第8話 好きな幼馴染【の】お姉さんとの会話
俺は休みの日は特にやることは決まってない
ずっと寝てるかゲームするか、バイトが入ってたらするか、映画を見るか、散歩するか
正直、退屈も半分ほどある
だが、これといってやりたいことがあることではない
だが、この日はまた奇妙な奇跡が起きた
「じゃあ、ちょっと出かけてくる」
「おー、いってらっしゃい」
俺は家にいる父親、沢北哲治(さわきたてつはる)に声を掛けて午後一番に家を出た
理由は単純
欲しいラノベの発売日だったからだ
店員「ありがとうございましたー」
ティロンティロン
いつもの最寄りの本屋には売ってなかったため、高校行く時の最寄りの駅前まで買いに行った
俺は買えたことに満足し、そのまま帰ろうと思ったが折角なので遠回りして帰ることにした
特に理由はない
スタ スタ スタ
俺は近場の森林公園の中を歩いていた。この時期は虫がめちゃ多い。ガやムカデ、ミミズ、バッタ、【よく分からん黒いの】などなど
だが、俺は正直気にしないから普通に歩く
ガサガサ!!
「おっ!!?」
急に脇道の草むらが揺れて俺はめちゃめちゃびびった
近づいてみようかという好奇心はあったが気持ち悪いからやめた
ここだけの話、この時5歳ぐらいの女の子とその親御さんとすれ違っていた
女の子「あのお兄ちゃんダサいね」
母親「コラっ!」
「…………」
5歳の子が使う言葉じゃねぇ……
つーか情けねぇ……
そそくさとその場を後にした
再び歩き始めると途中に長椅子があった
俺はとりあえず座ることにした
本を読むために座ることにした。なんか外で本を読むのも新鮮だった気がしたからだ。家に帰っても部屋に閉じ篭もるだけだし
ギイっ
座ると椅子が軋んだ
まぁ、何年も前からある椅子だもんな
ペラっ
俺は本を読み始めた。ここは人通りが少ないし本にはカバーもしてるから何読んでるか分からないだろうから安心して本に集中できる
いやー、今日はカラッとしていてジメジメしていないし涼しい風が吹いてくる。空が澄んでいて気分がいい
このまま1時間ぐらい読むか
誰にも邪魔されないし最高だ……
「ばっ♡」
「うおっ!!?」
……って思ったのも束の間の話だった
ある人物がいつの間にか俺の目の前にいて、屈んで俺の顔を覗き込むように脅かしてきた
「何を読んでるのかーな……
テツしょーねん♡」
そうその人は……
「ハスねぇ…!?」
俺の幼馴染の元宮真綾の姉、元宮羽澄(もとみやはすみ)だった。羽澄さんは上下にアンダーアーマーの青色のシャツに黒のズボンという格好で大きな黒のリュックサックを背負っていた
羽澄「やぁ少年!久しぶりだね〜」
昨日はお兄さんの元宮達一(もとみやたつひと)とも会った
「どうも、お久しぶりです」ペコ
この人ももう覚えてないくらい昔からいろいろ世話になった人だ
羽澄「元気にしてたかな?」
「ずっと元気っすよ」
羽澄「まぁ、達一から昨日会って話した事は聞いていたけどね……まさか今日会えるとはね……」
「奇跡ってあるもんなんですねー」
羽澄「……………」
「あれ……」
何だこの間は
羽澄「奇跡で片付けていいのかな…?」ジト
「うぇ?」
何だこの上目遣いは
羽澄「私……テツ少年のこういう健気で可愛いとこ好きだよ?」
「ありがとうございます」
羽澄「だから…ちょっとお近づきに…
「からかってます?」
この人は昔からこんな感じだ
歳下をからかって遊ぶのが好きな人だ
羽澄「じょーだんじょーだん(笑)」クスクス
「………」
羽澄「ではないy
「帰りますね」スタ スタ
羽澄「待って待って!!」ギュッ
「……!!」
俺が帰ろうとすると俺の腕を掴んで止めてきた
その時の力が……
「あ、相変わらず力が半端ないですね」
羽澄「あ、ごめん!い、今のは本当にわざとじゃないよ?」パッ
やっぱ伊達に剣道で全国総ナメにしていない
「それよりどうしてここに?」
羽澄「今日の午前中、部活があってね」
「あ、確か顧問してるんでしたっけ?」
羽澄「副顧問だよー」
こんな美人に教えてもらえるなんて羨ましいな
羽澄「それでその帰り」
「ここを通るって事は散歩ですか?」
俺と真綾の家は歩いて5分ぐらいの距離だ
で、【ハスねぇ】も実家暮らしだ
だから、ここを通るんだったら遠回りになるはずだ
羽澄「散歩……んーー…」
ん?
「もしかして……
後をつけて来たんですか?」
羽澄「!!え、あ、ちっ!!違う違う!散歩散歩だよ!!」
「…………」
マジか
後をつけて来たのか
羽澄「………と、ともかく散歩だから」
「………はぁーー………」
全くこの人は……
羽澄「それで、隣座っていいかな?」スッ
「はい……」
そう言ってハスねぇは聞きながら座ってきた
羽澄「でも、タッちゃん(達一)の言ってた通りテツ少年は背が伸びたよね」
「そうですか?」
羽澄「この前会った時は同じくらいだったのに今は目線が少し高いよ」
「確かにハスねぇが少し低く見えますね」
羽澄「ふふっ、言ってくれるね……じゃあ、これからは【テツ青年】って呼ぼうか……
「少年でいいです」
羽澄「え?」
「こ、この呼び方のままがいいです///」プイっ
羽澄「!………へぇ〜〜♡?」ニヤ♡
一瞬、ハスねぇが間の抜けたデフォルメにしたような感じに見えた
ほんとに一瞬
「か、揶揄わないでくださいよ?」
羽澄「揶揄わないよ、やっぱテツ少年は少年だなって」ポンっ
「!!」
ハスねぇは俺の頭に手を置いた
羽澄「【テツ君】のこういう所が大好き♡」ナデナデ
そう言って撫でてくれた
正直めちゃ嬉しい
そして、思った
この人のことも好きだと
注意※尊敬する人として
「ハスねぇは最近元気にしてますか?」
羽澄「元気だよー、まぁテツ少年ほど元気じゃないけど」
「え?」
羽澄「シャボン液を口に含んで大きなシャボン玉を作ろうとするほど元気ではないかな(笑)」クス
「ちょっ///!何でまたそんな昔のことをっ…!!」
昨日も真綾……マーちゃんに言われたしっ!!
羽澄「真綾とこんな話をしてたんでしょー?聞いたよ〜」
「うぐっ…!!」
羽澄「やっぱ可愛いなぁ♡」ツンツン
そう言って俺の頬を突いてきた
「もう俺帰ります」スタスタ
羽澄「待ってよ〜(笑)」ギュッ
そう言って俺の腕をまた掴む
「……」
好きだけど嫌い
この人にはこの言葉がとても合うと思った
続
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