第7話 空気を読んでよお兄ちゃん……







 ??「真綾?」   


 


 「!?」




 真綾「!!お兄ちゃん!?」






 俺達が別れようとした際、



 そこには俺が【ここでは】会いたくなかった人が通りかかった





 元宮の4つ歳上の兄、元宮達一(もとみやたつひと)





 黒髪の長身でスラッとしていてめっちゃ美形で細目が特徴的な人だ






 

 達一「こんな時間にここで何をしてるの?」



 真綾「いま哲也君と話していたんだ」



 「こんばんわ。お久しぶりですタツ君」ペコ



 達一「え?……おっ!哲也か!!また背が伸びたか?一瞬気づかなかったよ」



 「はははっ……」



 達一「じゃあ、哲也と話していたんだ」



 真綾「そうだよ」

 


 達一「そっかそっかぁ……」チラっ



 「!」



 達一「で、今別れる所?」



 真綾「そっ」



 達一「……………」



 「!」ゾクッ!



 な、なんだ?急に体がゾワりとしてきたぞ……



 「では自分はそろそろ……」そろーり





 達一「待った」






 真綾「え」



 達一「哲也……ちょっと話しがある」



 「あ………はい……」




 やばいな〜…マジで……




 達一「それじゃあ、真綾は先帰って大丈夫だよ」ニコ



 真綾「あ……分かった……」(お兄ちゃん……)



 「……………」



 真綾「じゃ、じゃあ哲也君…おやすみなさい……政くんとお父さんにもよろしくね」



 「うん、伝えとくよ……おやすみ」







 そう言って真綾は家に戻って行った




 あぁ…最後の『また話そうね』の所で気持ちよく終わりにしたかったのに……




 このお兄さんは……











 達一「……………ふぅー……さて…」チラっ



 「」ビクっ



 達一「哲也……真綾とは今……













     どんな関係なんだ?」ピキっ



 










 超シスコンなんだよな






 うわ〜



 青筋がぁ……





 「い、いえ、まだ友達ですよ!」



 達一「『まだ』?」



 ヤベっ!!



 達一「まぁ、前から言ってきたと思うけど真綾ともしも……も・し・も、【友達以上の関係】になりたいんだったら俺を納得させるよう言ったよな?」



 「は、はい……」






 正直、真綾が決めることだからタツ君の許可は……まぁ……………何だけどね……



 この人、普段はめっちゃいい人で好きだけど妹と姉のことになるとすげぇ怖くなるんだよな……





 達一「まさか俺が見てないとこで真綾とくっつこうとはしてねぇよな?」



 「し、してません!!」



 達一「しようもんだったら……









    許さねぇからな?」ギョロリ





   こ、こえぇ……



   このギラギラとした瞳……



   この人はと怒ると何するかマジで分からない



   この人の履歴はやば過ぎるもんな……


   

   小中高と全国大会、組手10連覇……世界空手道選手権大会にも出場したことがある人……そん時も組手で準優勝とか……



   数十人と一人で面と向かって喧嘩して圧勝してた逸話がある人だからな……


   


   バカこえぇ……






 達一「だったらいいけど、仮に付き合うんだったら付き合う前に【絶対、必ず、地球が滅んでも、】俺に一言話しを通せよ?分かったな?」




 

 ん?


  



 達一「返事は?」



 「は、はいっ!!」





 

 ていうか今思ったけどタツ君…

 何で【俺が真綾と付き合うかもしれない前提】な言い方をしてるんだ?



 俺以外にも真綾と付き合いたいと思ってる奴なんてごまんといるだろうに……そいつら全員にこんなこと言ってんのか?


 





 達一「…………で、最近学校生活はどうなんだ?」



 「………あ、変わり映えなく淡々と過ごしてますっ!!」



 達一「ゲームしまくってお前の親御さんに迷惑はかけてないか?」


 

 「はいっ!!そこは問題ありません……と思います!!」



 達一「何だそれ」クス



 「タツ君は最近どうですか?」



 達一「あぁ、就活中で大変だよ」



 「もう、そんな時期なんですか」



 達一「今日もインターンの帰りだよ」



 「お疲れ様です」ペコ



 達一「ありがとな……」



 ポンっ



 「!」




 達一「お前も頑張れよ」



 


 タツ君は俺の頭に手を置いた




 達一「お前はいい奴だからな。この先もその【いい奴】ってのを突き通せよ。それに………」



 「……」






 



 達一「それに、お前の【そう言う部分】で救われてるやつもいるからな」ナデナデ









 「!………は、はいっ!!」




 テツ君はそう言って俺の頭を撫でた




 この人は本当に……



 こんなことを言ってくれるなんて嬉しくない訳がないだろ……



 やっぱ好きだよこの人



 けど……





 達一「……………」



 「…?」



 タツ君はまた何か言おうしていた




 達一(【これ】は今、言うべきことじゃないな)「雅恵先生に伝えといてくれ。近いうちに練習に顔を出すって」



 「はいっ!」







 遅れたが、俺の母さんは空手の先生でもある



 俺もタツ君もそこで習っていた





 達一「それじゃあ、俺も帰るわ」



 「はい、おやすみなさい」ペコ



 達一「おう、政志や親父さんにもよろしく言っといてな」



 「はい!」





 そうしてタツ君と別れた






























 ガチャ




 達一「ただい……





 真綾「ねぇっっ!!!」





 達一「うおっ!?」ドサッ





 玄関前で頬を膨らまして立つ真綾の第一声に達一は驚いて尻餅をついた





 真綾「お兄ちゃんがシスコンだって分かってるからもう何で【現れた】のかは聞かないけど余計なことは言ってない?」



 達一「い、言ってない言って……ない」(と思う)



 真綾「どうだか……で、哲也君は帰ったんだよね……」



 達一「帰ったよ」ヌギ




 達一は靴を脱いで上がった




 真綾「そっ………」クルッ



 達一「え、それだけ?」



 真綾「それだけだよ」スタスタ




 そう言って真綾はリビングに戻った




 達一「…………」




 スッ




 ??「まーた真綾を怒らせちゃったみたいだね〜?」







 達一「うぉっ!?」ビクッ




 気づいたら真後ろに回り込んで自分(達一)の両肩を揉んで立っていた人物に達一は驚いた




 ??「アタシもマーちゃんもタッくんの事は大好きだよ?でも、あんまり束縛的な事すると嫌われちゃうよ?」ニッ



 達一「わ、分かってるよ……






        姉貴……




 ??「え?」ギロ




 達一「」ビクッ!!



 ??「今、なんて?」



 達一「い、いや…おねーちゃんって」








 元宮家の長女、元宮羽澄(もとみやはすみ)




 ミステリアスな雰囲気があるが彼女は元宮家で一番怒らせてはいけない人物だ




 『姉貴』は禁句




 『おねーちゃん』って呼ばれることで長女としての威厳を保ててると考えてる




 真綾と同じく茶髪でロングのポニーテールをしていて右目下に泣き袋があり、身長174cm。スタイルは抜群




 それで、剣道4段で中高の全国大会無敗、剣道全日本女子学生大会で4連覇の記録を持つ。しかも全国クラスの男と戦っても互角に渡れる






 今は高校の国語の教師をやっている



 




 

 羽澄「ふふっ♡……でもアンタも空気ぐらいは読めるようにならないとね」



 達一「え」



 羽澄「マーちゃんも【テツ少年】もやっぱ最後に気持ちよく別れたかったでしょ……











    好きな人同士なんだから」



 達一「…………」





























 ガチャ




 「ただいまー」



 政志「おっ、早かったな」




 俺が帰ってくると政志が丁度玄関前を通りかかっていた




 「普通だよ」



 俺はそう言いながら靴を脱いだ



 政志「で、どうだった?」



 「何が?」









 政志「キスの一つでもしたのかよ」






 バシンっ






 政志「いってぇ!!」



 「してねぇよ」ジロ



 政志「叩くことねーだろ!!」




 俺は政志の頭を引っ叩いた

 




 ガチャ




 雅恵「あら、帰ってきたんだ。早かったわね」



 「母さんまでなんだよ……そんなに遅くに帰ってきて欲しかったのかよ……」



 雅恵「いや……ね?……


















     ベロチューぐらいしてくるかなっt…

 「はい、この話は終わり」



 政志「」(ベロチューって……母親が言う言葉じゃないだろ……)



 「あ、そういやタツ君とも会ったよ。よろしくってさ」



 雅恵「!」



 政志「マジで!?うわー、会いたかったな」



 雅恵「………タツは元気そうにしてた?」



 「してたよ。近いうちに練習に顔出すってさ」



 雅恵「そう…楽しみね」クス

 


 






  そうして、俺の長い1日が終わった




  それと……




  さっきタツ君が言ってくれたこと




  『お前の【そう言う部分】で救われてるやつもいるからな』




  これは誰のことなのか俺には分からなかった……



  いや、分からないと思い込もうとしていたんだ

   


  




  






















  一通りの風呂や夕食を終えた真綾は自分の部屋でベッドに寝転がっていた




  真綾「……………」



 



  『カッコいいな!』ニコ






  真綾「………全く…」



  ギュッ







  真綾「カッコいいのはどっちよ……///」




 そう言いながら大きめなクマのぬいぐるみに顔を埋めた






 


 続

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