第18話 俺はいずれ柚葉と縁を切るべきだって考えていたんです
「お邪魔します」
俺は柚葉の寝室へと入った。
「……………あー……」
「何よ"あー"って……」
「……女子の寝室……久しぶりだ」
「……変態」
「………認める」
今日は俺が変態か…。
「それじゃあ柚葉。体は大丈夫か?」
大輝君が柚葉に質問する。
「少し楽になったよ」
「そうか……じゃあ俺はそろそろ大学に行く」
「あ、はーい」
「隼人はリビングで待っといてくれ」
「え」
「母さんが話したいらしいから」
「わ、分かりました」
そうして大輝君は大学へと向かった。
「」
学生生活ってどんな感じ何だろうな……。
俺はふと考えてしまっていた。
チク… タク… チク… タク…
俺はリビングにある椅子に座りひたすらスマホを見ていた。
"幼馴染"、"異性"、"不登校"、"友達"などと調べていた。
「あーー……分からないもんだな……」
俺は声に出して上を向く。
だって……、異性の家の中にいるんだもん。
幼馴染でしかも超美人で可愛い子のさ!!
実際悩むよな……だって可愛いんだからさ!!
そんな子の寝ている姿を生で見ちまったしさ………。
正直に言う……マジで可愛かった。
なんて言うか………、
「エロかった」
「何が?」
「!!!」
「何がエロかったのかな?」
その一言をいつの間にかリビングにいた柚葉に聞かれていた。
「よ、よよ、良かったーー……」
「何で良かったなのよ。そこは焦って言い訳するんじゃないの?」
「柚葉以外の人に聞かれたら本気で焦るけど柚葉だからさ……(笑)」
ドスっ!!!
「いてっ!!!!」
俺は柚葉からの手刀を脳天に喰らう。
「なんか今日は隼人の方がやたら変態に見えるよ」
「え、そう?」
「そうだよ。なんかオッサン味がやたら増してる」
「普段からこんな感じだろ……と言いたいけど認めるわ…そりゃあ異性の家にいたらこうなるだろ!!!!」
「私の家だからでしょ(笑)?」
「」
柚葉は笑う…。
「……………」
やべぇ……言葉が出ない……。
「………それじゃあ、私は寝室に戻るからね…」
「…………お、おう」
柚葉は戻っていった……。
ーーー
「やばばばばばば」
私は壊れたブザーのようにブルブル震えていた。
「流石に自分でも分かる……今のはキモかったって……////////」
恥ずかしい………!!!!!!!
「隼人のバカ」
私は自分の失態を隼人に無理やり押し付けようと考えた………けど……、
「…………私のバカ…」
結局そこに行きついてしまう私だった。
「…………何だか隼人の香りがする気がする……」
先ほどほんの少しでも私の顔を見るために入ってきた隼人の残り香を私は感じていた。
「袋ないかな」
その香りを袋いっぱいに詰め込んで頭に被って堪能したい……………あ、やっぱ私の方が変態かも……てゆーか変質者だわ……、
そう考えてる間に私の意識は途絶えた。
ーーー
「あ、ごめーーん。ちょっと帰ってくるのが遅くなりましたー」
「い、いえ!!!お帰りなさい!!!」
リビングに柚葉の母親の
「何かお茶でも飲む?麦茶だけど」
「ぜ、是非!!」
俺はキッチンから尋ねる木乃葉さんの問いに緊張しながら答える。柚葉と家族以外の異性と話すのもまた、久しぶりなんだよな……。だから緊張してしまう……いくらおばさ…、
「隼人君」
「!!!」
「今、私のことおばさんとかって思った?」
「え、ええ……い、いえ!!!!!お母さんとは思いましたがそんなおばさんだなんて思ってません!!!!」
「………良かったー♡」
そう暗い目で笑う木乃葉さん……。
こ、怖い。
そして……、
「それじゃあ……改めまして」
リビングのテーブルの俺の向かい側に木乃葉さんが座る。
「今日はお見舞いに来てくださり本当にありがとうございます」
そう頭を下げる……。
「……いえ、元気そうな柚葉ちゃんが見れて僕も安心しました」
なんか受け答えが変じゃないか凄い不安だ……。
「そして……隼人君」
「は、はい!!」
「柚葉は"いつも"どうですか?」
「」
つまり、いつも俺の家に来てくれることを聞いているんだ……。
「とても元気で面白くて一緒にいれて楽しいです」
俺は素直に答える。
「そっか……」
「」
「…………柚葉も言っていますよ?"隼人とは今日こんなことした!!"、"こんな反応をしてくれた!!"、"笑ってくれた!!"、"楽しかった!!!"って」
「………………」
「いつも笑ってくれていて私も本当に隼人君に感謝しているの」
「い、いえ!!俺が寧ろ感謝しています!!!柚葉ちゃんが来てくれなきゃ、俺も前に進もうと考えられなかったくらいですから!!!」
「……………高校の方のことを聞いても大丈夫?」
「………はい」
「最近はどんな感じなの?」
「そろそろちゃんとどうするか決めないといけないですね」
「それって"転学"するかってこと?」
「はい」
「………そうしたら通信制高校とか?」
「そうですね……それか通わずに"高校卒業認定試験"を受けるかです」
「……………大変でしょう?」
「はい。経験していないことなのでとても不安です」
「」
「でも、とりあえず前には進みたいって思っています」
「…………………そうなんだね…」
木乃葉さんは目線を下に下げる。
「今、柚葉もさ……あるドラマのオーディションを受けている所なの」
「え?」
俺は思わず目を見開く……。
「それでね……何とか最終まで進めているんだけどね……」
「」
「本当にいつも泣いてるの」
「」
「"怖い"、"怖い"って……」
「……………」
「でも……隼人君のお陰なの」
「!」
「"でもここまでなんとか成長できたのも隼人と一緒に楽しく過ごせてきたから!!!隼人が私に元気をくれるから!!"」
「」
「そう言っていたの」
何だよそれ………、
何も知らないぞ俺は………。
"隼人が思ってるより柚葉は苦しんでる"
いや、知っていたのか……大輝君がこう言っていたように……、そっか……考えないようにしていたのか………。
「でもね?」
「」
「私も思うことがあるの………」
「………何でしょうか?」
「…………隼人君はちゃんと前に進めてるし人を助けているって」
「」
「ありがとう」
そう笑顔で言ってきた…。
でも俺は……、
「あの……俺からも一ついいですか?」
「ん?」
「俺はいずれ柚葉と縁を切るべきだって考えていたんです」
「」
俺は思わず本音を言っていた。
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