第30話 おバカさん2号 対 いよな・沙織 2


【安里 いよな Side 】


 私とチャラくんが廊下に出てる間にひと悶着有ったっぽいなぁ。多分りっちゃんが失礼なこと言ったんだろうな〜。


「さて、りっちゃんどんな失礼なこと言ったのかな?怒るから言ってご覧?」


「失礼なこと言ったのかな?ただなんで関係ないのに来たのって聞いただけだよ?」


 この子は……チャラくんと同じことを言ってるし。


「それならなんで関係ないのに私を呼んだの?」


「いよなちゃんは友達なの!」


「私あのときお別れだって言ったよね?」


 頭にきたからりっちゃんに分からせる、あとのフォローはおバカさん1号に押し付けてやる!


「言ってない!聞いてない!いよなちゃんはそんなこと言わない!」


「言ったし、私はそんな事言う子だよ?ラーくんを裏切ったりっちゃんを赦さないとも言ったよね?」


「いよなちゃん……広田さんが何したか知らないけどほどほどにね?」


 沙織ちゃんは優しいね〜。でもりっちゃんは甘やかしたりしたら付け上がるんだよ〜、だから厳しく行くよ?


「安達さん、私と羅怜央くんがちょっとケンカみたいになってるだけだから」


「羅怜央くんと広田さんが付き合ってるのは知ってるけど……」


「それもう別れたんだよ?」


「え?そうなの?でもたしかに最近は私達とずっといるし、さっきからのいよなちゃんの話を聞くと……」


 大前提としてラーくんとりっちゃんが別れたことは話とかないと、りっちゃんの支離滅裂に翻弄されちゃう。


「別れてないから!」


「またまたぁ、りっちゃん冗談がうまいんだから〜」


 冗談としか思えない、


「今だにチャラくんと一緒に居るってことは、チャラくんを選んだってことだよね?あのとき言ったよね?ラーくん選ぶならチャラくんとは会わないってのは大前提だよ?」


「幼馴染と会うのがそんなにいけないことかな?」


「りっちゃんとチャラくんに関しては、いけないことだよねぇ」


 チャラくんが顔をしかめてるけど、知ったことじゃありません!


「何故そんな事言うの?羅怜央くんとはケンカしてて、いよなちゃんはイジワルするし茶楽雄くんと会わなかったら私独りになっちゃう」


「それを選んだのはりっちゃんだよね?お願いだから私にこれ以上言わせないでね?」


 これ以上突っ込んだ話をするなら、りっちゃんとチャラくんの裏切りの内容までぶっちゃけなきゃならなくなっちゃう。


「いよな、それ以上はやめてくれ……」


 チャラくんが沙織ちゃんを横目に見ながら止めに入る。私が言わなくてもりっちゃんが現実を見つめてくれれば言わないけどね?今の様子だと1から分からせないといけない感じだし?


「私に言われてもなぁ〜」


「分かっちゃいるんだがな」


「え?なんの事?」


 沙織ちゃんにはちんぷんかんぷんだろうけど、ラーくんのためにも出来れば言いたくない。

 さすがに幼馴染の親友に幼馴染の彼女を寝取られたってのはかわいそう過ぎる……


「少なくともラーくんとはもう彼氏・彼女としては会えないってことは分からなきゃいけないよねぇ。じゃないと幼馴染としても会わせるわけにはいかないなぁ?」


 そこのラインはしっかり提示しておかないと、まあラーくんが拒否するとは思うけど、私も言っておかないとここに来た意味がない。りっちゃんがラーくんの所に血迷って行く前に、めんどいけどもう一回分からせるくらいの気持ちで言い聞かそう。ラーくんをもう傷付けたくないから。


「私、羅怜央くんの彼女だけど?別れたつもりないから。たしかに私はやっちゃいけないことをやって羅怜央くんを傷つけた。だから責任をもって私が羅怜央くんを癒やすよ?その役目は彼女である私の役目だよね?」


 チャラくんが頭を抱えてる。

 沙織ちゃんは啞然としている。

 私はニッコリ笑ってしまった。


 もう駄目だこの子は根本的に何も分かってない。もう1から10まで教えてあげよう……このままだとラーくんに凸って両方ともが傷付く事になる。せめてラーくんは守らなきゃ。





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