第2話 いつもの日常
チュンチュン
「テツー、もう6時半だよー」
「ん…んん……」
母親に呼ばれる声で俺は目が覚めた
「……………」ゴロッ
起きんのだりぃ……
ガチャッ
「兄貴ー、早く起きろよ」
「ん、何だよもう少し寝てたいんだけど…」
弟の沢北政志(まさし)が起こしにやってきた。高1で身長は俺より若干高い。だから生意気だ
「つーことで後2分…
政志「兄貴が母さんのことうるせぇクソババアだって!!!」
「!?お、おい!!何言ってんだおま……
「はーーん……親にその態度……中々度胸あるじゃないの」パキポキ…
そう言ってゆっくり近づいてくる母親の沢北雅恵(まさえ)
「ちょっ、お、お母さん、僕はそんなこと言っちゃいな……
あんぎゃあああああああ!!!!
「」モグモグ
政志「いやあ、母さんのコブラツイストはいつ見ても凄ぇよな(笑)」
「お前も喰らえよな」
政志「兄貴が悪いんだろ?起きろつってんのに起きないから」
「で、技をかけらて起こされるのかよ。嬉しかねーよ…抱きつかれるならあんな【おばはん】じゃなくてピチピチのお姉さんに……
パシンッ
「いでっ!!」
雅恵「んなふざけたこと言ってないで早く食べなさいよ。ていうかこれでも私は大学生に間違われてナンパされんのよ?」
「はいはい、家族は全員ババアだと分かってっから」
雅恵「アンタ、次はキャラメルクラッチを味わいたい?」スッ
「冗談です冗談です」
うちの母さんはほんとに怖い
拳骨なんて当たり前。回し蹴りも常識。それで遂にはプロレス技にまで手を出す有様だ。まぁ、空手の組手でアジア大会優勝、世界大会準優勝してしまう腕前だからな
この話はまたしよう
ともかく、うちの母さんはマジでおっかない
雅恵「で、哲也は今日の予定は?」
「バイト入ってる」
雅恵「あー、じゃあ晩御飯は政志に作ってもらおうかな」
うちは父と母が共働きだ。なので、両親がいない日は偶に俺や政志が晩飯を作る
政志は因みに空手部に入ってる
政志「えぇ〜、親父は?」
雅恵「父さんは今日夜勤だから無理」
政志「はいはい、じゃあ作っときますよ」
雅恵「よろしくね♡」wink
政志「キモっ」
ゴンっ!!
「」(ここにいたらやばいな……母さんの機嫌が悪い……早く行くか)
『母さんが機嫌悪くなった原因はお前らだろ』とか言うのはなしな。俺は悪くない
スタ スタ スタ
電車から降り、俺はいつもの通学路をいつも通り左端によって歩いていた
「ふぁあっ……
パシンッ
「ふぁっ!?」
「よっす、テツ」
「川島……おっす」
中学からの友達、川島優作(かわしまゆうさく)が俺の背中を軽く叩いてきた
いつもの日常だ
川島「いつも通り女が欲しいってツラしてんなー」
「うっせ。俺はいつも通り普通のツラだよ」
川島「はーーん、まぁ何でもいいけどよ……そういや……
「何?」
川島「おれ、好きな人が出来た」
「へー、誰?」
川島「同じクラスの元宮」
「へー……
え?」
元宮?
川島「マジで脈あるんじゃね?みたいなことがあってさ、いつも授業中でも休み時間でも必ず1回は目が合うんだよなー」
そんな純情な理由で……つかそんなのお前から見てたら視線に勘づいて向こうだって目を合わせんのは普通だろ!!って言う当たり前のことを突っ込めず……
「そ、そうなのか……」
俺は少し口籠った
やっぱケン(調月健太)の言う通り倍率はマジで高いようだな
川島「いやー、誰かさんが告白しないなら俺から告っちゃおうかなー?」チラッ
「……………
は?」
川島「お前だよお前、そこのDT」
「だから何を……
川島「お前、元宮のことが好きなんだろ?」
「な、何でそれを…!?」
川島「見てりゃあ分かるって。つーか、言わないだけで中学の頃からお前が元宮のこと好きだって知ってたけど」
「ちょっ、お前…!」
川島「ツッキー(調月健太※みんなに呼ばれるあだ名)とお前がいつまでに告るか賭けをしてんだから早く気持ちを伝えろよな」
「………………」
川島「ほんとに誰かに先越されんぞ?」
「…………分かってるっつの。つーかテメぇ、分かった上で好きな人がいるとかって嘘ついたな?俺をからかうのいい加減にしろよ」ジロ
川島「お前の反応がピュア過ぎっからだよ(笑)」
「ちっ、朝から機嫌悪ぃ……早く学校行こうぜ」スタ スタ スタ
川島「怒んなって」
「怒ってねーよ、このことはケン以外は誰も知らないよな?」
川島「知らねーよ?だから、早く告れって!」
「お前、マジでダルい」
これが俺の朝のいつも通りの日常だ
元宮のことでイレギュラーはあったがいつもこんな感じだ
続
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