第4話 ついにパン屋さん開業

 アドバイスと言ってもタダじゃない知識提供料とか取られる。数日後、進めてくれたのがシンプルだけどメロンパンがいいとアトバイスを貰った。ただ何処にでもあるメロンパンじゃなくパンの上にゴマを塗したもの、更にココナツを乗せたもの、などメロンパンだけで五種類にした。


 そして更に半年、駐車場の跡地に店が完成した。店の建坪は三十坪、平屋作り。作りはいたってシンプル、プレハブ式の建物。工房に三分の一、売り場面積に三分の一他は休憩室兼仮眠室。まぁ充分だろう。他にプレハブ式の資材保管倉庫と業務用冷蔵庫。もちろん一週間前から三度、新聞にチラシを入れネットでも宣伝した。駐車場だから駐車スペースは充分だ。仕込みは三日前から始め準備は整った。更に専門学校から研修の一環として生徒達が五人応援に来てくれた。いよいよ明後日、土曜日開業だ。前日二人で成功を祝って祝杯をあげた。おっと店名は、そのまんま(町のパン屋さん)だ。親しみやすいという事で決めた。


「さぁ待ちに待った俺達の店がオープンだ。頑張ろうな」

「ええ、念願の夢が叶う日が来たのね。頑張りましょう」

 そして当日、道路筋にはノボリが十本も道路添えに並ぶ、この道を通る人ならいやでも目に止まる。当日は辰徳の両親、理香子の両親も手伝いに来てくれた。スタッフは二人の他、専門学校の生徒五人。彼らは五日間手伝ってくれる。その後は二人でやって行くしかない。まさかと思うが二人ではとても足りない事態になるとは思えない。そうなれば嬉しい誤算だ。

 そして開業当日、二人は朝三時に起きて開店の準備を始めた。焼き始めるのは六時から開店時間の三時間前だ。本来なら七時開店にしたいとところだが、まだ余裕がない。軌道に乗ってきたら一時間早くするつもりだ。八時三十分に手伝いの五人が入って、更に両親たちは八時に来て道路添えノボリを付ける準備をした。なんと早くも開店前だと言うのに駐車場に車が入って来た。二人の両親も大喜び、早速開店祝の粗品を渡す。開店時間の九時になった時には二十人もの客が並んでいた。

「いらっしゃいませ。ようこそ。どうぞごゆっくりとお選び下さい」

 想定外の反響、チラシの効果かそれとも新開店のもの珍しさか。ともあれ上々の滑り出しだ。閉店は夜八時、今日に限っては客が切れる事はなかった。閉店後スタッフ全員で乾杯をした。翌日も大勢のお客さんが来てくれた。そして五人の手伝いの最終日。開店当日ほどではないが沢山の客は来てくれた。閉店後手伝ってくれた人にお礼を述べ全員に寸志として二万円を渡した。勿論、研修という事で金を払う義務はないが気持ちとして食事もして下さいと渡した。


つづく

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