第21話 ビデオ通話したんだけど…その画角は男子として直視できん
コンコン!!
ガチャ!!
「はーやと!!」
「何の為のノックだよ……せめて返事は聞けよ」
「終わったことなんだからいいじゃーーん?」
「」
今日は柚葉が体調が良くなった翌日だった。
後今更言うが家には俺しかいないのでインターホンを鳴らさなくて良いと言ってるから柚葉はそのまま入ってくる。
「元気だったか?」
「何言ってんのよ〜?昨日まで寝てたんだって!」
「あ……あーー……そうだよな」
やべ、普通に聞き方ミスった。
「まぁ、元気にはなったよ!!」
そう無邪気な笑顔で柚葉は笑ってくる。
「そっか」
良かった……。
「隼人?」
「ん、ん?何?」
「なんか笑ってるから嬉しそうだなって」
「え………」
あ、何で笑ってるんだ俺……。
「……………嬉しい?」
「」
「私が来たこと……嬉しい?」
「……………まぁ……つまらなくないよ」
「素直になりなよ〜〜???」
「………………」
やべぇな……好きって言ってからなんか柚葉の顔が直視できないんだけど……。
昨日のことだった。
ー
「そーなんだーー、柚葉ちゃんのお母さんに言ったんだ?」
「まぁ」
俺は妹の桜に大柳家に行ったことについて話していた。
「どうだった?」
「………まぁ、木乃葉さんは受け止めてくれたよ」
「違う違う違う違う」
「え?」
「お兄は自分に正直になれてどうだったの?」
「」
「気分は晴れた?」
桜が俺の目を見て聞いてくる。
いつもの邪心はなく、ただ単に純粋に目を見て聞いてくる。
「……………気分良かったよ」
「…………そっか!」
桜はそれ以上聞いてはこなかった。けど、嬉しそうに笑っていた。
ー
と言う訳で現在。
「……………」
俺は自分に素直になったら何だか急に柚葉の顔を見れなくなっていた。
「…………それじゃあ……その……」
「あ、そろそろ行かないと」
「え?」
「急に来てまた急でごめん。この後、仕事だからさ」
「マジで?大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!!でも、雑誌の撮影でちょっと出かけないといけないからもう行くね!!」
「………………」
そんな忙しいのにわざわざ来てくれたのか………。
「それじゃあ、頑張ってきてね」
「ありがとう!!」
俺はそう伝えた。
「あ、そうそう隼人」
「ん?」
「だから今日の夜はさ……ビデオ通話ね」
「……………え?」
そう言って柚葉は出ていった。
「…………え?」
ビデオ……通話?
ーーー
私は言ってやった…。
「だから今日の夜はさ……ビデオ通話ね」
よしっ////////!!!!
え、何故言ったのかって?
それは………、
昨日のこと。
ー
「ねぇ、
私は小学生の頃からの同性の親友、
『んーーー……隼人は柚葉のことが好きかもと?』
「い、いや!!!好きじゃなくて……気になってるのかもってこと!!!」
『めんどくさいなーー。もう隼人は柚葉のことが好きなんだと思うんだけど?』
「……………」
"好きです"。
「」
『それで?柚葉は私に何が言いたいのかな?』
「………隼人は私と今後どういう関係になりたいか分からないの」
『……………柚葉はどうしたいんだっけ?』
「ずっと一緒にいたい」
『じゃなくて』
「え?」
『隼人とずっとどうしたいの?』
「だ、だから一緒に……」
『あー、聞き方が違うか』
「」
『柚葉は隼人のことがどうなの?』
「………好き////////」
『でしょ?』
由芽子のニヤつく声が聞こえる……。
でも、
私は素直になったらなんか気分が良くなった。
『だからさ………一度、ちゃんと今後どうするか話し合ってみた方がいいと思うのね』
「だね……」
『実際対面したら恥ずかしいでしょ?』
「恥ずかしい」
『だからさ……一度ビデオ通話で試しに話してみれば?』
「!!」
『電話で言えるようにの練習でもあるし。てゆーか、ここしばらく隼人としたことないでしょ?』
「中学の頃からしていない………」
『よし!!!それじゃあ決まり!!!通話してみなさい!!!』
「………………」
ー
そして現在…。
「……………」
まぁ、今日は試しに話せれば良いよね……いきなり、本題に入るのはまだで大丈夫だよね………。
そう考えながら私は撮影場所へと向かった。
ーーー
夜の10時半……。
「……………」
俺は悩んでいた。
「ビデオ通話………」
正直、ここ最近はほぼしていない……。
偶に柚葉以外の友達と軽く普通の通話をするくらい………。
あ、俺にも流石に同性の友達の少しはいますから。
ともかく、
ビデオ通話か………。
別にビデオ通話に緊張してるんじゃなくて、柚葉がそう言い出したことに少し驚いている。
アイツから電話しようなんて言ってきたの不登校になってから初めてじゃないか?軽く、"今日は行くの無理になった!ごめーん♡"などの軽い電話はしていた。でも、ただの通話しようって予め約束したのは初めてじゃないか?
ティン!
あ……。
[あ、今から電話できまーーす。生きてるーー?]
何だこのラインは……。
[生きてるに決まってるだろ]
[ナイス返しd(^_^o)]
[それじゃあ電話する?]
[そーだねーー]
と言うことで……、
『あ、聞こえるー?』
「おう」
柚葉がスマホ画面に映った。
『あーー!隼人のパジャマ姿久しぶりに見たーー♡』
そんなこっちの気が抜けるような声が聞こえる。
「」
『隼人?』
「………………」
あー、終わった。この画角は終わってるわ………。
え?何故かって?
ふふっ………、
胸の谷間が見えてるからぁ〜〜〜////////
そう、多分上斜めにスマホを持ち上げてるんだろうな……。それは別に良いんだ。でも、シャツの隙間から見えちゃってる。おっぱいでけぇ。え?コレわざとか?いつものように揶揄おうとしているのか?いやでも……こんな揶揄い方したことないし………あ、緊張しているのか?だから自分の今の格好が分からないのか?
『隼人ーーー?』
柚葉が聞いてくる。
「あ、あのさ……」
俺は覚悟を決めて切り出す。
『ん?』
「そ、その画角は止めた方がいいんじゃない//////?」
ーーー
『そ、その画角は止めた方がいいんじゃない//////?』
その声が聞こえた。
「え………あ…」
私は速攻で気づいてしまった………。
ブアッっっっっっ!!!!!!!!
「あ………あ////////」
私は思わずスマホを下に向けて顔を枕に埋めた。
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