第22話 次は直で手を繋げたらな///
「柚葉………?」
暗くなった画面に声を掛ける俺。
『………………大丈夫じゃない』
「だよね………」
自分のエッチなところを見せつけていたんだもんな……そりゃあ恥ずかしいよな……。
まぁ、俺も新たなオカズが出来ちゃった訳何だけどさ……。
「それじゃあ今日は通話は止める?」
『ガサっ!!ゴソッ!!』
電話越しに雑音が入る。
『やだ。やる』
そして、画面に上半身を布団で隠した柚葉が映る。
「いや、服着ろや」
『暑いからめんどい』
「簡易的で雑な処理だな」
『めんどいから(笑)』
「………………ぷふっ」
俺は気付けば笑っていた。
『それじゃあ気を取り直して通話しよ?』
「通話って何をするんだよ?」
『何かの話』
「何かって?」
『んーーーー……………好きな食べ物についてとか?』
「好きな食べ物………」
『もう一つ方のオカズとか言い出した怒るからね?』
「ふ、ふざけてんのか//////////!!!!!そんなしょうもないこと言う訳ねーだろ!!!!」
俺は大きな声を出す。
「お兄うるさい!!!」
廊下から桜が怒鳴る。
『……………ぷふっ!!』
「」
『あははは!!ごめんごめん!!私が恥かいたから隼人にも恥かいてもらいたかった(笑)』
「性格悪いなお前……ぷふっ!」
『隼人も笑ってんじゃーん♡』
「いや、なんか魔が差したわ」
『意味分かんねー』
「ともかく………それじゃあ、食べ物の話な?」
『やっぱやめよ?』
「え?」
『なんか食べたくなってきちゃうから止めた方が良いと思う』
「……………本当に自由だな」
『ごめんごめん』
そして、俺は椅子に座り携帯を机の上の壁に立てて話す。
「それじゃあ、どんな会話をしよっか?」
『んーーー………』
柚葉は口元に指を添え、悩む………なんかエロいな。
『あ!!それじゃあ………顔を見て何を考えてるか当てるゲームでもしよ!!!』
「また思いつきで…………1回目で飽きたからやめよとか言うのがオチなの見え見えなんだけど?」
『やってみないと分からないじゃーーん?だって画面越しだから生でやるのとはまた違った感じだと思うけど?』
「そーかな…………」
俺はちょっとクソゲーだと思ってしまっていた。
『あ、このゲームゴミ過ぎるとか思ってたでしょ?』
「惜しい。クソゲーだって思ってた」
『汚いなー。丁寧に言ってよ………う…」
「待てえぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
俺は先程より更に大きな声で怒鳴っていた。
「お兄マジうるさい!!!」
桜がドア越しで怒鳴る。
『……………ビックリした……何よ?』
「え、お前何を言おうとした?」
『え?"うじ虫が湧くほど汚いゲーム"って言おうとしただけ』
「」
意外な所で語彙力がある言い方なこと。
『……………あ。あーー♡』
どうやら柚葉は俺の考えていたことを読み取ったらしい。
『さっすが紳士な隼人だね(笑)?』
「うるせー。お前の口からは絶対に聞きたくない言葉なの」
『何で?隼人の前で言ったことなかったっけ?』
「覚えてねーよ」
『あ、逆か。隼人がよく言いまくってたのか』
「やめろ言うな」
『"アホ"とか"バカ"と対して変わんないじゃん?』
「変わるだろ。下ネタは柚葉の口から聞きたくないの」
『は?十分もう言っちゃってるけど?』
「性に関わる下ネタは別にいい」
『うわヤバ。隼人の性癖が更に見えてきたような気がするんだけど…。うわー、ドン引きだわ』
「べ、別に性癖とかじゃなくて!!!!だって嫌じゃん!!!めちゃめちゃ可愛い女子から低俗な下ネタを聞くのって!!!自分の理想であってほしいの!!!」
『…………つまりは隼人の理想の私はお上品なお嬢様に見えていると?』
「…ぐっ……////////!!!!!」
『顔あっかいぞーー(笑)??』
そう、画面越しでニヤけながらいつものイジるような目を仕向ける柚葉。本当に人をいじるのが好きだろコイツ!!!
『てゆーか言っちゃったね?』
「え?」
『"めちゃめちゃ可愛い"女子って』
「」
ーーー
「てゆーか言っちゃったね?」
『え?』
「"めちゃめちゃ可愛い女子"って』
『』
私はそう思わず笑みを浮かべながら隼人にそう意地悪く伝える。なんだろう………今日はそんなにドキドキしないな。むしろテンションが上がってる感覚だわ。これが深夜テンションか?なんだか"恥ずかしい"とか"嬉しい"とかじゃなくて楽しいが強いや。
「それで隼人君?君は私の何が可愛いと思ってるのかーーな?」
私は隼人に笑顔で詰め寄る。あー、電話越しだからかな……、その場じゃ恥ずかしいこともなんだかできちゃうわ。
『あーー……いや、今のは忘れて。ただ正確には"みんな"がめちゃめちゃ可愛いって言ってるってこと』
隼人はそう言い訳をする。
「みんなって?」
『周りの人達』
「例えば?」
『大輝君や桜』
「家族はダメだよーー(笑)?」
『と、ともかくこの話はお終い!!!!!』
激しく顔を赤くする隼人が三度目の大声を上げる。
「…………あははは……!!!」
私は思わず笑ってしまう。
そして……、私達はその後もしょうもないことを話していた。日頃の家での生活、新たな趣味、面白かったこと、見てみたい映画、窓から見える景色について、行ってみたい場所など。なんだか時間があっという間に過ぎ去っていった。
「それじゃあ、そろそろ切る?」
『え………あ、もう12時になるじゃん!!』
「ちょっとのつもりが大分になってたね(笑)」
『大丈夫?明日に支障はないか?』
「心配してくれるんだ?やっさしー♡」
『いやだって………そりゃあ……これで明日に何か問題があれば電話できなくなるじゃん』
「」
そう言ってくれるんだね……。
『柚葉と話すのは……た、たの……興味深いからな』
「何で隠そうとしてんのよ(笑)」
『ともかく!!そろそろ切るぞ』
「あ、その前に」
『ん?』
「最後さ……このままでスマホの画面に同時に手を触れない?」
ーーー
俺はこう言われ、少し驚いた。
「何で?」
『だって隼人と……いや、"久しぶりのビデオ通話"の記念として何か印象深いことをしたいなって思って。こうすれば多分、忘れないでしょ?』
「……………お、おう」
俺はいつになく素直にその言葉を受け入れる。
『それじゃあいい?』
「おう」
柚葉の声を合図に俺達は同時に……、
ピト……。
スマホ画面に触れた。
ーーー
「なんか温かいね」
『そりゃあ長時間スマホ使ってれば熱いだろ』
「ロマンないな」
『うぇっ?』
「ふふっ………それじゃあ電話切る?」
『………そうだな。もう遅いから寝よ』
「分かった……」
私はしばらく切れなかった。
『あれ?切らないの?』
隼人が聞いてくる。
「隼人も切ってないじゃん」
『あ…………じゃ、じゃあ切るな!!!おやすみ!!!』
プツッ!!!
「」
何だよ。あっさり切れるじゃん………。
「………くふっ」
私はスマホを握りしめてベッドに寝転がる。
「次は……次は直で手を繋げたらな///」
あ、でもハグしたっけ?
それはまた別ってことでね?
そんなことを考えながら気づいたら意識がなくなっていた。
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