不登校な俺を支えてくる幼馴染のJKは俺が"大好き"な変態さん♡

第41話 隼人は夏はどこ行きたい？

　少し前……、

　今、隼人と電話をする前の"付き合った初日"の夜のこと。

　「お母さん、私……素直になれたよ」

　そうお母さんに報告をしていた。

　「そう……」

　お母さんはそう呟く。

　「なんて言うか………本当に突然なんだね」

　「ん？」

　「自分の気持ちを思わず曝け出したくなる感情はいつも突然なんだね……」

　「…………そりゃそうよ？人はいつも突然で…偶然に…ふと、気づくの」

　「」

　「本当の自分を」

　お母さんは目を瞑り、再び開けた。

　「……………だからね？自分に正直になりたかったらそこをまず知らないとダメなの」

　「」

　「今更過ぎて"分かってるよそんなこと"って思っていてもいざ、自分に正直になろうとしたら"あれ？何だっけ？"ってなりやすいものなの。それほど正直になれるタイミングは難しいものなの」

　確かに。私も自分に正直に、そして隼人に正直になれたのは"泣くくらい自分を受け入れて"、"相手の気持ちを無視して自分の言いたいことを言えて"……それで…………、

　それでか。

　「…………隼人君に正直に自分のことを言ったら隼人君はどうしてくれたの？」

　「……何も言わずに抱き寄せてくれた」

　「そう…………」

　「……そして、"柚葉も俺と一緒だったんだな"って言った」

　「そりゃ同じ人間だからね（笑）」

　「……………」

　「でも私も隼人君と話した時、ユズと隼人くんは似てると思ったかな」

　「え」

　「つい最近、あなたの看病に来てくれた時ね」

　「…………」

　あ、あの時か……。

　「そのことは隼人君"本人"から聞いた？」

　「聞いたよ。そもそも私も少しは聞いていたから」

　「あー、いたよね」

　「え、お母さんは気づいていたの？」

　「ん？気づいてたよ？」

　"当然でしょ？"みたいな顔をしてくる………。流石、おば…

　「おばさんって思った？」

　「！！……思ってないよ？」

　鋭いよこのお母さんは……！！！

　「まぁ、とにかく……それじゃあ好きって言葉は聞いていたのかな？」

　「………聞いてたよ」

　「………それじゃあ、その"好き"の意味まで聞けたんだ？」

　「それって、今日のこと？」

　「そうよ？聞けたんでしょ？」

　「"愛してるの好き"だって……言ってくれた」

　私は少し顔を赤らめながら伝える。

　「"愛してる"………か」

　お母さんは再び物憂げに遠くを見るように視線をよそにやる。

　「……その"愛してる"は私がユズや大輝（たいき）に注いでるものと同列なのかな……」

　「それ以上……いや、自分の愛が一番だって思いたい……それほどの想いは篭ってたと思う」

　「そりゃそうよ？ユズを好きになるんだったらそれほどの想いがなきゃ私は心から認めるつもりはないから」

　「え……」

　「とまぁ……それほど私は厳しいってことね（笑）？」

　「ちょっと引くんだけど……」

　「でも、柚葉が付き合いたいって思えるのは隼人君だけでしょ？」

　「……………まぁ……」

　「自分の知らないこと、分かってなかったこと、知りたくなかったこと……それらを全て踏まえた上で付き合うに至った………でしょ？」

　「………何でお母さんはそこまで分かっちゃうの………なんか怖いを通り越して尊敬する」

　「そりゃあ親だもん？大体2人の関係性はいつから見てると思ってるのよ？もう昔からよ？多分、隼人君のお母さんの美月（みづき）ちゃんも同じくらい分かってることだと思うよ？」

　「…………流石は親……」

　とまぁ、こんな感じで私はお母さんに話していた。

　「それで？そろそろ踏み込んでいい？」

　「ん？何を？」

　「柚葉の満足げな顔を見るに………チークくらいはしちゃったのかな？」

　「ノーコメント/////////！！！！！！！」

　そして現在……隼人と深夜の電話トークに戻る。

ーーー

　「その……言葉をうまく選べないけどさ……これだけは言わせてほしい」

　『ん？』

　「………これからよろしくな！！」

　俺はこう柚葉に改まって伝えた。

　『そうだね……よろしく』

　柚葉の方からも穏やかな返事が返ってくる。

　「………………」

　やべぇ話すことが思いつかない……。カップルってどんな会話をするんだ？何をどう話せばいい？普通に"好きだよトーク"をすれば良いのか？でもそれはバカップルみたいでキモくない？

　『隼人』

　「！！！…………ん？」

　『隼人は夏はどこ行きたい？』

　「……………え？」

　『ん？』

　あ、あれ……柚葉……あまり緊張してない…………と言うか普通に話題を振ってくれてる……。

　『どうしたの？"本当に好きだよ？好き好き好き好き…"みたいなトークをするとでも思ったの？』

　「！！」

　『流石にそこまでするかは……まぁ、考えたけどさ…』

　「考えたんだ？」

　『少しね！！！でも今は、こうやって普通に話す方が楽じゃない？』

　「…………確かにな」

　『だから……とりあえず今は楽しく話そ？』

　「………………だな」

　あー、ここは彼氏がカッコよくてエスコートしたかったのに彼女に引っ張ってるもらうとは………情けねーな……。

　『それでそれで？夏はどこ行きたい？』

　「どこって………まず、海かプールは行くんだろ？」

　『え？』

　「何の為に水着買ったんだよ（笑）」

　『………隼人は私の水着姿を見たい？』

　「な、何でそうなる//////！！！」

　『だって、隼人の方から言ってくるとは思わなかったからさ……』

　「とにかく！！！それは決定事項なんだろ？」

　『…………だね//////』

ーーー

　私はとても嬉しかった。

　水着もそうだが……、

　隼人が私の言ったことをはぐらかさないでちゃんと言ってくれた。

　だって……、

　"ナンパされたら助けられない"とか情けないことを言ってて渋々承諾みたいな感じだったのにちゃんと前に言ったことを覚えてくれていた。

　だから……、

　『とにかく！！！それは決定事項なんだろ？』

　「…………だね//////」

　私は思わず顔が綻んでいた。隼人とまた新たな思い出が作れる……そう考えただけで胸が一杯になった。

　「それじゃあ、他にはどこ行きたい？」

　『え？んーーーー………夏祭りとかは？』

　「どこの？」

　『え………地元とかじゃなくて……どこかの遠くのとか』

　「例えば？」

　『大阪とか』

　「遠過ぎない？お金あるの？」

　『…………まぁ、ギリギリ……』

　「ふふっ、それじゃあ考えとこっか」

　『柚葉はどこ行きたいんだよ』

　「んーーー………温泉」

　『……………なんか珍しいな』

　「えーー？だって温泉巡りしたいじゃん！！！」

　『夏にか？』

　「夏だからいいんじゃん！！」

　『俺は暑いイメージしか湧かない』

　「湯は熱いだけにってか（笑）？」

　『しょうもねーな』

　てな感じで私達が付き合った初日の電話トークはこんなことを話しました。

　『あ』

　「どうしたの？」

　『俺達が付き合ったご挨拶はいつする？』

　「」

　隼人って意外と筋を通したがるんだよね…。