第6話 未来への希望
紅茶を啜りながら、彼女は少しだけ照れくさい表情を浮かべた。彼女は突然の訪問について話し始めた。
「実は、日本に帰った時に、高校の同窓会があったんだ。それで、みんなで昔話に花が咲いてさ。その中で、あなたのことを思い出してね」 恥ずかしそうに笑いながら話す。同窓会での話題の一環として、仕事で巴里に住んでいた彼女が、噂を聞きつけ、再び僕に会いたいと思ったらしい。
「なんでも、私ってあんまりクラスの中では目立たなかったみたいで……」
「いや、そんなことないよ。君はいつも本を読んでたけど、それが魅力的だったんだよ」
僕は彼女が高校時代にどれだけ影響を与えていたかを知らなかった。同窓会での話がきっかけで再会することになったのは、何か縁を感じる瞬間でもあった。
話はそれからも続き、彼女は高校卒業後の数年間の出来事を教えてくれた。彼女は大学で文学を専攻し、卒業後は出版社で編集者として働いていた。しかし、最近では自分の作品を書くことに夢中になり、編集者の仕事を辞めてしまったという。
「巴里に戻ってきて、思い立って連絡してみたの。あなたと話してみたくて」
「嬉しいよ、こちらこそ。同窓会では、君と話すことができなかったからね」
お互いの進路や生活について話すうちに、彼女が自分の誕生日に来た理由も明らかになった。10月の同窓会の後で、再会の計画を立てたらしい。
「でも、今の私には何かが足りない気がして。もう一度、昔のように自分を取り戻したいって思って」
彼女の言葉には、過去を振り返りながら未来への希望がにじんでいた。そして、そこから生まれる新たな夢に向かって一歩を踏み出そうとしている様子が感じられた。
「それなら、一緒に夢を追いかけようよ。巴里にはきっと新しい可能性が広がっているから」
僕は彼女の手を取り、力強く握った。その瞬間、巴里の夜景が二人の心に新たな輝きを与えるようだった。
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