第12話 売り上げが合わない

「理香子、商売は起動に乗って来たけど、儲かるまでは行かないのね。なんか良いアイデァはないかな」

「今は店で働いているのは貴方を入れて五人、売り上げが月九百万、ここから仕入れと光熱費等に約三百万、土地代四十万、オーブン、冷蔵庫等、設備投資費、四十万、雑用費(宣伝、消耗品)三十万、給料一人平均三十五万×四人=百四十万(福利厚生費を含む)。残り三百五十万。ここから税金を差し引くと残金二百万が私達の給料兼利益となるのね。確かに見た目は良いけど貴方が商社で働いた居た給料とあまり変わらないわよ」

「そうだな、商売やっている以上、なにかトラブルなど思いがけない出費が必要な時もある。その積み立て必要だ。あっそうだ軽トラックの費用は?」

「えっそれも入れるの。あれはお義父さんが開店祝にプレゼントして頂いたじゃない」

「そうだとしてもガソリン代、保険など経費が掛かるんだよ」

「そうねぇ忘れていたわ。ああ益々利益が減って行く」

「大丈夫よ。私が働くようになればアルバイトの人を減らせばいいし」

「それと仕入れ、少し高くないかなぁ。なんでも百円のパンに対して生地代十円が相場と聞いたけど、うちでは十五円から高いので二十円だ」

「そうね。新しい仕入れ先を考えないとね。上手く行けばあと、月十万から十五万浮くかも知れない。年間にして百五十万になるし検討する必要があるわ」

 そんなある日、理香子がその日の売り上げを調べている時だった。どうもおかしい、売上げ現金が合わない。過去の売り上げも調べて見た。元銀行員だけあって得意分野である。やはり一日三千円前後現金が少ない事が分かった。一日に作り出すパンの数と価格、売れ残った商品を差し引き、売り上げ金額を計算すれば数十円単位で誤差が分かる。十日ほど前からこんな状態が続いている。レジ係は主にアンナ、その他にバイトの二人が行う事がある。まさか本人に直接問いただし事は出来ず辰徳に相談した。


「疑うは罰せずというが、そうはいかない。もしアンナだとすればマクにも関わる問題。双方とも傷付けたくない。されどこのまま見過ごし訳にも行かない。


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