第4話 事後処理を終え治療へ


 辺境伯の執務室にて一連の事件の取り調べを数日掛かりで一通り済ませ、僕はリーエルと二人対面テーブルで向かい合っていた。


「こ、こんなに簡単に片が付くものなのですね……」


 と、リーエルは唖然とした面持ちで座り、脱力している。


 本当にあっけなかった。

 騎士団にて横領を説明するとブチキレた騎士団長が兵を引き連れて乗り込み、一族全員を連れて来て証拠を突きつければ直ぐに白状したのだ。

 まあ連行時に抵抗を見せたらしく、ボコボコにされ既に満身創痍だったからかもしれないが。


「まあ場所がわかってたし、最強の軍が何の武力も無い相手を捕まえるだけだったからね。

 僕らの敗北条件はキミが捕らわれ何もできないままに持ち逃げされることくらいだったし」


 そう。そのくらいしか出し抜ける可能性を感じなかった。僕の恐れは逃亡時間の確保の為にリーエルが攫われ命の危険に晒される可能性だけだった。

 それすらも彼女が協力的なら護衛できるので防げると踏んでいた。


 だから今回は彼女に対する試金石みたいなものだ。

 ちゃんと罪人を裁けるかどうかの。


「……こういう時に狙われると考えると領主個人に武力が無いというのも怖い話ですね」

「うん。その為に領主は常に私兵を護衛に置いているんだよ。

 リーエルの場合は無くても大丈夫。だってお嬢だもの」

 

 そう。彼女は領軍の兵士たちにお嬢の愛称で慕われていた。

 筋肉ムキムキで暑苦しいが、国内最強クラスの武力集団にだ。


「しかし、良かったのでしょうか……あの沙汰で」

「まあ、落としどころとしてはあんなものじゃない?

 一族郎党皆殺しと言っても子供は殺さないのが通説だし、まるっきり関わってない家を出ている者たちは除外されるものだから」


 取り調べの為に家令ブラウンの屋敷の敷地内に居る者を全員連行した。

 家を出た者は事件に関わっていない限り除外されるものなので、取り調べで名前が出たら指名手配にすればいいだろうとの考えだが、事件に関わっている者は全員敷地内に住まわせていたので一度の捕縛で事足りた。

 ブラウン家の成人している者たちは全員横領を知っていたし、密接な関係にある敷地内に住まわせていた分家は徴税官の役職を持っていたので判決は思いのほか簡単だった。


 敷地内に住まわせたのは恐らくは横領がバレない為に手元に残した結果だろう。


 どちらにしても取り締まる側が知っていて見逃せばもう完全な共犯者だ。

 まあ、己の嫁たちにまで役職を与え給与を貪っていたとは思わなかったが。

 それ故に沙汰は下し易かった。子供は罰しないがお前たちは死刑と言い渡すだけだから。


 逆に商会の方が難しいくらいだった。

 会長を拷問して名前が出てきたのは幹部連中のみ。

 幹部連中の取り調べでも家族や従業員は一切関与していなかったと証言していた。


 となると、どこまでやるかは領主次第。

 だが理由も無く家族を生かせば甘いと言われてしまう。


 結果、彼らだけでやっていた幹部会議を利用し、組織犯罪と断定して組織内の者を全員処刑するという形にした。幹部を含めた六人の処刑と商会はお取り潰し。

 商会と幹部と会長の財産を家から何から全て没収。というところまででリーエルは止めた。


 僕としても妥当と言えるラインだったので口を挟まなかった。

 商会の方も国への報告書に犯罪組織内の者を全員処刑したと書けば甘いとは思われない。不具合が出ないなら生かせる者は生かした方がいい。


 とは言ってもまだ死刑執行が決まった奴らも全員牢屋の中だが。


 辺境伯の任命権を用いて家令に士爵位を与えてしまっているからまだ執行はできない。

 陛下の直臣ではないにしても、緊急時じゃない場合は国に報告して爵位の取り上げを認めて貰ってからじゃないとダメなのだ。

 ただ、死刑執行がまだダメなだけであって私財没収はもう既に進めているので心配はない。

 

 そうして終えた裁判であったが、思いの外リーエルは気落ちしていた。

 思っていたよりも戻ってきた金額が少なかったそうだ。大金貨七百枚程度だと言う。


「少ないか? 屋敷クラスの家もあるし中古物件と考えても大金貨千枚は普通に超えるよね?」


 取り潰した商会の物資も建物も全て取り上げている。

 いきなり退職となった従業員たちは可哀そうだが、経営不振になって倒産しても同じ扱いだ。

 残念過ぎる所に就職してしまったと諦めて貰うしかない。


 家から何から売ればある程度の額になる。

 まあ大半は家令の豪邸の売却金額になるが、諸々考えて全て金に換えると当初の予定金額は余裕で超えるだろう。

 そもそも税の収入自体が増えるのだからもうそれほど心配する必要はない。


 そんな話をすれば、ホッとしたのか漸くいつものリーエルに戻ってくれた。


「それはそうと今は兎に角兵士を雇った方が良いな。

 この規模の町で百以下は有り得ない程に少なすぎる。

 強いベテランしかいないからギリギリ成り立って居るけど、彼らが引退した瞬間詰むよ」

「その……リヒト様も手伝ってくださいますか?」


「勿論」と返せば隣に座っていた彼女が初めて密着して寄りかかり僕の肩に頭を乗せた。

 真っ赤っかだ。どうやら相当緊張しているご様子。

 ちょっと面白くなって「積極的だね。今晩、僕の寝室に来るかい?」と態とウィスパーボイスで囁けば、バッと飛び跳ねる様に身を起こし視線を彷徨わせていた。


「ほら、例の秘密のやつ」と伝えると「態とですよね!?」ペチペチと太股を叩かれ「そもそも、今じゃダメなんですか?」と、夜まで待つ必要性を問われる。


「ああ、そうか。家の中に敵がいるという前提で夜に二人でって思ってたけど、別にもういいか。マーサさんなら大丈夫だろうし」


 派閥に属して居なければ他家との関りも無いハインフィード家には、諜報の役割をする使用人が居なかった。

 人数も十人しか居らず身元調査も既に完了していて他家からの者は一人も居なかったのだ。


「じゃ、じゃあ着替えてきますね!」と、彼女は立ち上がりマーサさんにアイコンタクトを送るが、何故かマーサさんは僕の前へと立った。


「グランデ様、この度は誠にありがとうございました。これからはどうかマーサと」

「ああ。家に入ってからでもいいが、そう言ってくれるならそうしよう」


 そう返せば、もう一度頭を下げて待っているリーエルの元へと早足に歩く。

 そんな彼女を見送った後、珍しくルンが前に立ち声を上げた。


「リヒト様、警戒をおろそかになさるのはよろしくありません。

 せめて御気を許すのは辺境伯様だけになさいませ」

「そう、だな。マーサは信じられそうだが、彼女が出し抜かれるとも限らないか。

 わかった。円滑な付き合いをしていきたいが節度は守ろう。ありがとな」

「っ!? ですから、使用人ごときに礼など……」


 まるで小さな子供が危ない事をしているかのように、不安そうな顔を見せるルン。


「うん。簡単に頭を下げたり礼を言うのは良くないな。

 だけど、ルンの忠言は小さなことではなかったのでね」


 そう返すと少し照れくさそうに頭を下げて再び壁際に戻る彼女。

 それと入れ替わる様にリーエルが戻ってきた。

 着付けてきた割には早いな、と思ったがドレスじゃなかった。

 メイクも髪型も変えなければこんなものか。


「おかえり」

「た、ただいま戻りました」


 背中が空いた服を気にしているのか、少し挙動不審だ。


 そんな彼女に後ろを向かせて、説明しながら魔法を構築すると、手をかざした先から黒い文字が幾つものリングを作り、円形を作っていく。

 それをゆっくりとリーエルの背中へと押し当てるが、反発を感じ一度魔法陣を消した。

 背中に手を添えたまま再び構築すると、少し制御が楽になったのを感じてそのまま続行する。


「あっ、ほ、本当にリヒト様が魔法を……」

「ああ、リヒト様……おめでとうございます」


 過負荷膨張により魔法が一切使えない筈の僕が魔法を使った事に驚くリーエルとルン。


 驚くリーエルの反応は予想通りだったが、壁際に居たルンまでもが涙を流していた。

 彼女にとって僕は一生魔法も使えず早死にする可哀そうな主人だったのだろう。

 彼女は無駄に主人との距離を詰める様な真似はしなかった。

 なのであまり話さないが、それでも尽くしてくれていたことはよくわかっている。

 そんな彼女の祝福の言葉が嬉しくて声を返した。


「キミが支えてくれたお陰だ……ルン」


「――――っ!?」とリーエルがビクンと震えて何故かルンの方へと視線を向けると、珍しくルンが職務中に手と首を横にブンブンと振った。


「なんだ嫉妬しているのか、愛いやつめ」と、スキンシップのつもりで背中から魔法を掛けながらも芝居がかった声を掛けると、恨めしそうにこちらを見るリーエル。


「こら、魔法の位置がずれるだろ」と注意して前を向かせて魔法治療を続ける。


「これ、一体どんな魔法何ですか……言えなければ言えないでも構いませんが」

「ん、ただの魔力を散らす魔法だよ。まあ普通にやってもダメだから苦労したけど」


 そう。通常、操れるのは自分の魔力だけ。

 相手の魔力を操作して散らすなんてことは普通はできないとされているのだが、僕は研究の末そこに誤りがあるという事に気が付いた。

 意のままに操るなんてことは精神魔法でも開発しないとできなそうだが、無理やり消費させる程度ならできたのだ。

 ただ、当時の僕は魔法が使えなかった。

 その為には魔道具の製作と魔石を使う必要があったので結構な時間と金が掛かったが……


「しかし、僕もだったけどリーエルも酷いね。相当固まってるよ、これ……」

「あの、もしかして……ダメなのですか?」

「ううん。この魔法は固まってるかどうかは関係ないから大丈夫だよ。

 負担が無さそうなら出力あげるけど、いい?」


 彼女が頷く様を見せたので、ガンガン上げていくと目に見えて黒い靄が噴出していく。


「め、目に見える程の魔力など……」と驚き、警戒を見せるルンに説明をいれる。


「警戒しなくても大丈夫だ。これは魔素じゃないから魔物は生まれない」


 その実験は過去に立証されたことがあると本に書いてあったし、僕の時も何もなかった。

 だからこのままいこうと続けているとリーエルの息が荒くなっていることに気が付き、即座に止める。


「ちょっと? ちゃんと言ってよ! 辛くなってるんでしょ!?」

「いえ、その……はい」


 恐らくは心臓付近にある魔力を作り出す器官に到達したのだろう。

 そこら辺に魔力残量を測るセンサーがあるのだと思われる。恐らくは今まで固まっていたのが溶けて急にセンサーに刺激を喰らい苦しくなったのだ。


「前からもやれれば負荷はそう感じないんだろうけど、流石に悪いからゆっくりやるね」


 貴族女性は夫と家族以外には体を触れさせるな、と強く教育されている。

 その上で羞恥を感じる部分ともなれば、拒絶感は相当に強い。

 貴族女性でも羽目を外す者は居るがその一部を除けば貞淑さを大事にしている。

 彼女は見るからに後者だからゆっくり散らして行こうと提案したのだが……


「いいえ。好きに触ってくださいまし。その……リヒト様になら構いませんので」


 と、真っ赤な顔で返すリーエル。


 ここで僕が断るのも違う。

「わかった」と正面に回り膝を付いて座っているリーエルの胸元をはだけ過ぎない様に開いて魔法をゆっくりと体内で構築させていく。


「今度は辛くなったらちゃんと言ってよ?」

「はい。お願いします」


 そう言って彼女は当てた僕の手の上に自分の手を添える。

 正直僕たちはこんな肉体だからエロさは感じないが、彼女の信頼に心が温かくなる思いと、触れてくれる手に愛おしさを感じて少し頬が緩む。


「いくよ」と声を掛けて再びスタートしてガンガン出力を上げて魔力を散らす。


 胸から背中まで散らし切り、突き抜けてしまえば己で魔力を操作する難易度が格段に下がる。

 固まってしまっている部分はこの魔法無しでは放出できないが、命の危険は無くなる。

 あとちょっとだから頑張って、と思いつつも魔法陣を押し進めた。


「あっ、そろそろ……まだ大丈夫ですが」と彼女が声を上げたので出力を下げていく。


「この強さなら多分辛くないと思うけど、言ってね?」

「はい……」


 そうして彼女の顔色を伺いながら続けていると、暫くしてリーエルがいきなり倒れそうになり魔法を止めた。


「ご、ごめんなさいっ! その、突然ふらっときて……辛くはなかったのですが」

「うん、わかってる。今のは魔力の固まりを突き抜けた際の刺激による眩暈だから。

 胸の周りは完全に消去できたよ。おめでとう。これで魔力操作さえ覚えれば死ななくて済む」


 合わせていた手をそのまま握って胸から手を離してそう告げると、両手で握られて彼女の頬に持っていかれた。

 大切そうにぬくもりを感じるかの様に扱われる僕の手。

 気恥しくて声を上げる。


「そうだ、終わったのは胸の周りだけだからね! 完全に痩せるにも魔力量を上げるにも全部解して一度出さないとダメだから完全には終わってないんだ。それと……あれだよあれ!」


 と、リーエルにうっとりと見詰められながら何故か僕は小一時間相槌を打つリーエルにずっと話しかけた。


 そうして夕食になり、エメリアーナ嬢にも命の危険は無くなったことを告げると、真剣な面持ちで今までの事を謝罪された。


「リヒト、これからはあなたの事を信じることにするわ。他の奴らが敵って認識は変えられないけど、あなたのことだけは信じる。今までごめんなさい。それと、ありがとう」

「リ・ヒ・ト・さ・ま!」

「うっ……リヒト様……」


 よろしい、と胸を張るリーエル。

 漸く姉に許されて嬉しそうにするエメリアーナ嬢。

 そんな二人にほっこりしつつも、少し豪勢になった夕食を頂いていると、エメリアーナ嬢に「これからどうするの」と尋ねられた。


「ん~、先ずは軍拡かな。税収を得て計算をしないとどこまで増やせるかわからないけど、待ってられない程に兵が少ないから。

 あと、徴税官を雇わないと。その教育もか。でも家令は難しいな……父上に頼んでみる?」

「うーん。まだご挨拶にも行ってないのにそこまで頼るのは流石に失礼にあたりませんか?」


 リーエルは恐縮しているが家令なんてのは代々の経験を積み重ねる様に育てられた存在だ。

 何の経験も無い人に僕らだけで教えますとなったら、長すぎる年月がかかる。

 というのも僕は嫡子教育を受けていないので半分手さぐりになるからだ。

 とはいえこれを頼むと、墓守のハインフィード辺境伯家がグランデ公爵家に染まってしまうのでは、と危惧される恐れもある。


 その塩梅もわからないし、そこら辺も父上と相談だなぁ……

 国の中枢に居ない僕ではどう考えてもフォローできる問題じゃないし。


 本当ならば辺境伯が決める事柄だが、教育が未完の彼女に決断を強いるのは酷だろう。

 こちらに不利なので国には言わないが、未成年で家令も居らず嫡子教育も未完と知られれば下手をすると統治能力無しとされハインフィードが王家預かりになってもおかしくない案件だ。

 まあ外の評価に繋がり易い書類仕事は完璧だし、裏で誰かの暗躍でも無ければバレても大丈夫だろうけど。


「そう言えば、エメリアーナ嬢はこれから先どういう立ち位置で生きていきたいの?」

「もう呼び捨てでいいわよ。でも、そうね。結婚は嫌。騎士団で働きたいわ」


 ええぇ……

 結婚嫌なんだ。もしかしてずっとここに住むつもりか?


「何よ、その目は! 絶対にしないわよ!? 私、ガキは嫌いなの!」


 ああ、うん。同族嫌悪かな?


 まあ、原因はわかる。大好きな姉を散々貶められて人間不信になったのだろう。

 僕も人間不信になるんじゃないかと周りに結構心配されてるし。

 どちらかと言えばリーエルがおかしいんだろうな。普通はあんな扱いを受ければ歪むだろう。


「そこは当主であるリーエルが決めることだけど、僕は好きにしたらいいと思うよ。

 状況さえ整えればこの領地は強いからね。

 他家と繋がらないと生きられないほど厳しい所じゃない」


 金遣いの荒いごく潰しなら了承し難いが、エメリアーナには力がある。

 領地の助けになるちゃんとした力が。

 強さや判断力が見合うなら行く行くは騎士団長の座に就いて貰ってもいいだろう。


「私もエメリアに望まぬ結婚なんてさせたくないですけど、勿体無いと思ってしまいます。

 とっても綺麗なのに……」


 ああ、うん。外見はね。


 そんな風に見ていたからか「何よその目は!」と再び目を吊り上げるエメリアーナ。


「まあ、今判明しているやらなくちゃいけない事はこのくらいかな。

 それでも忙しいよ。リーエルに魔力操作と魔法を覚えて貰ったら、魔法を使って痩せて貰って学校にも行かなくちゃいけないから」


 えっ、と二人して驚愕の視線をこちらに向けている。

 二人とももう行かないと決めていたのだろうが、当主が学校にも通わなかったという過去を作るのはよろしくない。

 この先、下に見られ続けることになるだろう。

 貴族の学校は家で自習してテストだけを受けても卒業できるが、学校に通わなかったという事実は噂として残り続ける。

 悪い噂ばかりが広まる貴族社会だ。

 学校すらまともに卒業すらできなかった当主と一生言われてしまう。

 後二年、その程度の我慢で済むのであれば無理してでも行っておくべきである。


 その旨を二人に告げればリーエルは困惑して声を上げた。


「魔法を使ってというのは、痩せる術式がございますの?」


 ああ、そっちだったか。と、勘違いを照れつつも説明する。


「あるよ。色々あって家を出るまでは控えようと思っていたんだけど、もう使ってしまおうと思っている。僕ももう覚悟を決めた」


 そう。うちの姉上も言っていたが、兄上たちはどうしようもない愚か者なのだ。

 努力もせずに人の能力をずるいと怒り出し当然の様に暴力を振るう様な奴らなのである。

 そこら辺さえ調整してやれば多少暴言を吐くくらいなのだが、正直素直に心を許せない手合いである。


 可哀そうなくらいに太っている方が誰も連れ出そうとせず書庫に籠り易い、という打算もあり家を出るまでは魔法で一気に痩せようとは思っていなかった。


 だが病が治りリーエルと手を取り合い生きていく事が決まった今、もう控える必要が無い。

 逆に彼女まで貶められるようなことが無い様に、これからは本気を出して行かねばならないだろう。


「一緒に痩せて見返してやろう」と、リーエルの手を取って真っ直ぐと告げると、やはり怖いのか少し複雑そうではあったが「はい」と答えた。



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