第31話 おバカさん2号 対 いよな・沙織 3


【安里 いよな Side 】


「りっちゃん勘違いしてるよ?ラーくんはもう付き合えないってはっきり言ったんだから、どんなにりっちゃんが現実から逃げてもどうしようもないんだよ」


 分からず屋のりっちゃんにはこれくらい言わないと分からないでしょ?これでも足りないかも……


「現実逃避なんてしてない!あのときは頭に血が上ってあんな事言ってたけど、冷静になれば別れたりしないはずだもん」


「そんなこと言ってる時点で現実逃避してるでしょ?はっきり言うよ、りっちゃんはチャラくんとうわ「やめて!」止めないよ?チャラくんと浮気したんだよ?」


 沙織ちゃんがぎょっとした顔を向ける、思った以上にびっくりしたみたい。


「浮気したうえでまだ付き合っていけるって本気で思ってる?ただ、別れた現実から逃げてるだけじゃないの?」


「別れてない!それに心は羅怜央くんのものだもの!」


「ラーくん要らないってよ?」


「そんなことない……ないもん」


 あっちょっと声が弱くなった、


「そんな事あるよ?ホントはりっちゃん分かってるんでしょ?面倒くさいから話を続けるよ」


 もうりっちゃんの言い訳や現実逃避には付き合ってあげません!


「大体都合のいい事ばっかり言ってるけど、結論ラーくんともチャラくんとも付き合いたいって思ってるんだよね?」


「そんなこと……」


 あ〜否定しないってことは思ってたなこの子!


「どんだけなのりっちゃん……チャラくんまさかとは思うけど、あれからしてないよね?」


 チャラくんに向かって問いかけてみると、さすがに慌てて首を左右に振って否定してる。なんか怪しいけどホントに?


「だいたいチャラくんもダメダメだよ!この件に対しては何も言えないとか言ってるけど、それでも言わなきゃいけなかったんじゃないのかな?」


「うぐっ……」


「うぐっじゃないよ?ホントにチャラくんらしくない。嫌われたくないとか、今は俺が支えなきゃとか考えてたんでしょ?でも私に頼ってる時点でそれも出来てないじゃんか」


 私に土下座するくらいならりっちゃんを諭すことくらい訳ないでしょうに……


「こうなる事はチャラくんなら予想出来たでしょ?まありっちゃんのダメダメぶりが想定以上だったのかもだけど」


「いや、そこまでは想定してなかった……多少落ち込んでも俺が支えれば持ち直すだろうと思ってたんだがな……」


「見込みが甘い、りっちゃんのなにを見てたの?りっちゃんの良いとこだけしか見てなかったんでしょ。この子かなりめんどくさい子だよ?ラーくんはりっちゃんの性格を分かってるから、こうなると予想してチャラくんに任せたんだよ?まったく……」


 チャラくんはりっちゃんの外側の良い子のところを好きになって、あとは精々薄皮一枚めくった中を見てりっちゃんを知った気になったんだろうなぁ。

 長年の幼馴染とはいえ、元々チャラくんは人と深く付き合うのは苦手な人だし、好きになっちゃえばアバタもエクボで……アバタって何だろうね?まあいいやアバタもエクボで、ちょっとダメな所を見つけてもそれが魅力的に見えちゃう。

 ラーくんはりっちゃんの結構深いところまで見て、ダメな所をダメだと認識しながらもその上で好きになってた。だからりっちゃんがこうなる事を予想してチャラくんに託したのに……


「チャラくんの立ってる位置がりっちゃんから遠すぎる!もっと踏み込んでダメな時はダメだと言ってあげないとこの子には響かないよ?」


「あーと、応援してくれてるのか?」


「したくないけどぉ!したくないけどしなきゃいけないの!もう私もラーくんもりっちゃんには寄り添えないの!りっちゃんがなんと言おうと、もうチャラくんしかりっちゃんにはいないんだよ?もっとしっかりしてよぉ!」


「すまん、気合を入れる……」


「ホントにお願いだよぉ……もう私達に頼ったりしないで自分でどうにかする根性見せてよぉ」


 ホントにお願いだよぉ、面倒くさいんだから……


「さて、チャラくんは今後に期待するとして……そこで私は無関係ですみたいな感じで居るおバカさん2号!」



「え?それ私のこと?いよなちゃんにおバカさん呼ばわりされたの私?」


 なんかいちいち引っかかる物言いするなぁ……もう良いや泣かしちゃおっかな?


「そうですぅ、何度言っても理解しないおバカさんのりっちゃんにはこれを聞いてもらいます!」


 最終兵器を取り出して突き出すのです!









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