第34話 おバカさん2号 対 いよな・沙織 6

【安里 いよな Side 】


「私だって本当は分かってるわよ……」


 おっと、りっちゃんが語りだすかも。


「もう羅怜央くんの中で私達の仲は終わってるって、でも私が悪いとは分かっているけど……それでも別れたくないんだもん……」


 やっぱり分かってて現実から逃げてただけだったみたいだねぇ。りっちゃんらしいといえばらしいなぁ。


「分かってて駄々っ子みたいに拗ねてたんだね?ていうか、思い通りにならないからって拗ねて周りを振り回すってホントスッゴイ迷惑だよぉ?」


 この子も表面上はしっかりした子だから、周囲の人は大人っぽい雰囲気も相まってりっちゃんのことを勘違いしてるんだよねぇ。まぁ今回のことでチャラくんもそう思ってると判明したんだけど……


「……」


「うわぁまたダンマリですかぁ。そういうとこだよりっちゃん?」


 でも実際はご覧の通り。

 馬鹿ではないから自分のした事を理解はできるけど、おバカさんだから自分がした事の結果を受け入れられない。


 まぁでもりっちゃんが現実を理解してるなら私が出来ることはもうないかな?


「チャラくん?」


「あん?なんだよ……」


「まだ納得いってないみたいだけど、りっちゃんも現状を理解はしてるようだから私のお仕事は終わりだよねぇ?帰って良い?」


 あっなんかすっごい微妙〜な顔してる……

 まぁチャラくん的には、私とりっちゃんを仲直りさせてりっちゃんを元気にするのが目的だっただろうから、今みたいなケンカ別れっぽいのは望んでないよねぇ。


「お前……言いたいことだけ言って帰る気かよ……」


「えぇ〜りっちゃんに現実を分からせたじゃん?」


「穏便に頼むっつうただろうが」


まだそんなこと言ってる、


「無理だって言ったもん!」


言ったよね?


「あ〜それとぉ、りっちゃんのことちゃんと見ててよ?」


「どういう意味だ?」


 あちゃあチャラくんにも言わなきゃ分からないかぁ〜。てか言わなくても分かって欲しいところだけどなぁ。この2人はある意味お似合いなのかなぁ?


「そのまんまの意味なんだけどねぇ……言いたくないけど、りっちゃんの外側だけじゃなくて内面もちゃんと見てあげて?あと、間違ってもラーくんに凸しないようにちゃんと見張ってて!」


「おっ……おう」


 おっ……おうじゃないよ!ここは分かった!ってビシッと言いきって欲しいところなのにぃ!もうチャラくんらしくない煮えきらない返事なんだからぁ!


「ホントに分かってる?もうこの間みたいな事しないでよ?今のチャラくんも大概だけど、あんなチャラくんはもう見たくないからね?」


「あんな茶楽雄くん?」


 ここでりっちゃんが口を挟んできた、さっきまでダンマリだったのに自分に矛先が向いてないとこれだもんなぁ……


「莉音……何でもないしお前には関係ない」


 チャラくんがはぐらかした、まぁそりゃありっちゃんの為に土下座までして私をここまで連れて来たなんて言えないよねぇ。でも……


「ねぇりっちゃん、なんで私がりっちゃんと会う気になったと思う?」


「おい!いよな!」


「チャラくんは黙ってて、……ねぇりっちゃんなんでだと思う?」


「え?茶楽雄くんが頼んでくれたから?」


 さすがに友達だから会いに来るのは当たり前とかは言わないかぁ。言ったらソッコー帰ってたのに……


「普通に頼まれただけなら来なかったよ?実際一回断ったし?」


「じゃあどうして?」


「いよな、やめてくれ……」


 チャラくんは止めて欲しいだろうけど……今この瞬間に言わないとりっちゃんには届かない気がする。


「チャラくん、もう分かると思うけどこの子には言わなきゃ分からないよ?」


「なんの事?茶楽雄くんが何かしてくれたの?」


「チャラくんね、りっちゃんと会うことを渋る私に土下座までして頼んできたんだよ?」


 私の言葉にギョッとした顔をしてチャラくんの方を見るりっちゃん。苦い顔をしてその視線から逃げるように顔をそらすチャラくんの様子に、私の言葉が嘘ではない事を確信したようだねぇ。

 人にものを頼むのが苦手で、しかもプライドが死ぬほど高いチャラくんが土下座そんな事までした……その意味は長い付き合いの幼馴染であるりっちゃんにはさすがにわかるでしょ。


「茶楽雄くん……あなた……」


 ちょっと感動してるっぽい。チョロいな……うん!まぁいいや!もうかんけ〜ないし〜


「いよな、てめぇ……」


 チャラくんがあたしを睨みつける、その顔の迫力に

沙織ちゃんがあたしを守るように前に出るけど……あの顔は怒ってはいないよね?てか、あたし達くらいしか分からないと思うけど照れ隠しだねあの顔は……


「ハイハイ照れない照れない。さてと、じゃああたし達はホントに帰るね〜。沙織ちゃん行こ?」


 あたしが出来る援護はここまでだよ?あとの事は知りません!


「じゃあね……りっちゃん……バイバイ」


「あっ……いよなちゃん……」


 りっちゃんが手を伸ばすけど、あたしはそれを見ないふりして扉を閉める。

チャラくんも追いかけて来ないのでそのまま沙織ちゃんと2人でりっちゃん家から出ていった。




こうしてあたしは幼馴染親友とお別れした……






◆◇◆◇


ご無沙汰してます!ごっつぁんゴールです!


 仕事も大分落ち着いてきましたので更新を再開いたします。前ほどの更新頻度は無理ですけど、書き上がったら順次推敲して投稿します!

 読んでも良いよ!と仰っていただける方は暇なときにでもお読みください!


では、次回も読んでいただけると嬉しいです。



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