第14話 サディストとマゾヒストについての討論
「それじゃあ、はーやくー♬」
"あーん"と口を開ける
「」
え、マジでするのか?されることはあってもしたことなんて………ましてや異性の幼馴染なんかに……、嘘だろ…。
「隼人ー?ほらっ、ほらっ、はーやく♡」
そうじっとりと柚葉は上目遣いで俺を見つめてくる。
どんな心境なんだ?
ーーー
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい……。
ちょっと私、調子に乗りすぎてますよねこれ……。
でもなんか楽しくもあるんだよね……、よし。
「隼人ー?」
もうやっちゃえ!
「ほらっ、ほらほらっ?はーやく♡」
これも……演技としてのいい勉強となる筈!!
私は無理矢理そう思い込みました(笑)。
ーーー
「」
よし、まぁただ食べさせるだけなんだし何も変なことじゃないよな……、いや、寧ろ普通だ。普通なんだ……だって、漫画とかだって異性の友達同士で食べさせあいしてる場面だって見たことあるしな………、
そこが問題なんだけどな。
俺が……俺が、柚葉をただの異性の友達って見ていたらの話なんだよな………そこが実際問題…………アレなんだわ…。
「隼人?」
「あー、いや何でもない……。よし、食べさせるから口開けてよ」
「はーーい♡」
俺はケーキをフォークで刺す…、
「ワクワク♡ワクワク♡」
口に出すなよな……マジで可愛いんだけど…!!!
俺は柚葉の口にケーキを持っていく……、
「あーーーーん」
「」
そして……、
「あむっ!!」
パクっと柚葉はその俺が差し出したケーキにかぶりつく。
「んーーー!!おいひ〜〜!!」
モグモグ…。
そう食べながら柚葉は喋る。
「……………」
「隼人ー」
「ん?」
「ありがとね!!」
「」
ーーー
「隼人ー」
あぁ……、
「ん?」
やった……。
「ありがとね!!」
やったあぁぁ〜〜〜〜〜……//////!!!!!!
初めての"好きな人"からの"あーん"!!
色々と恥ずかしかったけど実際されると嬉しい…!!!
よしよし!!!
ーーー
「あ」
「ん?どした?」
俺はふと思った。
「蜂蜜かけてない方から食べるべきだったかな……」
「そんな変わらないでしょ。気にしない気にしない」
「でも、美味しいって分かってる方から先に食べちゃうと、中々その下位互換の奴は美味しいと思えなくなっちゃうよね」
「下位互換って……もう少し言葉を選びなよ。普通に蜂蜜かけないで食べるのが好きだって人もいるじゃん?」
「あ…………柚葉に注意された………不覚……」
「何でガッカリすんのよ…………」
そして俺達はホットケーキを平らげた。正直、このような甘い食べ物を食べるのは久しぶりだったのでとても美味しく感じた。実際に昼はいつも母さんの作り置きを食べていた…………あ、だからか。今日の朝……、
「隼人ー、今日はお昼作れないからカップ麺でも食べてねー」
「はーい」
そう母さんから言われた。よく考えてみたら、柚葉が家に来てホットケーキを作るって分かってからなのかも。なんかしっくりきたわ。てゆーか、それならそうと直接言ってくれてもいいのに。別に柚葉が来ても……、
『柚葉に近寄るんじゃなくて俺が離れればいいんだよ』
……………。
『俺みたいなただの日常の人間関係で悩んで、逃げた奴が柚葉を支えていけるとは思えない』
………そういや一丁前にそんな自分のことを理解してきます的なこと母さんの前で言ったな………そりゃあ、気を使うか……。俺ってバカだな。
「んーーー!!それじゃあこれからどうするー?」
「え?」
皿洗いやテーブルを拭き終え、今は2人でリビングで寛いでいた。
「え……あー、何かゲームでもする?」
「んー、ゲームはいいや」
「それじゃあ映画でも観る?」
「映画もいいや」
「……………何かしたいことでもある?」
「それを言うのを待ってました」
「え」
「私は……ここで論争をしたいと思っていました!!!」
「論争?」
「そう。えーと、SMについてと、チョコバナナとソーセージについてと、後は────────についてと」
「待て待て待て待て待て待て待て」
「ん?」
「お前、ヤベェこと言ってるから!!!色々と男子中学生が好きそうなこと言ってるから!!!」
最後のお題に関しては伏せ字を使わなきゃいけないくらいとんでもなかった。
「お前、変態から異常者に格上げしようか?」
「大丈夫大丈夫!隼人の前以外でこんなしょうもない卑猥なことを連想させるワードは滅多に言わないから!!」
「偶には言うのか…」
「そりゃあ青年だもん♡」
「…………お前、何考えてるのか読めなくなってきたわ…」
「やった!!ポーカーフェイスが上手いってことだね!!これからに役立つ演技だから助かるぅ!!」
そう、軽いノリで自己昇華しながら笑う柚葉……。
「お前………」
コイツ……アダルトビデオとか"観る"のは無理なのに言葉は色々と学んでいったようだな………まぁ、業界で生きていたらこんなワードがマイルドになるくらい黒いこととか学んだりしてるのかも………やっぱ恐るべしだな。
「それじゃあ、どうする?SMについてだけでも論争する?」
「始めに聞くけどスモールとミディアムってことじゃないよね?」
「そう。サディストとマゾヒストだよ」
「…………………」
「これについて論争するの!!」
「どういう内容で?」
「"マゾヒストはサディストに目覚めるのか!!"」
そう、豊満な胸を張って自信があるように答える柚葉……。
「それは論争じゃなくて討論よりじゃない?」
「あ、そうかも」
ここにきておバカが目立つ16歳児。
「……………マジで?」
「マジマジ!!面白くない!?」
「面白いで片付けらるほど甘い内容じゃねーと思うんだけどな」
「んーーー……なんかさ、アメリカとかのトークショーって結構ブラックジョークが入ってたりするじゃん?」
「まぁ」
それは日本の深夜のテレビ番組でもあるよな……。
「なんか下ネタで笑いが取れるのって小学生や中学生くらいだと思ってたんだけどさ、大人でも普通に笑えるじゃん?」
「………………」
「だから、笑い合うためにこの話題を持ってきました!!」
「いろいろツッコミたいことは沢山あるんだけどさ………ともかくは自分が笑えて俺も笑えそうだと思うものを持ってきたという訳?」
「そういうことです!!」
「」
俺は一体どんな目で見られてるんだろ。
まず、その言葉が浮かんだ。
「まぁ、2人限定の関係値だからできる話題でもあると思うんだよね」
「なるほどな……」
まぁ、順当に"柚葉がサディスト"で"俺がマゾヒスト"だろうな。
「それで"サディストの隼人"はどう思う?」
「…………え?」
あれ…
逆?
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