第32話 おバカさん2号 対 いよな・沙織 4

【安里 いよな Side 】



 私が突き出した最終兵器はスマホです!


『いやいや!茶楽雄くん……茶楽雄くんのがいいです!だからやめないで!もっとしてー!』


 何度聞いても恥ずかしくなるなぁ、あたしには刺激が強すぎるよぉ……沙織ちゃんも真っ赤になってりっちゃんとチャラくんから目を逸らしてる。


「いやーー!なんで今そんなの聞かせるの!?」


 私は無言でさらにスマホを操作して、


『茶楽雄くんとのセックスはそれまで私の知ってたセックスとはまるで違ってた……肉欲と背徳感と羞恥心と罪悪感とがぐちゃぐちゃに混じり合って私を溶かすの……気持ち良さだけを私の子宮に突っ込んだようだった……そして初めてイッてしまった』


「えーと、いよなちゃん?これって……」


「りっちゃんの浮気がバレたときに言った言い訳?」


「うわぁ、羅怜央くんこれ聞かされたんだ……そりゃあトラウマにもなるよねぇ……」


「そだよ、だからりっちゃんは赦されちゃダメなんだよ?」


『お前は男の尊厳を踏み躙られて、一緒に歩んで培ってきた愛情がただの快楽に勝てないんだと突き付けられた男に、裏切られた屈辱と悲しさと情けなさを赦して更に辱められろと言うのか?』

『莉音、お前は俺達の信頼を裏切った。絶対に赦さないし赦しちゃいけないんだ。てかそれ以前にお前をもう信頼出来ないから、これ以上付き合うのは無理だわ』

『せめて次に付き合うやつとは誠実に付き合えよ?』


 ラーくんには悪いけど、りっちゃんにはもう一度これを聞かせたほうが良いと思う。


「いや……いやだ……聞かせないでこんなもの……こんなの……違う」


「羅怜央くん……」


「羅怜央……莉音……」


 ん?あっそうか、チャラくんこの時は気を失ってたからここら辺の話は聞いてなかったのかぁ。


「これを聞いてもまだ喧嘩してるだけとか言えるのかなぁ?言えたらすごいねぇ」


「さすがにこれは無理だよね〜、てか広田さんこれは酷すぎるし自分勝手過ぎるよ?羅怜央くんカワイソ」


「そんな……そんなの安達さんに言われることじゃない。それにさっきから羅怜央くん羅怜央くんって馴れ馴れしすぎるんじゃないかしら?」


 なんで今だに彼女気分でいるのかなぁ?沙織ちゃんはラーくんのお友達だからいいのです!


「莉音……いい加減に目を覚ませ……」


 おっ!遂にチャラくんがこっちに付いたか?


「茶楽雄くんは口を挟まないで!」


「莉音、現実から逃げるな……」


「茶楽雄くんがそれを言うの?貴方が……貴方が言い寄ってこなければこんなことにはならなかった!」


「そうだなその通りだ。だから俺には責任がある、お前の側から離れない、お前の側でお前を支え続ける」


 おお〜あたしたちが居るのに口説きにかかってる〜

あとりっちゃん、それはいけないな〜


「りっちゃん、それは責任転嫁だよ?」


「何故?彼が言い寄って来なければってのはその通りのはずなのに?」


「それって、りっちゃんが行かなければいいだけ話だよね?少なくても2回目以降はりっちゃんの責任だよね?」


 さすがにそれまで全部チャラくんのせいにしたらかわいそうだよね……かわいそうかな?なんか違う気がする……両方とも悪いんだからかわいそうくないでいいか!


「……それはそうかもしれないけど、なぜ私だけが悪いみたいに言われなきゃいけないの?」


「勘違いしちゃだめだよ?チャラくんは自分が悪いことは自覚してるんだよ?まあそれはそれでタチ悪いけど……」


「悪いな、タチ悪くてよ、羅怜央にも言ったが後悔はない。惚れた女を落としに行っただけだ」


 ラーくんじゃないけど、ホントに覚悟ガン決まりなんだから……そういうところ良い所だとも思うけど困ったところでもあるんだよねぇ。あと、やっぱりりっちゃんを口説きにかかってるよね?


「あと、大前提だけど、りっちゃん悪いことしたんだよ、それは理解してるっぽいけど……どうも考えが甘いんだよねぇ」


「考えが甘い?私がどれだけ後悔して苦しんでいるか……いよなちゃんには分からないんだよ。気楽に生きてるいよなちゃんには」


 かっちーん!誰が気楽に生きてるですってぇ?








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