは1週間以上前になるんだけどさ。まだ送れていなかった訳。恥ずかしいけどいくら親友といえど久しぶりに話すのはやっぱ緊張するし入りが分からない訳なんですよね……。だから、勇気を出して写真とメッセージを送信できたのが昨日ということ。
[あ、久しぶり。小柳隼人だけど覚えてる?]
こんな風にラインした。ちょっと入り方が他人行儀だったかな?親友なのに……。
ティロン!!
「!!!」
速攻でラインが返ってきた。
[え、隼人!!?あの小柳隼人!!?]
何だよ"あの"って(笑)
[何が"あの"なのかは分からんけどとりあえず普通の何の特徴もない
[おーー!!!!久しぶり!!!通話するか!!?]
[いや、通話だと緊張するからメールでお願い]
[はいはーい]
一応、不登校になった経緯は伝えている。
[それでどうした?]
[いや、どうしたと言う訳じゃないけどよ……その……話したいと思ってさ]
[何だよ。長距離恋愛している彼女かよー?]
[やかましい!!とにかくよ……元気だったか?]
[俺は元気だったよ(笑)]
[そっか]
やべ、後は何を話せばいい?思いつかない……。どうしよう……。
[そういやよ。隼人は明日は予定あるの?]
[特にはないよ?]
[それじゃあよ……明日会える?]
[え]
[俺の高校、明日午前で終わるんだよ。だからさ、午後に少し会わない?]
琥太郎はそう送信してきた。
どうしよう。
[俺、ちゃんと話せる自信ないんだけど……]
そう正直に送った。
[あ、そっか………、それじゃあ、やめとくか?]
「…………」
俺は考える。琥太郎は多分、"善意"でそう聞いてきてくれている。でも、一緒に話していて沈黙になるのが怖い……、つまらないと思われるのが怖い………、それが本心だ。いくら親友だろうとこの負ってしまった負の感情は消えない。
けど、
そう思われてもしょうがないよな。
[いや、やっぱ会おう]
[良いのか?]
[大丈夫]
[それじゃあ会うか!]
「そうだよなーーー……」
"新しいことは想像だけだといくらでも怖くすることはできる。だから怖いと思い込んでしまう"……と。
だから俺はこう考え直した。
"だったら怖いのを受け入れて会うか会わないかで考えよう"と。
という訳で俺は気持ちを入れ替えて会うことにした。
あれ?
何でこう考えられてるんだろ?
[それじゃあどこで会う]
琥太郎からそうメールが来る。
[できれば俺の家で会いたいんだけどいい?外で会うのは少し嫌なんだ。周りの人の視線とか気にしちゃって話せないと思うし]
[おっけ分かった!!!]
そう会話をして……、
ー
今に至る。
「でも、本当に元気そうだな!!」
琥太郎は俺に笑いかける。
今は俺の寝室だ。
「まぁ、一応ちゃんと夜は寝て、朝は起きてるからな」
「そっか!!ちゃんと飯は食べてるのか?」
「食べてる食べてる」
「そうなのか!!」
琥太郎も元気そうで良かったな。
「……………」
そして、琥太郎は少し黙る。
「琥太郎?」
「……柚葉とはちゃんと会ってるのか?」
「」
琥太郎はそう聞いてきた。
"不登校になってから柚葉が俺の家に訪れるようになった"。
その話は琥太郎も知っていた。
「会ってるよ」
「………そっか」
「………………」
やっぱ、話せてないとこう、色々と情報が止まってしまうよな。
「ちゃんと柚葉のお陰で少しは人間関係についても考え方が変わってきてると思う」
「」
「だから柚葉と会うことはちゃんと前に進むきっかけになってる」
「…………そっか」
「だから付き合えるようになった」
「………………ん?」
「え?」
あれ?琥太郎が固まってる?何だ?
「えーーと……付き合えるようになったってのは人付き合いが上手くいくようになったってこと?」
「」
あ。
「」
そういや柚葉と付き合うようになったってこと俺は家族にしかまだ伝えてなかったわ。
ーーー
「んーーー!!!」
わたしは
「なんか嬉しそうだね」
私の親友の
「あ、分かる?」
「誰が見たって明らかだけど?」
「いやー、実はさー?今日はちょっと楽しみなんだよね」
「あー、例の幼馴染君か」
「そうそう!!」
私は凄い嬉しそうに笑っていたらしい。
「なんの話をしてんのよ」
「あ」
そこへ、同じクラスメイトの女子の
「あー、柚葉がやけに嬉しそうだねって話だよ」
「嬉しそうなのは良いけどちゃんと勉強はしないとね?」
穂花は私に向けて言う。
「だ、大丈夫だって!!」
「そう?柚葉は授業中いつも話聞いてないけど大丈夫なんだ?」
「大丈夫!!だって、私は赤点取ったことないから!!」
私は教室中に響くほどの声量で言った。
「そんな胸はって言えることじゃないけどね」
「弁解雑すぎだろ」
そう莉珠と穂花から冷ややかな目を向けられた。
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