第3話 開店場所 父の所有する土地

「お帰り、どうお義父さん元気だった」

「ああ相変わらず元気で。元気過ぎるのか俺が行った目的がバレてしまって」

「まぁお見通しって訳ね」

「ああ、言いにくい事を先に言ってくれて、いつでも使っていいってさ」

「それは有難いじゃない。立地条件も悪くないし。問題は少しでも人気のある店でないとね」

「そこなんだよ。二人で頑張れば人並みのパン屋を出せるかも知れないが、やはり目玉となる商品がないとなぁ」

「貴方もその気になってくれるのは嬉しいけど会社辞めて後悔してない」

「まったく後悔してないと言えば、多少はあるけど君と一緒に新しい事を始める事の方が嬉しいよ」

「分かったわ、ありがとう。もう後戻りが出来ないのよ」

「分かっているさ、やると決めたら成功させないとな」


 それから半年、結局父の所有する駐車場を借りる事に決まった。そして辰徳は会社を退職してパン専門学校に本格的に通い始めた。理香子は半年先輩であるが夫が始めると気合が入った。そして更に半年、そこそこのパンを作る技術を学びやっと人に出せるパンを作る事が出来た。結局、理香子がこの専門学校で一年半、辰徳は一年通った。本当は二年コースが理想だが時間が惜しかった。この専門学校では開業までのアドバイスもしてくれる。資金と開業場所は問題ない。次に道具も電気オーブン、ミキサー、冷蔵庫、冷凍庫、・作業台、オーブン、取り天板二枚二段以上、天板刺し ラック数えればキリが無いが開業に必要なものだ。細かい所では、粉ふるい、電子はかり(デジタルスケール) ゴムベラ.カード(スクレッパー、ドレッジ)イッパー(泡立て器).包丁. 温度計.温湿度計など他にもたくさんあるが、これらの道具は専門学校と提携しているパン機器類専門業者を紹介して貰った。


 作るパンとして候補に挙がったのがイギリスパン、マフィン、あんぱん、角食パン、カレーパン、クロワッサン、ジャムパン、ドーナッツ、パリジャン、メロンパン、ピロシキ、コッペパン、ハンバーガハンズ、ホットドックハンズ。揚げパン類

「うーん十四品かぁ、ちょっと少ないんじゃないか。まぁ少しずつ増やしていこう」

「そうねぇ。で、目玉商品は?」

「この中にはないなぁ、敢えて言うならピロシキかな」

「ピロシキってロシアのパンよ」

「いや俺が若い時にロシア人が売っていたピロシキが絶品だったけどなぁ」

「私だって子供の時に食べたメロンパン最高だったわよ」

「どうもラチが開かないなぁ、専門学校の先生にアドバイス貰おうか」


つづく

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